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映画史上最も偉大な映画のトップは…(2) [海外メディア記事]

  前回の『ガーディアン』紙の記事のおまけで、英国映画協会(BFI)主催の「映画史上最も偉大な映画のトップ50」のリスト(と上位10作品には選者のコメント)を紹介する。



   個人的な感想を記しておきたい。

・ ドライヤーの作品がトップ50に三つも入っているのが驚き。最近、再評価の機運があるのだろう。しかし、ドライヤーが日本で人気化することは絶対ないと思う。
 
・ それと(たぶん)反比例する形でベルイマンが1作品だけなのもちょっと意外。ベルイマンの研究書は盛んに出ているんだけどね。

・ タルコフスキーが3作品入っているけど『ノスタルジア』がないのが少し意外。『鏡』は、確か、一年以上にわたって収益を度外視して上映し続けた映画館がロンドンにあったはず。コアなファンがイギリスにはいっぱいいそう。

・ 小津の『東京物語』はともかく、『晩春』が入っているのは驚いた。ああいう親子のベターとした情緒的なものを好む人は欧米にも多いのだな。
 
・ フェリーニの中では『道』をさしおいて『甘い生活』が入っているのは異議あり。

・ トリュフォーの処女作は、やはり、原題通り(Quatre cents coups:「400発」を意味する)、“The 400 Blows” と英訳されるのだな。『大人は判ってくれない』という感傷的な邦題を見るたびに、やはりちょっと「やめてくれ」と言いたくなる(が、今さらどうしようもないことだが)。

・ ゴダールの影響をいろいろ感じる。やはり偉いのかな。個人的にはゴダールは受けつけないのだが。

・ アメリカの作品が少ないのは、選者がヨーロッパ系の人が多いからなのかな。やはり、ヨーロッパの人間は『風と共に去りぬ』なんかは間違っても選ばないよな。


・ 『サンライズ』や『裁かるるジャンヌ』というと、京橋のフィルム・センターで初めて観た一昔前の思い出がよみがえって、ひどく懐かしい。こういう古い作品がDVDか何かでもっと気軽に鑑賞できる環境ができればいいのだが。

    )


 さて、私はトップ50のうち3分の2ほどしか観てないですね。皆さんも、たまには勉強のつもりで古典的な作品に触れてみるのも悪くないと思います。
  


 
The Top 50 Greatest Films of All Time
http://www.bfi.org.uk/news/50-greatest-films-all-time

Wednesday, 1 August 2012


「   映画史上最も偉大な映画のトップ50




1. めまい

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アルフレッド・ヒッチコック、1958年 (得票数191)

 ヒッチコックの至高のそして最も神秘的な作品(映画としても芸術の象徴としても)。誇大妄想と強迫観念がこれほど見事に描かれた作品はない――マルコ・ミュラー(Marco Müller)。

 半世紀間トップの座を独占し続けた後で、『市民ケーン』は人を寄せつけないほど神聖なもののように見え出した。 他人の災難を見て喜んでいる(Schadenfreude)と言われそうだが、この「最高の」という型通りの儀式的になったシンボルが外されたことを喜ぼう。『めまい』が1位に躍進したことはクーデターという性質のものではない。1972年には11位タイだったこのヒッチコックの傑作はこの30年間着実に順位を上げてきたが、2002年には『めまい』が『市民ケーン』の後継者になることははっきりしていた。しかし、オーソン・ウェルズの熱烈なファンでもこの穏やかな革命をありがたく思うべきなのだ――映画の基準(とそれが正当化する映画の歴史)はまったく化石のように不動のものではないということを証明するためだけのことであるとしても、この革命をありがたく思うべきなのだ。


 
 カリフォルニアで17年という歳月を隔てて作られた2つの映画が、気まぐれなまでに印象批評的なリストの上で順位を取り換えたということには大した意味はないのかもしれない。しかし、偶然の出来事を意味づけようとする人間の衝動は否定できないだろうし、『めまい』は、意味を紡ぎだす巧妙で二枚舌のメカニズムなのである――ピーター・マシューズ(Peter Mathews)。


2.  市民ケーン

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 オーソン・ウェルズ、1941年 (得票数157)


 『市民ケーン』と『めまい』がトップの座を占めているは、神の思し召しによるわけではない。この二作品は、偉大な映画作品の果たすべきこと――それは、日常を拡げて幻想的なものにまで到達することだが――を、依然として最も見事に果たしているからなのだ――ナイジェル・アンドリューズ(Nigel Andrews)。


 この10年の間、私はこのウェルズの監督第一回作品を何度も観てきたが、その度ごとに、この映画は新しい宝石のようなものを明かしてくれる。明らかに、何か一つの作品を取り上げてもっとも偉大な作品とするわけにはいかないのだが、私にとって今のところ『市民ケーン』が、文句なく、最もそれに近いものだろう――ジョッフ・アンドリュー(Geoff Andrew)。


 『市民ケーン』には映画の生命がすべてある。それを初めて見ても何度目かに見ても、『市民ケーン』は何かを啓示してくれるのだ――トレバー・ジョンストン(Trevor Johnston)。




3. 東京物語

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 小津安二郎、1953年(得票数107)


小津は、自分の映画がどれも――少なくとも戦後の作品は――小さなテーマの変奏にすぎないことを念頭に置いて、自分自身をよく「豆腐屋」にたとえた。しかし、『東京物語』がほとんどの人によって彼の傑作として評されているのはどうしてだろう? DVDがリリースされて『生まれてはみたけれど』のような戦前の作品も鑑賞できるようになったが、それでも小津への票が割れることはなかったし、『東京物語』は2002年の投票の時に比べて順位を2つ上げたのだ。単純に考えて、『東京物語』のなかでこのもっとも日本人的な豆腐屋は自分の芸術を完成の域にまで洗練させ、家族や時間や喪失についての真に普遍的な映画を生み出した、と言うべきなのかもしれない――ジェームズ・ベル(James Bell)。




4. ゲームの規則

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ジャン・ルノワール、 1939年 (得票数100)

 もっとも高度な自然主義の考えを映画で表現できたのはルノワールだけだった。彼は、この世界を暗く残酷だが客観的な観点から眺めてから、晩年の作品の静けさを得たのだった。彼に対しては、最上級の表現を使うことにためらいの気持ちを抱く者はいない。端的に言って、『ゲームの規則』は最も偉大なフランス人監督による最も偉大なフランス映画である――オリビエ・ペール(Olivier Père)。





5. サンライズ

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F.W.ムルナウ、1927年 (得票数93)

 ムルナウが1926年にドイツを去ってアメリカに向かったとき、映画界はやがて来る時代を予感していたのだろうか? 変化がもうすぐそこに迫っていると感じていたのだろうか? トーキーの役者が現実にもっと合うように映画をさらって行ってしまう前に、今こそ空想や幻覚やスペクタクルをつめ込む時なのだと感じていたのだろうか? 多くの要素が、この映画を、誘惑と欲望についての教訓譚以上のものにしている。若い夫が都会の女に対する欲望に溺れてしまい妻を溺死させようとするお話、夫婦がお互いに対する愛情を再発見するという単純だが甘美な物語以上のものにしているのだ。『サンライズ』は、足かせのない自由な想像力とスタジオ・システムの力が足を引っ張り合うことなく協力し合えた――おそらく同じ規模ではもう二度と再現されることのなかった――実例なのである――イザベル・スティーブンス(Isabel Stevens)。





6. 2001年宇宙の旅

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スタンリー・キューブリック、1968年(得票数90)



 『2001年宇宙の旅』は他に類を見ない記念碑であり、空想上の壮大な飛翔であり、その人間観や宇宙観において空前絶後の作品である。それは、今では技術に対する人類の楽観的考え方が頂点に達したように見える時代に発せられたメッセージなのである――ロジャー・エバート(Roger Ebert)。




7.  捜索者

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ジョン・フォード、1956年(得票数78)


 ジョン・フォードの個人的な復讐を描いたこの作品の人気の変動――2002年は批評のトップ10にも監督のトップ10にも登場しなかったが、1992年の批評家のアンケートでは5位だった――は、西部劇の人気の移り変わりを反映しているのだろうか? 西部劇に大した関心をもたない人にとって、これは単なる西部劇にすぎないだろうが、『捜索者』がこの順位になったことは、ジョン・フォードの株がこの10年間でかつてないほど上昇してきていて、最近の映画のまったく思ってもみないような所にフォードの影響がうかがえることと関係があるのではないかと私はにらんでいる――キーロン・コーレス(Kieron Corless)。





8.  カメラを持った男

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ジガ・ベルトフ、1929(得票数68)


 

 ジガ・ベルトフの都市をシンフォニーとして捉える映画は、ようやくその時代がやって来たと言える映画なのではないか? 前回の批評家のアンケートでは27位にランクされたにすぎなかったが、今やエイゼンシュタインのかつては永遠の傑作として――構成主義ソビエトの至高のサイレントとして――評された『戦艦ポチョムキン』に取って代わってしまった。エイゼンシュタインの戦火の馬のように、この作品は、モンタージュを革命的意識に向ける手段として見る実験的なアジテーションである。寓話や空想で話を進めていくというより、この作品がはっきりと関心を寄せるのは、現代の都市の日常を記録することであり(だから今回のアンケートでドキュメンタリーのトップになったわけだが)、それに関わる主体にその日常を表現し返すこと(その点で、メタ映画のトップになった)なのである――ニック・ブラッドショー(Nick Bradshaw)。




9. 裁かるるジャンヌ


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 カール・ドライヤー、1927年(得票数56)


  『裁かるるジャンヌ』は映画の創成期にあってそびえ立つような偉大な作品、人間の顔の極端なクローズ・アップに基づいた涙と炎と狂気から成り立つ超越的な映画であったし、いまだにそうである。この作品は長年にわたって観るのが困難だったが、前から評価が高かったし、映画の書物で引用される印象的なスチール写真やゴダールの『女と男のいる舗道』に登場したおかげで、それと最近では一連の忘れがたい上映会があったおかげで、その失われた期間であっても、この作品は批評家の意識にとどまり続けた。2010年のトロント国際映画祭の「絶対観ておくべき100本(Essential 100)」のリストで、この作品は映画史上最も影響力のある映画に指名された。その際、ジョナサン・ローゼンバウムは『裁かるるジャンヌ』を「サイレント映画の――そして多分映画そのものの――頂点」と評した――ジェーン・ジャイルス(Jane Jiles)。



10.  8½

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フェデリコ・フェリーニ、1963年 (得票数64)



 作品を生み出す苦しみと、映画製作を取り巻くサーカスのような雰囲気を最も正確にとらえた映画と言っていいだろう。ナルシスティックだったり、自己卑下的だったり、苦かったり、ノスタルジックだったり、暖かかったり、批判的だったり滑稽だったりする所が同じ程度に含まれている。夢と悪夢、現実と記憶が同じ時間の枠組みに共存している。観る者はグイドの世界をあるがままに見るのではなく、もっと「現実的に」、グイドが経験するがままに見るわけだが、それによってこの映画はシューレアリストからデヴィッド・リンチにいたる系譜に位置づけられるのだ――マール・ディエストロ=ドピド(Mar Diestro Dópido)。





11.  『戦艦ポチョムキン』 セルゲイ・エイゼンシュタイン
 
Battleship Potemkin
Sergei Eisenstein, 1925 (63 votes)

12.  『アタラント号』 ジャン・ヴィゴ

L’Atalante
Jean Vigo, 1934 (58 votes)


13. 『勝手にしやがれ』 ジャン=リュック・ゴダール

Breathless
Jean-Luc Godard, 1960 (57 votes)


14.  『地獄の黙示録』  フランシス・フォード・コッポラ

Apocalypse Now
Francis Ford Coppola, 1979 (53 votes)


15.  『晩春』 小津安二郎

Late Spring
Ozu Yasujiro, 1949 (50 votes)


16.  『バルタザールどこへ行く』  ロベール・ブレッソン

Au hasard Balthazar
Robert Bresson, 1966 (49 votes)


17.  『七人の侍』  黒沢明

Seven Samurai
Kurosawa Akira, 1954 (48 votes)


17.   『ペルソナ』  イングマール・ベルイマン

Persona
Ingmar Bergman, 1966 (48 votes)


19.   『鏡』  アンドレイ・タルコフスキー

Mirror
Andrei Tarkovsky, 1974 (47 votes)



20.  『雨に唄えば』  スタンリー・ドーネン&ジーン・ケリー


Singin’ in the Rain
Stanley Donen & Gene Kelly, 1951 (46 votes)


21.  『情事』  ミケランジェロ・アントニオーニ

L’avventura
Michelangelo Antonioni, 1960 (43 votes)


21.  『軽蔑』  ジャン=リュック・ゴダール 

Le Mépris
Jean-Luc Godard, 1963 (43 votes)


21.  『ゴッドファーザー』  フランシス・フォード・コッポラ


The Godfather
Francis Ford Coppola, 1972 (43 votes)



24.  『奇跡』 カール・テオドア・ ドライヤー  

Ordet
Carl Dreyer, 1955 (42 votes)



24.  『花様年華』 ウォン・カーウァイ

In the Mood for Love
Wong Kar-Wai, 2000 (42 votes)



26.  『羅生門』  黒沢明

Rashomon
Kurosawa Akira, 1950 (41 votes)



26.  『アンドレイ・ルブリョフ』  アンドレイ・タルコフスキー

Andrei Rublev
Andrei Tarkovsky, 1966 (41 votes)


28.  『マルホランド・ドライブ』  デヴィッド・リンチ


Mulholland Drive
David Lynch, 2001 (40 votes)


29.  『ストーカー』   アンドレイ・タルコフスキー

Stalker
Andrei Tarkovsky, 1979 (39 votes)



29.  『ショアー』  クロード・ランズマン

Shoah
Claude Lanzmann, 1985 (39 votes)


31.  『ゴッドファーザーⅡ』  フランシス・フォード・コッポラ 

The Godfather Part II
Francis Ford Coppola, 1974 (38 votes)


31.  『タクシー・ドライバー』  マーチン・スコセッシ

Taxi Driver
Martin Scorsese, 1976 (38 votes)


33.   『自転車泥棒』  ヴィットリオ・デ・シーカ

Bicycle Thieves
Vittoria De Sica, 1948 (37 votes)


34.  『キートンの大列車追跡』  バスター・キートン&クライド・ブラックマン

The General
Buster Keaton & Clyde Bruckman, 1926 (35 votes)


35.  『メトロポリス』  フリッツ・ラング

Metropolis
Fritz Lang, 1927 (34 votes)


35.  『サイコ』  アルフレッド・ヒッチコック

Psycho
Alfred Hitchcock, 1960 (34 votes)


35.  『ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン』  シャンタル・アケルマン

Jeanne Dielman, 23 quai du Commerce 1080 Bruxelles
Chantal Akerman, 1975 (34 votes)


35.  『サタンタンゴ』  タル・ベーラ

Sátántangó
Tarr Béla, 1994 (34 votes)


39.  『大人は判ってくれない』  フランソワ・トリュフォー


The 400 Blows
Francois Truffaut, 1959 (33 votes)


39.  『甘い生活』  フェデリコ・フェリーニ

La dolce vita
Federico Fellini, 1960 (33 votes)


41.   『イタリア旅行』  ロベルト・ロッセリーニ

Journey to Italy
Roberto Rossellini, 1954 (32 votes)

42.  『大地のうた』  サタジット・レイ 

Pather Panchali
Satyajit Ray, 1955 (31 votes)


42.  『お熱いのがお好き』  ビリー・ワイルダー

Some Like It Hot
Billy Wilder, 1959 (31 votes)


42.  『ガートルード』   カール・テオドア・ ドライヤー 

Gertrud
Carl Dreyer, 1964 (31 votes)


42.  『気狂いピエロ』   ジャン=リュック・ゴダール


Pierrot le fou
Jean-Luc Godard, 1965 (31 votes)



42.  『プレイタイム』   ジャック・タチ 


Play Time
Jacques Tati, 1967 (31 votes)



42.  『クローズ・アップ』  アッバス・キアロスタミ

Close-Up
Abbas Kiarostami, 1990 (31 votes)


48.  『アルジェの戦い』  ジッロ・ポンテコルヴォ


The Battle of Algiers
Gillo Pontecorvo, 1966 (30 votes)


48.  『映画史』  ジャン=リュック・ゴダール

Histoire(s) du cinéma
Jean-Luc Godard, 1998 (30 votes)


50.  『街の灯』  チャーリー・チャップリン

City Lights
Charlie Chaplin, 1931 (29 votes)


50.  『雨月物語』  溝口健二

Ugetsu monogatari
Mizoguchi Kenji, 1953 (29 votes)


50.  『ラ・ジュテ』  クリス・マルケル

La Jetée
Chris Marker, 1962 (29 votes)





」(おわり)







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