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氷河期の芸術――大英博物館の展示会 [海外メディア記事]

 大英博物館で氷河期に作られた芸術作品を一堂に集めた展示会が開催されているが、その模様を伝える『ガーディアン』紙のスライドショーを紹介する。


 最初に出てくる「ライオン・マン」が印象的だ。頭部が動物でその下は人間というパターンはとても多く、すでに有名なラスコー洞窟の壁画でも描かれていたし、様々な壁画や神話で描写されてきた。人間の部分はそのままこの地上の次元を表わし、頭部は人間を超越するより高い次元を表わしているのではないかと思われる。

 人類学はそのフィールドワークを通して、未開部族におけるイニシエーションの儀式が二元的な世界への帰属意識を表わしていることを明らかにした。つまり、人間はこの世界に帰属していると同時に、より高次の――部族的な、あるいは何らかの永続的な―――世界に帰属しているという意識である。これは共同体の成員になるために誰もが共有しなければならない意識であって、それを個々人に植えつけることは、どれほど未開な部族にあっても――社会が存続するためには――欠くことのできない手順だった。これは宗教の存在理由に関わることであり、社会の存立基盤に関わることでもある。

  頭部が動物でその下が人間という彫像は、そうした二元的な意識の存在を示唆していると思われる。

 「ライオン・マン」は32000年前の作品だと推定されている。その頃にはすでに人間の社会性は充分発達していただろうし、宗教的儀式も存在していたことは確実だと思われる。「ライオン・マン」は人間性の根幹を具象的に表現しているのである。
 
 
 ちなみに、途中でてくる「芸術は(誕生後)すぐに歩くことができる仔馬のように誕生するらしい」という批評家ジョン・バーガーの言葉は、それだけでは判りづらいかもしれない。要するに、仔馬が生まれてすぐ歩き出すのと同じように、芸術は誕生してすぐに今日と同じ意味での芸術になったのだ。ここには、未開なあるいは原始的な芸術があるのではなく、現代と同じ芸術がある、という意味のようだ。




Ice age art: cavemen get crafty at the British Museum – in picture

guardian.co.uk, Thursday 24 January 2013 17.15 GMT

http://www.guardian.co.uk/artanddesign/gallery/2013/jan/24/ice-age-art-british-museum-in-pictures?intcmp=239






 氷河期の芸術:ケイブマン(穴居人)大英博物館で工匠となる


 シカの角の棒からマンモスのペンダントに至るまで、ロンドンの新たな展示会が、四万年前のホモ・サピエンスの手になる世界最古の彫刻・デッサン・肖像などのスリリングな展示を行なっている。『氷河期の芸術:近代的精神の到来(Ice Age Art: The Arrival of the Modern Mind)』は 2013年2月7日から5月26日まで開催される。




1.「ライオン・マン(Lion Man)」 - ドイツのホーレンシュタイン-シュテーデルから出土した、マンモスの牙から作られた32000年前のライオンの頭部をもつ男

ライオン・マン




2.現在知られる限り最古の肖像がこの展示会で初めて一般に公開されることになる。これは、約26000年前に象牙に彫られた女性の頭部である。これはドルニ・ベストーニス(Dolní Věstonice)で1920年代に発見されたが、ドルニ・ベストーニスは現在のモラビアにある谷で、最後の氷河期の頃にはマンモスやトナカイに満ちていた。

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3. フランスのレスピューグ(Lespugue)出土の23000年前の抽象的なフィギュア。このフィギュアはピカソを魅了し、彼の30におよぶ彫刻作品に影響を及ぼした。

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4.骨に描かれた女性たちと水牛。

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5.「芸術は(誕生後)すぐに歩くことができる仔馬のように誕生するようだ」。批評家ジョン・バーガーの言葉が展示されている。

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6.ユニークな足型のペンダント。病気や不運から身を守るお守りとして用いられたのかもしれない。

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7.象牙に彫られた馬の頭部の彫刻。氷河期晩期――およそ13000年前のもの。

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8.フランスのタルヌ=エ=ガロンヌ県(Tarn-et-Garonne)にあるモンタストリュックで発見されたマンモスの形に彫られた投槍器。

マンモス形の投槍器



9.ウェールズで出土した最古の芸術作品。ジグザグ模様のある馬の顎骨。

最古の芸術作品




10.線描の装飾のある、穿孔されたシカの角の棒。たぶん権力の象徴であると考えられている。

権力を象徴する鹿角の棒




11.武器の一部。トナカイの角の上部から作られた。
 
トナカイの角で作られた武器





」(おわり)

















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