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イチローのプレーオフの夢が叶う [海外メディア記事]

 プレーオフを控えて、イチローがニューヨークのメディアと30分に及ぶインタビューに応じたが、そのインタビューを中心にしたESPNNewYork.comの記事を紹介する。


 「ここに来るのは運命だったんだ」とまで言い放ったイチロー。よほど、今のヤンキースが性に合ったようだ。本当の居場所をようやく見つけて、ポストシ-ズンで本領を発揮してくれるか見ものである。

 
Ichiro's playoff wish comes true


By Wallace Matthews | ESPNNewYork.com

http://espn.go.com/new-york/mlb/story/_/id/8467480/mlb-playoffs-2012-new-york-yankees-ichiro-suzuki-returns-postseason




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イチローのプレーオフの夢が叶う

この二か月間でスズキは敗者から勝者に変わり、ヤンキースのキープレーヤーになった。




 11年連続で、この10月は、イチローの野球シーズンが終わりを迎える時期となるはずだった。


 しかし、今年の10月は始まりにすぎない。アメリカンリーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第7戦の翌日に39歳になるスズキにとって、この違いを体験することは、若さを蘇らせるという不老の泉(fountain of youth)の水をごくごくと飲むようなものだった。


 「毎年、プレーオフはテレビで見ていましたよ」とイチローは金曜日の夜に語った。「(テレビに映る)他の観客に向かって「チクショー」と言いながらね」。


 シアトルの10月はそんなものだった。2001年のシーズン――2001年はイチローにとってポストシーズンに進んだ唯一の年だったが、しかしヤンキースに行く手を阻まれた――以降、シアトルは他球団の選手が夢の舞台に立つのをただ見ているしかない野球の不毛地帯だった。


 

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 プレーオフの舞台に戻ってくるのに長い時間待ったイチロー・スズキ。




 だからこそ、イチローは、11年と半年間マリナーズの一員として過ごした後で、トレードを申し出ようと決心したのだし、殿堂入りが見込まれる選手のほとんどが尻込みしそうなヤンキースの条件のリスト――先頭打者としてキャリアを積んできたのに9番で打てという条件や、先発が左腕の時はベンチに座っていろという条件や、メジャーでは一度も守ったことがないレフトの守備につけという条件――にも従ったのだ。


 それほどまでにイチローはポストシーズンの野球を堪能したかったのだ。イチロー以前にはウェイド・ボッグスやロジャー・クレメンスやアレックス・ロドリゲスがそうだったが、イチローは野球界でのありとあらゆる成功を勝ち得てきたが、ヤンキースが提供できる成功には無縁だった。


 だから、彼らと同様、イチローは、10度におよぶゴールド・グラブ賞、2度の首位打者のタイトル、MVPと新人賞(この2つの賞は2001年に27歳の「ルーキー」として勝ち得たものだ)といったタイトルにワールド・シリーズを加える機会を与えてくれると思われた一手を画策したのだった。



 これまでのところ、この一手はヤンキースとイチローの両方にとって上手くいっている。


 ヤンキースはこの取引きから利益を得たし、イチローを有意義な――マリナーズが116勝をあげて、球界最高のレギュラーシーズンのチームになったあのルーキーのシーズン以来となる――10月のポストシーズンに出場させることになったからだ。


 その見返りにイチローは、ブレット・ガードナーが 4月にヒジの怪我で戦線離脱した日から空白となっていたヤンキースのラインナップの部分を埋めることになった。


 当てるのがうまいスラップ・ヒッターのスタイルとスピードと攻撃的な走塁は、ホームランが出れば幸せというヤンキースのラインナップにはなかった次元を付け加えたし、イチローがバッティング・オーダーにいること――それが9番であれ、最近のように、2番であれ――で、ジョー・ジラルディはガードナーとジーターのコンビでしたような(下位打線が上位打線につながる)「循環的な」バッティング・オーダーを組めるようになった。


 しかし、とりわけ、イチローが見せたあの一手は、シアトルで月並みな選手に落ちぶれていくしかないように見えたこの選手に、チームを引っ張るというよりもチームの雰囲気を反映してしまうこの選手に、再び活力を与えたように見えるのだ。


 
 マリナーズのイチローは打率が0.261だったが、これはメジャーでの彼のキャリアでは群を抜いて最低の打率だったし、出塁率も哀れなほどの0.288だった。しかし、ヤンキースの一員となった67試合で、イチローは0.322の打率をあげ、四球はわずか5回しかなかったにもかかわらず、出塁率は0.340にまで跳ね上がった。


 「恐ろしいニューヨークのメディア」と、冗談めかして、彼が呼ぶ記者たちと金曜日の夜に行なったクラブハウスでの長いインタビューで、イチローは、シアトルでは周囲の環境に合わせたプレーをしていたことを大筋で認めた。



 「9月の多くの試合では、チームが優勝争いからとっくに脱落していたような状況で僕はプレーしていたので、そうなると、自分でやる気を出す方法を見つけなければいけなくなるわけです」と彼は言った。「手を抜いた日なんて1日もなかったけど、毎日毎日球場に向かい続けようという気持ちを奮い起こして力の限りプレーしようという心構えをするには、本当に多くのエネルギーが必要でしたね。明らかに、ヤンキースではそんな必要はありませんけどね」。


 こうした風景の変化はイチローのプレーを再び活性化する以上のことをした。シアトル時代の彼を知っているある事情通によると、この変化は彼の性格にも刺激を与えたという。ヤンキースに加わった短い期間内で、彼はチームメートの多くとユーモラスな関係を作り上げた。特にデレク・ジーターとラッセル・マーティンとは親しくなり、イチローはその二人をそれぞれ「サンダーソン」と「コルトレーン」というミドルネームで呼んでいるのだ。


 ヤンキースの選手たちも、イチローが自分のロッカーの正面にあるクラブハウスのマットの上で試合前に入念なストレッチをする様子を感心して眺めたり、彼の風変わりなワードローブを見て歓声をあげたりしている。その呼び物は、足首の上までたくし上げたタイトなジーンズや、多様なハイ・トップのスニーカーやカラフルな縞模様のソックス(それも、しばしばピンクや紫だったりする)だ。

 
 「これはメモしておいてよ」と先日ジーターは言った。「僕はあの男から服を借りることは決してないだろうね」。



 イチローは、ヤンキースでは唯一、パッドの入った鍵つきでスチール製のトランクにバットをしまっている選手だが、これはハンターがライフルを、ギタリストが大事な楽器を大切に保護するような扱いだ。


 しかし、この2ヶ月間で、スズキ・イチローの特異な振る舞いはヤンキースのクラブハウスではありふれたものになってしまった。そうした儀式的な振る舞いの数々は、ジーターがその日の試合のために新しいアンダーソックスを取りにソックス袋のところに毎日行くのと変わらないほどありふれたものに見えるようになった。



 「ここに来てみて、このクラブハウスの雰囲気にしても、このチームにしても、僕にはぴったりしていると感じましたね」と彼は言った。「僕はこのクラブハウスですぐに落ちつけたんですよ。これは運命だったんだ、こうなるのは運命だったんだと思っています」。


 イチローの通訳をしているアレン・ターナーによると、実際イチローはヤンキースのにぎやかなクラブハウスを「平和な場所、試合前に集中しリラックスできる場所と見なしている。騒々しい音楽はないし、部屋はたくさんあるし」。


 実は、スズキは30分に及ぶインタビューの時間を、パッドつきのシリンダを腰にあてがい床の上でストレッチをしながら受けたのだ。


 トレードのデッドラインぎりぎりでヤンキースにやって来て活躍した選手はたくさんいる。近年だけでも、ボビー・アブレイユ、ランス・バークマン、ケリー・ウッドが8月にチームの一員となり、10月に入って目覚ましい貢献をした。


 しかし、イチローほどの実績をもつ選手がシーズンのこれほど後半になってヤンキースに来たことはめったになかったのだが、それは彼ほどの優秀な選手をほとんどタダ同然で獲得できることは稀なことだからだ。ヤンキースはまあまあの新人投手を二人放出し、約400万ドルを払っただけでイチローをロースタ-に加えたからだ。


 このトレードがなされた時、これは双方にとって失敗になることはない状況だと私は書いた。イチローは調子を取り戻し大いに貢献してくれるかもしれないし、そうならないかもしれない。どっちに転ぶにせよ、それはやってみる価値があるギャンブルだった。これまでのところ、双方が満足できる結果になっている。

 

 イチローは、右ピッチャーとだけ対戦するにはあまりに良いバッターであることを証明したし、9番バッターとしては、去年ガードナーが見せてくれたジーターとのワンツー・パンチを見せてくれているが、下位の打順に埋もれさせるにはあまりに勿体ないことを証明した。それに、ニック・スウィッシャーが負傷しているマーク・タシェアラの代わりに一塁を守る必要のある時、ゴールドグラブ賞を10回獲得した選手をいつでもレフトに回せることができるのはとても都合がよいことだ。

 
 「イチローがしたことや示したことは、彼がまだ偉大な選手であり、試合に本当にインパクトを与えることができるということだ」とジラルディは言った。「彼はここにいてワクワクしているし、とても楽しんいる、その姿は毎日見れるよ。彼をベンチに座らせておくつもりはないからね」。


 この2ヶ月の間で、彼は敗者から勝者に、下り坂のパート・タイムの選手からヤンキースのプレーオフのラインナップを飾る貴重なフル・タイムの選手に変貌した。そしてこのひと月で、イチローはシアトルの過去11年間で手にすることのなかったものをする機会を手に入れることになるかもしれない――ワールド・シリーズに出場し勝利するという機会を。


 「たぶん他のチームならば、プレーオフに進出することがゴールの一つなのでしょうけどね」と彼は言った。「でも、ここヤンキースでは、いまは目標設定が始まる時期にすぎないわけです」。


 12シーズンを終えた今、イチロー・スズキは10月が終わりである必要はなく、まったく新しい始まりなのだということを再発見した。


 そして明らかに、彼はそれを楽しんでいる。





」(おわり)


















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