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スタンレー・ミルグラムと悪の不確かさ(1) [海外メディア記事]

 ミルグラムがあの有名な実験を論文で公表して50年になるのだそうだ。

 最近とみに再評価の機運が高まっているミルグラムの研究についての現状について書かれた記事を『ボストン・グローブ』紙に見つけたので紹介する。少し長いので2回に分ける。
 


 
Stanley Milgram and the uncertainty of evil

By Christopher Shea
SEPTEMBER 29, 2013

http://www.bostonglobe.com/ideas/2013/09/28/stanley-milgram-and-uncertainty-evil/qUjame9xApiKc6evtgQRqN/story.html







 スタンレー・ミルグラムと悪の不確かさ


この心理学者による人間性についての有名な研究結果は、50年間、私たちに付きまとってきた。だが、私たちはそれを信頼できるのだろうか?



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1975年マンハッタンの地下鉄駅の外に立つスタンレー・ミルグラム博士







 1960年代初頭にエール大学の心理学研究者のスタンレー・ミルグラムが「ショック・マシン」を作り上げ、募集をかけて何百人ものアメリカ人を地下の研究室に呼び寄せ、彼らが同朋の市民をどの程度まで罰するのかを見ようとしたとき、彼は20世紀の心理学の最も有名で論争を呼び起こす人物の一人になることになった。


 彼の被験者たちは、記憶と学習のテストの「先生」役をしていると思い込み、「生徒」役がクイズでミスをするにつれて、よりいっそう電圧が高くなるショックを「生徒」に与えるように白衣の男から指示された。この研究の最もよく知られているバリエーションでは、ショックを受ける人物は、(実は、壁の向こうでショックを受けるふりをしているだけなのだが)、電圧が増すにつれてますます必死に叫び、そして不吉なことに黙り込んしまう。叫び声にもかかわらず、実験参加者の62%は従順に電気ショックのスイッチを最高レベルに至るまで押し続けた。



 ホロコーストが人間の悪の能力について深刻な問いを投げかけてからわずか18年後、ナチスのリーダーだったアドルフ・アイヒマンの裁判の記憶がまだ消えない中、ミルグラムの記憶にこびりつくような研究報告は人々の想像力を捉えた。「どのような人が、命じられたことを奴隷のように行って、何百万もの同朋をガス室に送り込んだのだろうか?」と『ニューヨーク・タイムズ』紙はこの研究について報じるニュース記事で問いかけた。その答えは「私たちのだれもが同じことをするだろう」。この実験はまた、被験者たちの被ったストレスのために、心理学内部でミルグラムの研究倫理に関して論争に火をつけた。多くの人は、スイッチを押し続けながら苦悶の表情を浮かべていた。



 来月は、この実験に関するミルグラムの論文が初めて発表されてから50年目に当たる。50周年を機に少なくとも2つの会議――来月行なわれるエール大学での会議も含む――が開かれ、『ジャーナル・オブ・ソーシャル・イシュ―ズ(Journal of Social Issues)』の特別号が発刊される予定だが、それはミルグラムの仕事を再評価することになっている。


 イェール大学のミルグラム・アーカイブで働く学者たちは、最近、ミルグラムの実験はほとんどの人が理解しているより複雑なストーリーを語っていると主張し始めた。彼が行った多くのバージョンの実験のうち、すべてが破滅的な結果を生み出すわけではないし、そうした実験の方法は、ミルグラムが報告したほど一貫性があるわけでもないようなのだ。批判者サイドの新顔としては、オーストラリアのジャーナリストで心理学者でもあるジーナ・ペリー(Gina Perry)によって米国で出版されたばかりの著書『ショック・マシーンの背後で:悪名高いミルグラム実験の語られざるストーリー』がある。ペリーによれば、彼女は始めはミルグラムに対して敬意を抱き、アーカイブの助けをかりながら、出来るだけ多くの被験者を跡づけその被験者の物語りをたどることで、ミルグラム実験のストーリーを肉づけようと考えていた。だが、彼女は、被験者の取り扱われ方にビックリし、ミルグラムの実験の杜撰(ずさん)さに驚くようになったという。「この実験の内的な仕組みを詳しく見れば見るほど、この結果は不自然で説得力がないように見えてきた」と彼女は書いている。


 こうした批判的スタンスに同意する心理学者も確かにいるが、この実験が21世紀の研究基準を満たしていないという理由で、こうしたスタンスが依然として重要な研究結果を退ける気持ちにさせることを心配する人々もいる。しかし、ペリー等にとって、実験における欠陥や不規則さは、取るに足りないとはとても言えない細部なのだ。そうした細部をどう分析するかで、ミルグラムの仕事に信を置くべきかどうかが決まるからというのである。



」 (つづく)



















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