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なぜ日本はまだ十分謝罪しないのか? ―― 『戦争犯罪と第二次世界大戦後の政治』の著者が語る日・中・韓 [海外メディア記事]

 島の領有権をめぐって紛争状態にある日・中・韓の関係と、日本の戦争に対する姿勢について、アメリカの外交史の専門家の意見を『タイム』誌が取り上げていたので紹介する。  
 
 一番最後に「(日中の)衝突が起こる可能性は非常に高い」という予測が述べられているのが気がかりである。両国間の歩み寄りが期待できそうもないという予測も気になるし、安倍政権ができれば日韓関係は悪化する可能性が高いというのも気になる。それにもまして、こうした関係悪化を煽って火勢を増そうとする(中国人と同じレベルの)人間がやけに目につく一方で改善を目指そうとする声が国内に乏しいのが気になることである。





Why Japan Is Still Not Sorry Enough

By Kirk Spitzer Dec. 11, 2012


http://nation.time.com/2012/12/11/why-japan-is-still-not-sorry-enough/







なぜ日本はまだ十分謝罪しないのか?




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1947年12月:東京裁判で弁明のために証言台に立つ元首相で陸軍大臣だった東條英機(1885年~1948年)。東条は有罪となり処刑された。






 日本が近隣諸国に対して行っている醜い領土紛争は漁場に関わるものでも、海底に眠っている石油や天然ガスに関わるものでも、古くからある歴史的領有権に関わるものでもないことは、その紛争を熱心に見てきた者ならば知っていることだ。その紛争が関わっているのは、日本人が未だに――今もって――第二次世界大戦中やアジアでの長い植民地支配の時代に悪事を行ったことを認めようとしないことなのだ。



 事実はともかく、近隣諸国の見方はそうだ。だからこそ、価値があるかどうか疑わしい島をめぐる中国や韓国との論争が感情的な対立になるのだ。日本が実効支配し中国が領有権を主張している尖閣(釣魚)諸島付近には武装した両国の船が競うように監視を続けている。韓国が実効支配し日本が領有権を主張している独島(竹島)をめぐっては、日本と韓国が激しい確執をくり広げている。



 そこで、日本がなぜ過去を謝罪しない国だと見なされているのかを説明してもらうために、最近本を著したトーマス・U.バーガー(Thomas U.Berger)に登場してもらおう。日本の半世紀におよぶ戦争と植民地拡大の時代(1945年に終わった)を通して、約二千万人が亡くなり数百万人が隷属状態に置かれ虐待された。



 新著『戦争犯罪と第二次世界大戦後の政治(War Guilt and Politics After World WarⅡ)』においてバーガーは、複雑に網の目のように絡まる文化や政治や地理や正義観の変化のために、日本人は他の社会よりも過去の犯罪行為の数々について謝罪することが難しくなっていると述べる。この点はドイツに比べるととりわけ当てはまることだ。ドイツの犯罪は日本の犯罪すら凌駕するものだったが、ドイツはかつて被害を被った国々とはほぼ和解に至っているのである。


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(トーマス・U.バーガー著『戦争犯罪と第二次世界大戦後の政治(War Guilt and Politics After World WarⅡ)』)




 バーガーはボストン大学の国際関係の助教授で日本にも頻繁に足を運んでいる研究者だ。彼は現在慶應大学で講義を担当している。私は今週、電子メールで彼の本についてバーガーとチャットを交わした。以下にその抜粋を紹介する。



・なぜこの本を書こうと決めたのか?



 私はドイツと日本で歴史問題が国防や外交政策に及ぼす影響について研究を行っていました。だから、1990年代に日本の過去の扱い方について論争が噴出した時に、多くの友人が、これは当然君が検討するテーマだと考えたのです。私は何本か論文を書いて、すぐに本を出版できるだろうと思いましたが、出版には14年近くもかかりました。




・なぜそんなに長くかかったのか? 


 このテーマに取りかかってみて、私は、政治学者も政治家も、歴史に関わるかけ引きを動かしているのは何かという点については充分な手がかりをもっていないと確信するようになりました。私はその点について納得するために様々な分野の資料をたくさん読まざるを得なかったのです。




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(中国:島の紛争で反日の抗議活動が勢いづく)



 また、もっと個人的なことですが、私は両親としばしば戦争の体験について話し合いました。私の母は、戦争中ドイツで暮らし、空襲を体験し多くの学友を失い、最終的には家を追われました。父はウィーン出身で、キリスト教徒ですがユダヤ系だったので、ナチスが1938年にオーストリアを併合した後、逃亡を余儀なくされました。彼らの体験を聞くことで当時の現実や、戦争の余波に人々がどう対処しようと試みたのかも私は痛いほど判っていました。それが私の客観性を損なわなかったことを願うばかりです―――それはなかったと思いますが。でも、そういうことがあったので、あるレベルでこの研究は個人的なプロジェクトという側面をもつことにもなったのです。



・何が判ったのか? 日本は、隣国が主張するように、過去を反省しない国なのか? 




 そうです。でもそれほど単純ではありません。


 確かに、日本は、ドイツや過去の暗い側面に直面した他の国ほどには悔い改めてきませんでした。日本は侵略的な戦争をおこない近隣諸国を迫害したことに謝罪はしましたが、その謝罪は口ごもったりぎこちないものだったし、長老政治家からの修正的な発言によって無効にされることもしばしばありました。日本が被害者に提供した補償金も比較的わずかでした。それに、今日に至るまで、日本の侵略や残虐行為を認める国立の記念館やモニュメントがないのです。


 しかし、日本は、しばしば信じられているよりもはるかに悔い改めてきたのです。歴代の首相は繰り返し自国の過ちに対する謝罪を表明してきました。日本は韓国と中国と共同で行う歴史研究に資金を提供してきました。日本の学校のほとんどの教科書は南京の虐殺や朝鮮人に対する植民地弾圧のような問題を非常にオープンな形で扱っています。世論調査は、ほとんどの日本人が自国が謝罪すべきことをアジアでしたと感じていることを示しています。




・では、なぜ日本人は「我々は間違っていた。申し訳ない」 と言えないのか?



 謝罪とは、どんな国の指導者にとっても高くつく仕事で、多大な政治的資本の投下を必要とします。謝罪して(少なくとも部分的に)受け入れられそうなときに、そして両国間の対話がそれで前に進むようなときに、謝罪はなされるものです。だから、謝罪する強い理由がないならば、ほとんどの指導者は避けるものなのです。


 アメリカの読者は、アメリカ人が奴隷制度や人種差別の制度の遺産と折り合いをつけるのがどれほど難しかったかを思い出せばいいでしょう。日本に対する原爆の投下やフィリピンの反政府軍の虐殺などの問題は、今でもアメリカの政治家にとっては扱いにくい問題です――彼らがそうした問題をそもそも問題として意識しているとしての話ですが。



 問題は、中国や韓国では、和解を促進しようとする日本の努力を喜んで受け入れようという気持ちがなかったので、結果として、そうした努力は失敗に終わることが多かった、ということなのです。




・ すべては日本のせいか? 




 いや、韓国人や中国人にも大きな責任はありますよ。韓国人には、日本人が和解の道を見つけようと努め、その方法を見つけようとする手助けを進んでしようとはしませんでした。この点はアジア女性基金の場合にとても明らかですね。韓国政府はアジア女性基金を支援しなかったし、実際には、それとは別の、ライバルとなるような元慰安婦のための支援システムを設立することで、アジア女性基金を頓挫させました。こうした事態は、これ見よがしに日本に対する鬱憤を晴らして安っぽい点数稼ぎをしようとする韓国の政治家の傾向によってさらに悪化しています――最近、李明博大統領が、独島/竹島に行ったときのようにね。


 中国人が和解を本当に欲していたりそれを気にかけているかどうかを疑問視する理由は充分あります。江沢民が1998年に東京に出向いたとき、彼は過去について脅すような発言をしたので、日本人は同年に韓国の大統領の金大中に差し出した謝罪の文書を提出できなかったということがありましたからね。

 
 中国の指導者たちは、日本に対しては強硬路線を取ることを選んだのです。これは、中国指導部に意見の対立がある時はとりわけそうなるので、一段深いレベルに掘り下げてみると、中国の指導層が自分たちの正当性をとても気にかけていることと関係があるのかもしれません。韓国の指導者はしばしば不人気ですが、韓国の政治システムには根強い支援があるし民主的な制度に対する誇りもありますが、中国国内では一党独裁に対する疑念が大きいためもあって、中国の指導者は国家主義的な方針を取る必要があるのです。




・ アジアの他のほとんどの国は前向きになったのではないか? なぜ中国と韓国では違うのか? 占領の期間がより長かったせいか? それとも戦争で死んだ人がもっと多かったためか?



 
 インドネシアやベトナムやその他の国でも多くの人が亡くなりました。しかし、東南アジアの国々は概して進んで日本人を許そうとしました。日本人が韓国にいた期間よりも台湾にいた期間の方が長かったのですが、台湾の反日的な態度は弱いか存在しないも同然です。


 私が思うに、大きな相違点は、そうした国々の近代的な国家意識がどのように形成されてきたかという点にあります。中国や韓国の国家意識は、多くの点で、日本に対抗する形で規定されました。それとは対照的に、東南アジアのほとんどの国の国家的アイデンティティは、植民地時代の旧宗主国に対抗する形で規定されました。インドネシアでは、焦点はオランダにあり、マレーシアでは英国、フィリピンでは米国でした。この点でも台湾は示唆に富んでいます。民主主義的な運動がその矛先を向けたのは本土の中国に対して(まずは国民党の中国に対して、最近では中華人民共和国の中国に対して)でしたからね。



・ 判りました。で、次はどうなる? 中国は新たな指導者を得た。安倍晋三が今月、日本の新たな首相になりそうだ。韓国も新しい選挙の真っ最中。何か進展があるだろうか?



 私は、少なくとも短期的には、あまり楽観的にはなれませんね。――これから5年くらいはね。


 日本と韓国の関係改善の絶好のチャンスはありますよ。両国には共通の利害がたくさんあります。共通の価値観をたくさん共有しています。どちらも立派で民主主義的な社会です。過去とは対照的に、日本人は韓国人に敬意を払い賞賛するようにさえなったし、韓国人も自信を取り戻しかつての抑圧的支配者に対してもっと寛大になろうという余裕がでてきましたからね。

 
 ただ残念なことに、安倍政権は、中国に対しては毅然としながら融和的に事を進める一方で、韓国には強硬な態度で行こうと考えていることを示す兆候がたくさんあり​​ます。彼らは慰安婦問題に関する河野談話を取り消そうと考えているようだし、歴史問題に関して韓国人がとても挑発的だと思うようなことをするかもしれません。そうなれば韓国人は激怒し対抗措置を取ることになるかもしれません。



 中国人に関して言えば、利益のギャップだけでなく認識のギャップがものすごく大きいので和解の追求の余地はないでしょうし、被害を食い止めるという非常に限られた戦略でさえも不可能かもしれません。新しい習政権は、どこから見ても、尖閣/釣魚島問題をさらに深刻化させようとしているし、さらに一段と強い圧力をかけようとしてくるかもしれません。中国の主張は、日本に対してとても批判的な歴史の特定の読み方に基づいているので、両国が、東シナ海の危機を煽ろうとする国家主義的なパッションを食い止める可能性はほとんど、あるいは全くないでしょう。


 誰もが頭を冷やして――米国が背後から助け船を出して――両国政府がこの問題を危険なレベルにまでエスカレートさせないように説得できればいいと私は願っています。しかし、さらに暴動が起こり、外交的に危機的な状態になり、紛争中の領土の周辺で準軍事的な組織を巻き込む衝突が起こる可能性は非常に高いのです。






」(おわり)

















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