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アメリカでは貧困が主流になった [海外メディア記事]

  『ニューヨーク・タイムズ』紙の「不平等」というテーマを追及する「大いなる格差(The Great Divide)」シリーズから、最新の寄稿文を紹介する。


 「貧困」について広く行きわたっている誤解を並べて、それが誤解である所以を説明している一文だ。

 これだけ見ると、アメリカという国は実に居心地の悪い国だという印象しか抱くことができない。結局、オバマが二度大統領になっても、何も変わらなかったという事実だけが残ったのだろうか?  もっとも、大体において日本はアメリカを追随することしかできないから、これは遠からぬ時期の日本の姿でもあるだろう。


 筆者のマーク・R.ランク(MARK R. RANK)は、社会福祉が専門のワシントン大学の教授であるようだ。  



 
Poverty in America Is Mainstream
By MARK R. RANK


November 2, 2013, 2:30 pm

http://opinionator.blogs.nytimes.com/2013/11/02/poverty-in-america-is-mainstream/?src=me&ref=general






 アメリカでは貧困が主流になった




アメリカ社会において、貧困ほど多くの神話やステレオタイプがまとわりついているトピックはないのだが、こうした誤解がわが国の政治や国内の政策をともに歪めているのである。

 その誤解の中には、貧困の影響が及んでいるのは比較的少数のアメリカ人だけだという考え方、貧しい人々はずっと何年間も貧しいままであるという考え方、貧困者のほとんどは都市の中心部に住んでいるという考え方、あまりに多くの福祉支援が提供されているのだから、結局、貧困は一生懸命働いていないことの結果なのだという考え方などがある。こうした前提は広く浸透しているが、ハッキリ間違っている。


 広く見られる信念とは逆に、貧困に直面している人々の割合は非常に高い。私の研究の示すところによると、25歳から60歳のアメリカ人の約40%が、その期間に政府公認の貧困ライン(4人家族で23,492ドル)以下の収入で少なくとも一年を過ごすことになるし、54%が貧困状態か貧困に近い状態で(貧困ラインの150%以下で)一年を過ごすことになる。


 さらに驚くべきことに、福祉サービスの世話になったり、貧困に近い状態に移行したり失業したりするという(貧困に)関連した状態をつけ加えるならば、5人のうち4人のアメリカ人が、こうした事態の一つまたは複数に直面することになるのである。


 さらに、すべてのアメリカ人の子供の半分は、子供時代のどこかの時点で、ある期間はフード・スタンプ(食糧配給券)のお世話になる家庭に暮らしている。

 
 簡単に言えば、貧困はアメリカ人の大半が経験する主流の出来事になったのだ。われわれのほとんどにとって問題は、われわれが貧困を経験するかどうかではなく、いつ貧困を経験するかということなのである。


 しかし、多数のアメリカ人が貧困に遭遇している一方で、ほとんどの人々が貧困の状態で過ごす平均時間は比較的短いのである。貧しい人々についての標準的なイメージは、一度陥ったら何年も貧困状態から抜け出すことのない下層民というイメージであった。これは、貧困のごくわずかの重大な部分を捉えたものではあるが、貧困のもっと広範囲におよぶ動的な本性についての非常に誤解を与えるイメージでもある。


 
 典型的なパターンは、1年か2年は貧困を経験するが、その後長い間、貧困ラインよりも上の状態に浮上し、その後また何年かは貧困状態に直面するというパターンだ。仕事を失ったり、労働時間を削られたり、家族の離別を経験したり、深刻な医療問題をかかえ込んだりといった出来事があると、そうした家庭は貧困に沈むことになりかねないからだ。


 貧困は、時間的に広い分散を示すのとまったく同様に、場所的にも広い分散を示している。きわめて貧しい都市部に住んでいるのは、貧困状態にある人々のおよそ10%にすぎない。貧困世帯は、多様な都市部や都市郊外にだけでなく、アメリカの農村部全域の小さな町やコミュニティで見出すことができる。貧困のこの分散現象は過去20年間で増加してきていて、特に郊外の地域で顕著である。


 都心中心部の貧困というイメージと並んで、貧困者のほとんどが非白人であるという見解も広く共有されている。しかし、これもまた神話である。最新の国勢調査局の調査によると、貧困ライン以下にある人々の3分の2は自らを白人と名のっている――この数字は過去数十年間変わっていないのだ。

 
 我々が貧しい人々に提供する寛大な援助についてはどうか? 政治的なレトリックとは逆に、アメリカの社会的セーフティ・ネットはとても貧弱で大きな穴がいたる所にあいている。さらに、様々な福祉改革や予算削減措置のおかげで過去40年間にわたって、ずっと貧弱なものになってしまったのだ。


 わが国は、家庭を貧困から救い出したり家庭が貧困に陥らないように保護する手段は先進国の中で最少であり、その少ない手段の中からやりくりをしているのが現状である。米国は、国民皆保険制度や、気軽に利用できる子育て支援制度や、気軽に利用できる低所得者向け住宅制度を提供していない数少ない先進国の一つである。その結果、わが国の貧困率はヨーロッパの平均値の約2倍である。



 子供時代の貧困を調べようと、就労年齢にある成人の貧困を調べようと、ひとり親の家庭の貧困を調べようと全般的な貧困率を調べようと、出てくる結果はまったく同じである――米国の貧困レベルはとびぬけて高いのである。貧困状態に陥った多くの人々は、そのつらい時期を乗り切る手助けとしてアメリカ政府が実際にどれほどわずかしか援助をしてくれないのかを知ってしばしばショックを受けるのだ。



 最後に、貧困に対するよくある説明が強調することは、やる気がないことや、一生懸命仕事をしていないことや、意思決定をせず優柔不断に過ごしてきたことだった。


 しかし、私や私以外の人の研究が一貫して見出したことは、貧困状態にある人々の行動や態度は、基本的には、アメリカの主流の人々の行動や態度を反映しているということである。同様に、貧しい人々の大半は数多くの仕事をしてきており、これからもそうするだろう。貧困とは、突き詰めてみれば、個人の欠陥であるというよりは、経済的・政治的レベルでの失敗の結果なのである。


 貧困の解決策は、どんな家族の健康にとっても重要なこと――まともな賃金を払ってくれる職があり、十分な健康保険や子育て支援のサポートがあり、一流の教育を受けることができること――の中に見出すことができる。しかし、こうした政策は、われわれが、貧困とは彼らの問題であるというよりわれわれの問題なのであるということを真に理解し始めるとき初めて現実となるのである。






」(おわり)









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