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ローマの小さな祠(ローマ滞在の雑感4) [探求]

 ローマの街を歩いていて遭遇した忘れがたいものを紹介しよう。

 それは、ローマの街を歩いていてたまたま見つけたのだから、それが何であるかも最初は判らなかった。何となく周囲と不釣り合いな趣きのなか、散文的な建物の散文的な外壁の一角を占める形でひっそりと存在している。それが何であるにせよ、たぶん異国からの訪問者ならば誰もが立ち止まって見入ってしまうものである。




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 ガラスの向こうに女性像があり、プレートの中には ”Maria” の文字が見えるので、マリア様に捧げられた場所なのだろうという推測はつくが、それ以上のことが判らない。おびただしいプレートの上には、”PER GRAZIA RICEVUTA”というフレーズがよく見うけられる。たぶん願掛けのようなものだろうな、くらいに思っていた。帰国後調べたら、直訳すれば「恩寵により受け入れられた」、つまり「マリア様のお陰で願いが叶いました」というような意味であることがわかった。まあ、当たらずといえども遠からず、というところであろうか。


 この場所は何だろう? 調べてみると、ローマに暮らすナタリーというアメリカ人女性のブログに行き当たった(https://anamericaninrome.com/wp/2015/11/unexpected-rome-per-grazia-ricevuta/)。英語圏の人はこれを‘shrine’と呼ぶようだ。日本語では? 祠(ほこら)になるのだろうか? 小さな社(やしろ)か? まあ、いずれにせよ、ナタリーによると、マリア像の周辺に貼られているプレートは、たいていは匿名で、願いや祈りの内容は書かれておらず、大まかな日付とともに、ともかく「願いが通じたことを感謝する」という気持を表わすものであるようだ。仕組みは知らないが、投げ入れ可能なのだろう、ガラスの向こう側には折りたたまれた紙切れが積み重なっているが、そこには具体的な祈りの内容が書かれているのだろうか? いや、やはり、「恩寵によって受け入れられた」と記してあるのみだと思えるのである。

 
 日本には絵馬というものがある。あれは希望を記すものだが、たいていは「○○大学合格」とか、非常に個人的な欲望が遠慮なく書かれていて大変見苦しく感じるときもある。それに比べると、このローマの祠のプレートは大変つつましい。シンプルに願いが適ったとだけ書いてマリア様に感謝を捧げる。結局、個々人の願望は消えて、マリア様の存在だけが際立つ形になっているのである。

  
 他にも、様相は異なるが同じ趣旨の祠を見つけたが、こちらはマリア像の周辺にプレートはなかった。しかし、おそらくプレートが溢れてしまって、一旦きれいに一掃された後なのではないかと思われる。また、願いがかなった人々が、感謝の気持ちを携えてここにプレートを貼りに来るのだろう。


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 ローマの街にはどれくらいこうした小さな祠があるのかは判らないが、わずか4~5日の滞在でも二つ発見できたのだから、多分結構な数があると見ていいだろう。おびただしい数の教会があるうえに、なぜこういう祠が必要なのか? 教会で告白するまでもない些細な願いや祈りをもつ人がここに来るのだろうか? 
 
 
 先にも書いたが、この祠は「異国からの訪問者ならば誰もが立ち止まって見入ってしまうもの」だ。ナタリーもブログに書いていたが、ローマは歴史的な美にあふれているが、観光名所となっている場所から外れた所にも、生活に根ざした美がたくさんある。

 ローマにはキリスト教の歴史的な建造物にあふれている。しかし、そうした有名な名所から外れた場所にも、生活に根ざした信仰がたくさんあった。東京近郊で宗教関係者とわかる人間に遭遇することはあまりない。しかし、ローマではどれほど多くの修道女の方々に出会ったことだろう。やはり、信仰心が根底にある街なのである。





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