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読み書き・そろばん・折れない心 [海外メディア記事]

  貧しい家庭の子供たちを大学に進学させようとする試みを紹介する『ニューヨーク・タイムズ』のコラムより。書き手は同紙によく寄稿しているコラムニストである。


 面白いのは、読み書きや計算のスキルよりも、あきらめずに持続する気持ちを身につけさせることが大事だという点。読み書き・そろばんよりも前に、性格(character)を正すことが肝心で、高校生であっても性格の改善は可能だということ。本当にそうなのだろうか?

 本文で触れられている「チャーター・スクール」については、Wikiを参考にされたい(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB)。

 
 日本でも貧困問題は深刻化していて、大学に行きたくても行けない高校生は非常に多くいるはずだから、遠からず、似たような動きが出てくるだろうか? 




 ( 付け足し : コラムのコメント欄に目をやると、否定的な意見が多いことが判る。私自身も、こうした教育ビジネスについては半信半疑だ。目標を数値化して掲げているあたりに、教育とは異質なものを感じ取る人もいるのではないだろうか? )




Reading, Math and Grit
By JOE NOCERA
Published: September 7, 2012

http://www.nytimes.com/2012/09/08/opinion/nocera-a-ray-of-hope-in-education.html



「 

  読み書き・そろばん・折れない心


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  木曜日の夜の受諾演説の冒頭で、オバマ大統領は、政府による教育改革の支援に賛意を表わした。「わが国の最悪の学校にも、数学とリーディングで真の改善が見られたところがあった」と大統領は言い、次の10年間で数学と科学の教師を10万人増やすように呼びかけた。それから、彼は外交政策やメディケアのような別の話題に移った。最終コーナーに差しかかった大統領選にとっては、教育問題よりもそうしたトピックスの方が重要だと大統領が見なしているのは明らかだ。


  
  教育が大統領選挙でホットなテーマになっていないのは驚くべきことではない。景気が依然として低迷していて、政府の役割についての論戦が中心のテーマになっているとき、教育がホットなテーマになることはないからだ。おまけに、ジョージ・W・ブッシュは「落ちこぼれ防止法(No Child left Behind Act)」(http://www.edweek.org/ew/issues/no-child-left-behind/)を制定し、オバマは「トップをめざす競争(Race to the Top)」(http://www.whitehouse.gov/the-press-office/fact-sheet-race-top)という教育支援制度を作り、共和党も民主党も教育を改革しようと試みてきたからだ。こうした「真の改善」があったにもかかわらず、教育の改革は場当たり的で思うように進んでこなかった。恵まれない子どもたちのあまりに多くが、低い教育水準にとどまっている。大学に行くことが中流の生活をする前提条件となっているのに、高校を卒業しても大学に行ってないか、大学を中退した人があまりにも多いのだ。


 『子供たちが成功する方法( How Children Succeed)」(http://www.hmhbooks.com/howchildrensucceed/index.html)』と題された新しい本が出版されたのは、こんな現状があるからだ。著者はタイムズ・マガジンの元編集者のポール・タフ(Paul Tough)だが、この本は、教育がいぜんとしてわが国の最も重要な課題であるということを折良く思い出させてくれる本だ。『子供が成功する方法』でタフは、単に算数やリーディング――いわゆる認知的なスキル(cognitive skills)と呼ばれるものだが――を教えるだけでは充分ではない、特に、貧困のストレスに耐えながら成長してきた子供たちにとっては充分ではないと主張している。実は、そうした認知的なスキルは、もっとも重要なものですらないのかもしれないのだ。


 むしろ、最近の研究をふんだんに利用しながら、タフは生徒のうちに発展させるべきもっとも重要なものは「非認知的なスキル(noncognitive skills)」―――それをタフは「性格(character)」と呼ぶ――であると書いている。タフが賞賛している研究やプログラムを実行したり運営中の人々の多くは、こうした非認知的スキルをいろいろな形で表現している。しかし、それらに共通しているのは、学校だけでなく実人生でも成功するために必要となる性格特徴なのである。ジェフ・ネルソン(Jeff Nelson)は、シカゴの23校の高校と提携して「ワンゴール(OneGoal)と呼ばれるプログラム(http://www.onegoalgraduation.org/formerly-us-empowered/)――学生の成績を向上させ、学生が大学に進学する手助けをするプログラム――を運営しているが、彼は、こうした性格特徴を「屈しない心、正直、何とかやりくりしていこうとする機知、専門的知識、高い志」と記した。「それらは、私たちの行為の要となるものです」とネルソンは私に語ってくれた。ネルソンはそれらを「リーダーシップのスキル(leadership skills)」と呼んだ。タフは「折れない心(grit)」という語を多用している。



 ある意味で、これらは、私たちが誰でも子供たちに教え込もうとしている特徴である。(事実、上流階級の親の多くは、こうした点で失敗しているのではないかと不安を抱いていることに、タフは自著の一章を割いている)。しかし、貧しい子供たちの親は、そうした役割を果たすことができないことが非常に多い。子供たちは、学習する能力を妨げる習慣を育ててしまうのだ。しばしば彼らは勉強していったい何になるのか理解すらできない。彼らは学校では何事にも無関心だったり敵対的にふるまうが、その背後にはしばしば絶望や不安の感情が隠されているのだ。


 私にとってもっとも意外だったのは、性格とは小さい子供のころに身につけなければならないものでも、生まれつきもっているものでもなく、そんな性格の素地がなくとてもつらい生活を送ってきた十代になってからでも身につけられるものだという(実践例の報告によって裏づけられた)タフの主張だった。私たちは、性格を強調するプログラムや指導者の助けをかりて生活をすっかり改善させた多くの子どもたちに会った。わが国の最良のチャーター・スクール・チェーンであるKIPP(http://www.kipp.org/)の創始者であるデイブ・レヴィン(Dave Levin)にも私たちは会った。KIPPの最初期の卒業生は、大学に進学したときは苦労した――タフによれば、6年たって大学を卒業していたのはわずか21パーセントだけだった――が、その後、彼は性格特徴を強調し始めると、事態は好転したのであった。


 そして私たちは「ワンゴール(OneGoal)」の創始者であるネルソンにも会った。ワンゴールは、恵まれない家庭の高校二年生――そのほとんどは大学はかなわない目標だと思っている――を対象にして、彼らを優良な大学で成功できる責任感ある若者に変貌させる仕事をしている。ワンゴールは85%という「持続率」――ネルソンはそう呼んでいる――を定めている。それはつまり、ワンゴール出身で大学まで進学する学生の率のことである。(このプログラムはまだ歴史が浅いので大学卒業率は定めていない)。


  比較のために言うと、国全体では、最貧困層出身で大学を卒業する学生はわずか約8パーセントにすぎない。ネルソンは、ワンゴールは来年ヒューストンに進出し、2017年までに5つの都市で活動している予定であると私に語った。


 私もそうなることを願っている。タフの書物は、恵まれない学生であっても、困難に立ち向かいながら頑張りとおす――どんなに遠いものであっても目標を追い求めたり、何かを成し遂げる―――ことを可能にする非認知的スキルを学ぶことができるならば、より良い生活を手に入れることができる、ということを説得力をもって語っているのである。


 アメリカの教育の現状について暗い気持ちになることは簡単だ。だから、大統領候補者たちもあまりそこに力点を置かないのだ。そこが『子供たちが成功する方法』と違う点だ。この本からは楽観的な考えが湧き出ているのだ。



」(おわり)


















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