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ポール・サイモンの「ナイト・ゲーム」 [雑感]

 高校の頃に聴いていた曲をyoutubeでサーフィンしていたら、ポール・サイモンの「ナイト・ゲーム」に行き当たった。

 当時は特に素晴しいとは思わなかったが、いま聴くとその叙情性にしみじみとした気分になる。どうぞお時間のある方は、クリックしてお聴きください。



Night Game by Paul Simon







 こういう曲は、聴いて感じ入るだけで十分ではあるのだが、歌詞の部分で少し気になるところがあったので、ちょっと考えてみようと思った。(原詞と私訳は以下に示してある)。


 8回裏ツーアウトで同点という状況で、なぜかピッチャーが死に、歌詞の焦点はゲームから離れ、(たぶん)ピッチャーを弔うセレモニーが暗示される。季節が移り、それでも存在し続けるスタジアム。

 そしてスリーアウト。シーズンは敗北に終わった。え?? しかし、まだ8回で同点だったはずじゃないのか? 試合はどうなったんだ? そんな無粋なことが私には気になったのである。


 the pitcher died のところが意味不明なのである。辞書でdieを調べると、「残塁で得点できない」というベースボール的な意味が載っているが、これは関係ないだろう。文字通り「死ぬ」と取ると、次の一連のセレモニー的な部分とスムーズにつながるのだが、それだと歌詞の内容があまりに現実離れしてしまう。おそらく、「やられた、打ち込まれた」という意味でdieを使っている、と考えるべきなのだろう。Never say die ! が「弱音を吐くな、悲観するな、がんばれ」という意味で使われるから、the pitcher died は、もうそんな応援の言葉が通用しない状況になってしまったこと、打ち込まれてもう終わってしまったことを意味している、と考えてかまわないように思われる。

 ピッチャーは好投したが残念ながら打たれてしまった。しかし観客は惜しみない拍手で讃えた。まるで故人を讃えるかのように。故人の偉業を記憶に刻みつけるかのように。勝敗なんて二の次だ、ベースボールよ、スタジアムよ、ありがとう。しかし、ふとあたりを見るともう凍てつく夜だ。多くの歓声を包んできたこの古いスタジアムにまた冬がめぐってきたのだ。

 まあ、そんなところかな、と思う。



Night Game
 
There were two men down
And the score was tied
In the bottom of the eight
When the pitcher died

And they laid his spikes
On the pitcher’s mound
And his uniform was torn
And his number was left on the ground

Then the night turned cold
Colder than the moon
The stars were white as bones
The stadium was old
Older than the screams
Older than these teams

There were three men down
And the season lost
And the tarpaulin was rolled
Upon the winter frost


「 ナイト・ゲーム

ツーアウトだった
スコアは同点
八回の裏
そのときピッチャーが打たれた

そして彼らはピッチャーのスパイクを
マウンドの上に置いた
そして彼のユニフォームは引き裂かれ
彼の背番号が地上に残された

そして夜は冷えてきた
月よりも冷え
星は骨のように白かった
スタジアムは古かった
歓声よりも古く
プレーをしているチームよりも古かった

スリー・アウトになった
シーズンは敗北に終わった
防水シートが広げられた
冬の霜の上に

 








 ちなみに、youtubeの画像が良いね。最初の2枚は、ヤンキースタジアムのモニュメント・パークで、ジョー・ディマジオの額の除幕式がおこなわれたときに、大のヤンキース・ファンだったポール・サイモンが「ミセス・ロビンソン」を歌って華をそえたときの画像である。3枚目の画像に若いポサダが写っているのも印象的だ。


 「ナイト・ゲーム」は沈んだ曲調に聞こえるせいか、悲しい曲と思われがちだが、野球というゲームを単純に肯定している曲だと思う。沈んだ曲調は、シーズンが終わってしまったことの寂寥感から来るものだ。興奮と感傷を超えて、そして時の流れに抗うかのように、スタジアムは存在している。そのことに対する静かな讃歌である。このyoutubeの画像を作った人はそうしたことが判っているようだ。









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