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人間が戦争をするのは自然なことか? [海外メディア記事]

  狩猟採集生活をしている人間はめったに戦争をしなかったのではないかと示唆する研究結果が出たことを伝えるイギリス『インディペンデント』紙の記事を紹介する。

  もちろんこれは研究結果にすぎないので、まだまだ人間の攻撃性をめぐる科学者の意見の対立は続くようだ。これはまるで性善説と性悪説の対立の現代版のように見えないこともない。しかし、国家が出来て初めて、人間の攻撃性が戦争という大々的な規模に発展していくという考え方は、それなりの説得力があると思う。宗教が国家の発生とともに大規模化していき、神がいわば戦争の旗振り役になっていったという歴史の断面を考え合わせると、納得がいくのではないだろうか?
 





Is it natural for humans to make war?

Posted by STEVE CONNOR
Thursday 18 July 2013


http://www.independent.co.uk/news/science/is-it-natural-for-humans-to-make-war-new-study-of-tribal-societies-reveals-conflict-is-an-alien-concept-8718069.html






人間が戦争をするのは自然なことか? 部族社会の新しい研究は武力衝突が異質な概念であることを明らかにした。


新たな学術研究によると、人類が戦闘行為の技を身につけたのはこれまで考えられてきたよりもずっと後になってからなのだ




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 人間が戦争をすることは自然なことか? 対立する政治集団間の組織的暴力は、人間の条件の必然的な結果であるのか? その答えは「イエス」だと考える学者もいるが、新たな研究はその答えが「ノー」であることを示している。


 狩猟採集によって生活している部族社会を対象にした研究は、戦争が異質の概念であって、一部の学者が主張したように、いわゆる「原始人」の本質的な特徴ではないことを見出した。


 この発見は、戦争が過去数千年にわたって「文明化した」社会によって発明された比較的最近の現象なのか、それとも、もっとずっと過去に遡る人間性の部分なのかについての学問上の激しい論争の口火を再び切ることになった。言い換えれば、戦争は、数十万年もかけて人間性を形作するのに与ってきた太古の昔からずっとあった状態なのだろうか? 


 戦争とは、人間が、チンパンジー――チンパンジーも同種間の戦争をするのだ――と共通の祖先を共有していた約700万年前に、遺伝的構成の内に受け継いだ太古の進化の性質である、という考え方がある。


 しかし、2人の人類学者はこれが神話であると考えて、それを示す証拠を明るみだした。フィンランド・ヴァーサのオーボ・アカデミー大学のダグラス・フライ(Douglas Fry)とパトリック・セーデルベリ(Patrik Soderberg)は、狩猟採集社会の移動生活をしている21の集団の中に人類学者が記録した暴力的な致死事件を調べた。この記録は、約1万年前に農業が発明される以前の人類史の99.9パーセントの間に人間がいかに暮らしていたかを調べるためのテンプレートになるだろうと主張する研究者もいる記録である。

 
 その二人の研究者の発見によると、暴力によって発生した死亡事故の中で、戦争行為として定義されてよいものはごくわずかだった。暴力のほとんどは個人対個人のものであり、通常は、女性や盗みに関わる個人的な恨みによるものだった。



 研究者によると、死亡事故の約85%は、殺害者も犠牲者も同じ社会集団に属するケースであったし、暴力による死亡事故の約3分の2は、家族内のの確執、妻をめぐる争い、事故や「合法的な」処刑だった。


 「暴力的な出来事をすべて調べましたが、その約55%は個人間のものでした。戦争ではありませんでした。集団的な抗争を調べると、その典型的なパターンは家族間の確執や復讐の殺人で、これも戦争ではありませんでした」とフライ博士は語った。


 
 「移動生活を送るこれらの狩猟採集社会を過去の大まかな類似例として利用し、戦争がどれほど古いものなのか、戦争は人間の本性の一部なのかと問うことは魅力的なことと見なされてきました。私たちの研究は、明らかに戦争はあまり一般的ではないことを示しました」と彼は述べた。


 対立する人間の集団間のもっと組織化された殺戮が含まれるケース――戦争のような行動として定義できるケース――はごくまれだった。今回の研究に含まれる21の集団のうちで、そのようなケースのほとんどに関与しているのは1つの集団だけだった――それは、暴力的な事件を起こす傾向がとりわけあるように見えるオーストラリアのティウィ族だった、とフライ博士は述べた。


 戦争が至る所にあることを発見したというより、2人の研究者は、狩猟採集社会が対立する集団とたえず暴力的な紛争状態にあるという証拠をほとんど見出さなかった。要するに、彼らが見出したのは、地球上で最も「未開な」民族は、現代の先進諸国に比べて実際は非常に平和的であるということだった。



 「これらの発見は、(すべてとは言わないまでも)ほとんどの人類が遊牧的な狩猟採集民として暮らしていた農業が登場する以前の時代では、戦争はあまり一般的ではなかった、ということを示しています」と、ダートマス大学の人類学者のカーク・エンディコット(Kirk Endicott)は、今回の研究が発表された『サイエンス』誌に語った。



 今回の研究結果は、また、ハーバード大学のスティーブン・ピンカー(Stephen Pinker)やカリフォルニア大学のジャレド・ダイヤモンド(Jared Diamond)のような名望ある学者――その二人とも、最近、戦争のような攻撃性と部族社会をテーマにしたベストセラー本を出版した――が下した結論をも疑問視するものだ。

 例えば、ダイヤモンドの 『昨日までの世界(The World Until Yesterday)』で、戦争は、対立する政治的組織に属する集団間の続発する暴力行為――しかも、その組織によって是認される暴力行為――として定義されている。この定義のもとで見るならば、多くの部族社会は、もし思い通りにできるならば、慢性的な戦争状態にいることになるだろう、とダイアモンド氏は述べる。



 彼は、1961年に多くの死者をもたらした一連の暴力的な紛争に関わったニューギニア高地のバリエム・バレーに住むダニ族のケースを挙げている。ダニ族は農耕を営んでいるが、ダイヤモンドは、ダニ族を、初期の人類社会がいかに相互に関わり合ったかの実例として利用している。


 他方でピンカーは、自著『私たちの本性の良い方の天使(The Better Angels of Our Nature)』の中で、人間は本質的に暴力的であり、最近になってその度合いが減ったのは、この攻撃的な本性を抑制する文化的な影響のおかげなのだと主張している。



 ピンカーもダイヤモンドも、自分の結論の支えとして使用している研究を単純化したり誇張したりしているといって、一部の人類学者から批判を受けた。さらに悪いことに、その二人は、アマゾンのヤノマミ族が同族間で慢性的な戦争状態にあると主張したナポレオン・シャグノンのような人類学者の信用のおけない研究を使用した、と言い張る研究者もいる。


 「ジャレド・ダイヤモンドやスティーブン・ピンカーのように、部族社会の人々を「残酷な野蛮人」で、「私たち」よりもずっと暴力的だと描きたい著述家は、シャグノンの著作を頻繁に利用します。しかし、そうした著述家は誰も、ヤノマミ族の暴力性についてのシャグノンの核心的な発見は、昔から信用されてこなかったことを認めようとしないのです」。そう語るのは、サバイバル・インターナショナル(Survival International)の所長であるスティーブン・コリー(Stephen Corry)。



 「この最新の研究は、ピンカーの「残酷な野蛮人」というテーゼを葬り去る最後の研究です。ピンカーはきわめて疑わしいデータを選び出し、自分の主張と矛盾するものはすべて除外しているのです」とコリー氏は語った。



 「ピンカーや、ジャレド・ダイヤモンドのような支持者たちは、自説を疑問視する私たちを「反科学」として言いふらしていますが、実は、彼ら自身の研究こそ、疑似科学的な包装紙に包まれた社会的・政治的な主張にすぎません」と彼は言った。



 それに対して、ダイヤモンド博士は、部族社会は国家社会よりも概して暴力的であるという自分が下した結論に多くの学者が同意していると述べた。


 「この結論は最初は驚くべきものに見えるかもしれませんが、部族間の戦争は慢性的になりがちであるのに対して、20世紀で最も戦争関連の死者を輩出した国家――ロシア、ドイツ、ポーランドのような国家――でさえも、たいていは平和状態にあって、戦争状態にあるのはたまにしかないのです」とダイヤモンド博士は語った。



 「コリーは私の本を執拗に間違いだらけの仕方で非難していますが、その動機が事実以外の何かにあるのは明らかです。本当に危険なのは、伝統的な社会についてコリーが抱いているロマンティックな見解の方ですよ」と彼は述べた。









」(おわり)






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