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世界報道写真2013の審査員評 [海外メディア記事]

 世界報道写真2013の受賞作についての審査員のコメントを伝える『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィー』誌の記事を紹介する。

 やはりシリアやパレスティナの紛争を扱った悲惨な写真が多かったようだが、その中でも希望を伝えるものや、病気との闘いや同性愛を撮った個人的な作品にも目くばせがなされたようだ。


 ちなみに、写真は『ガーディアン』紙のスライドショーから取った。元記事にないものも補ったりした(http://www.guardian.co.uk/artanddesign/gallery/2013/feb/15/world-press-photo-2013-pictures)。




World Press Photo judges discuss emotion and content in winning images

http://www.bjp-online.com/british-journal-of-photography/news/2244324/world-press-photo-judges-discuss-emotion-and-content-in-winning-images







世界報道写真2013の審査員が受賞作に見られる感情と内容を論ずる


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 「同時代の問題(単独作)(Contemporary Issues Single)」部門で第一位になったミカ・アルバート(Micah Albert、 USA, Redux Images)の作品。ケニアのナイロビで2012年4月03日に撮影。30エーカーのゴミ捨て場で廃品の回収をする女性が、雨の中で仕事を中断している。ゴミ捨て場はあふれ返り、近隣のスラム街に住む100万人の家々にまで文字通り押し寄せている。彼女はたまたま見つけた書物を読む時間がもっとあればいいのにと思っている。彼女は工業用部品のカタログでさえも読もうとする。「ゴミ拾い以外のことを与えてくれるから」と彼女は言った。


 

 今年の受賞イメージで色濃く立ちあらわれた死と暴力の陰惨な場面の中にあって、一枚の写真が希望のシンボルとして際立っていた――ゴミの上に腰かけて本を読んでいるアフリカの女性を撮った写真だ。ジェマ・パドリー(Gemma Padley)が審査員に話しかけ、どの写真が強く心を揺さぶったかを聞いた。


 
 「私をとくに感動させた写真は、ゴミの間に座って本を読んでいる女性のものでした」と語るのは、世界報道写真2013(World Press Photo 2013)の審査員で、ヒューストン美術館の写真部門のキュレーターをしているアン・ウィルクス・タッカー(Anne Wilkes Tucker)。「すばらしいイメージ――とても希望に満ちていて。ニュースが希望の画像で満たされることはあまりないですからね」。


  アメリカのフリーカメラマンのミカ・アルバートが撮影した『ダンドラのゴミ捨て場で(At the Dandora Dump)』と題された一枚は、今年のコンテストで「同時代の問題」カテゴリの第一位を獲得した。その一枚は、ケニアのナイロビのゴミ捨て場で働く女性がゴミの中で見つけた本を読​​んでいる様子を撮ったものだ。この写真は、物思いに沈む静かで個人的な一瞬を捉えていて、しばしば悲惨で痛ましい写真が混じる作品群の中で際立っていた。


  今年のコンテストで審査員をしたいく人かに、候補作に見られる紛争や不幸に直面したときの感情のインパクトと人間の状況について、とりわけ、スウェーデンの写真家ポール・ハンセン(Paul Hansen)の大賞を獲得した『ガザでの埋葬』についてコメントしてもらった。


  
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 世界報道写真2013の大賞を受賞したポール・ハンセン(スウェーデン、ダーゲンス)の写真。2012年11月20日ガザ市に対するイスラエルのミサイル攻撃で亡くなった二歳のスヘイブ・ヒジャジと三歳のムハンマドの遺体を運ぶ近親者たち



  「私たちは、この画像が感情的なインパクトと力強い内容をもっていると強烈に感じました」と語るのは、独立のキュレーターをしているエリザベス・ビオンディ。彼女はポートレート部門の審査員の一員を務めた。「よく撮られていたし、なおかつ私たちを感動させました」。
 

  大賞受賞作について、審査員の一人であり、上海の復旦大学のジャーナリズム学科の教授であるグ・ツェン(Gu Zhen)はこう付け加えた。「これは紛争を描いているだけでなく、不幸な状況に置かれた人間の本質を描いています。私たちは人々の感情を感じることができます」。


  ウィルクス・タッカーにとって、この画像に写し出されている感情の複雑さが重要だった。「大賞受賞作品は、男性たちの顔に怒りと悲しみがともに表われていることを示しています」と彼女は言った。「ガザ地区で相変らず存在している諸問題が1つの画像に具現化されているのです」。



  ガザの紛争は敏感なテーマだ――大賞受賞作品をめぐって論争が起きるかもしれないと審査員たちは思っただろうか?  「みんなが[ある写真について]どう考えるだろうかと推測しだしたら、きりがありませんからね」とウィルクス・タッカーは述べた。「論争を求めているわけではないが、本当に強力な写真には、当然、強力な反応が起きるものなのです」。


  シリアとガザの紛争が今年の大きなトピックだったが、「社会を広い視点から撮った」写真も多数あった、とある審査員はコメントした。ありがちなテーマを扱った写真のなかで、ギャングやドラッグや世界中の病院で治療を受けている人々のストーリーを描く写真があった。




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 「日常生活(連作)(Daily life Stories)」の第一位になったファウスト・ポダヴィーニ(Fausto Podavini)の作品。アルツハイマー病の夫ルイジの介護をする妻のミネラ。




  期待ほど扱われなかったテーマはあったか? 「私はハリケーン・サンディの写真がもっと来るかと思っていたわ。でも、[審査委員長の]サンティアゴ・リオン(Santiago Lyon)が思い起こさせてくれたんだけど、ハリケーンが直撃したのは夜だったでしょ、それは写真撮影という点では理想の状況じゃなかったのよね」とウィルクス・タッカーは言う。「今年、最大のテーマになりうる出来事の中には、カメラマンが居合わせなかったものもありましたね。たとえば、サンディー・フックの小学校で殺害された子供たちの埋葬は極秘に行われましたしね」。


  写真の内容がキーであるにしても、内容は、どの写真がどの写真よりも上かを決めるわけではない。「特定の紛争が撮影されないければならないと感じたから、その画像を選んだというということはありませんでした」と言うのは、今年審査員に加わった『ガーディアン』紙のイラク特派員ガイス・アブドゥル・アハド(Ghaith Abdul-Ahad)。「他のテーマよりも重要だと見なされるテーマなど一つもありませんよ」。


 「私の経験では、最高のフォト・ジャーナリストは自分の頭と心の両方を使って作品を創造するものなのです」とウィルクス・タッカーは述べた。「彼らは、ストーリーの一部を切り取り、それを視覚的なフレームのうちに置く。写真家はストーリーを見きわめて、思わず凝視したくなるような一連の写真を生み出すわけです。私たちが求めていたのは、人間の経験という要素なのです」。


 写真は見る者に凝視するように誘うものだという考え方は、大事なのは内容なのか「美的な要素(aesthetics)」なのかという問いを浮かび上がらせる。人々に注目される上で美的な要素はどれくらいの比重を占めるのだろうか? 「私は、美的な要素が必ずしも相応しい言葉だとは思いませんね」とアブドゥル・アハドは言う。「心を打つ作品だから、選ぶのです」。


  「個人的には、選ばれた技術が語られるストーリーに相応しいかを見ようとしましたね。例えば、黒白か、カラーか、対象がどうフレームに収められているかという点ですね」とウィルクス・タッカーはコメントした。「私たちは、公表されニュースとして表示される画像を信じなければなりません。芸術の世界では、こうしたことはそれほど問題ではないでしょうけどね」。


  審査員の目を引いたもう一つの写真は、ベトナムのハノイの同性愛のカップルを撮ったマイカ・エラン(Maika Elan)の写真だった。ベトナムは歴史的に同性愛の関係を快く思っていない国だった。

 
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「同時代の問題(連作)(Contemporary issues Stories)」カテゴリーの第一位になったマイカ・エランの作品。



  審査員たちがこの一枚の力強さに言及したのは、その主題のためだった。「この一枚には驚くほどの優しさと愛があります」とアブドゥル・アハドはコメントした。「大賞受賞作が一つしかないというのはアンフェアだと思いますが、大賞はなければなりません」と彼は付け加えた。「私個人にとっては、50作品のコラージュが大賞です」。






」(おわり)

















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