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なぜ指は5本あるのか? [海外メディア記事]

 久しぶりにドイツ『シュピーゲル』誌の科学欄から紹介する。

 進化の過程で、指が7本や8本ある動物も登場したというのに、いつのまにか指は5本に落ち着いてしまった。なぜか? その理由は科学者にも判っていないようだ。



19.05.2012

Evolution der Hand
Das Rätsel der Fünf

Von Carl Zimmer

http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/warum-der-mensch-fuenf-finger-hat-a-829724.html





 手の進化

 指が5本ある謎



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 人間の手は自然が生み出した傑作であり、生物学者はこの比類のない多目的ツールを徹底的に探求してきた。しかし、今日まで科学者がまだ答えを出していない問いが一つある。つまり、進化の過程で、よりによって何故5本の指が残ったのか? という問いがそれである。



 私たちが自分の手で火を起こし槍を作ったときに、それは始まった。私たちは手で文字を書いたり穴を掘ったり、車や飛行機を運転したり、手術で腫瘍を摘出したり、手品で帽子からウサギを取り出したりする。無限の創造性をもつ私たちの脳が私たち人間をユニークな存在にしたのかもしれない。しかし、手がなければ、どんなアイディアを抱いても無駄になってしまう。

 
 手というこの多目的ツールは、神経と筋肉と骨と靭帯が複雑に相互作用を及ぼし合った結果である。親指を動かすだけでも9種類の筋肉が必要だ。その筋肉のあるものは手の内側の骨で終わるが、腕にまで及ぶ筋肉もある。手首の関節の可動性は、人型ロボットを制作しようと望むすべてのエンジニアの夢であり悪夢でもある。時計職人の手が極小のバネをその正しい位置に置くとき、手にこめる力はほんのわずかに抑えられている。しかし、手にありったけの力を込めて、手首を利かせば、時速約160キロでボールを投げることもできるのだ。


 スコットランドの外科医のサー・チャールズ・ベル(Sir Charles Bell)は、1833年に『人間の手とその属性』という書物を著し、身体のこの部分に丸々一冊の本を捧げた。 当時、進化という観念が関心を集め始めていたが、ベルは、手を綿密に検討すれば下らない無駄話は終わるだろうと考えた。「人間の手は、神の創造の究極で最良の証拠である」と彼は書いたのだ。


 ただし、なぜ人間以外の種も手をもっているのかを、彼の議論が説明できなかったことはあまりに間が抜けていた。オランウータンの指が5本あることに異議を唱える者はいないだろう。コウモリの手もまったく同じような作りだ。5本の指は動きやすい手首と結びついている。人間がもっているのと同じ指の骨で、コウモリは飛膜をピンと引っ張っているのだ。


 チャールズ・ダーウィンが有名な『種の起源』を書いたとき、彼はこの目を引く一致を特に強調した。「人間のものを掴む手や、モグラの土を掘るシャベルのような手や、競走馬の足や、イルカのひれやコウモリの翼が同じパターンの作りになっていることほど不思議に思えることがあるだろうか? 」とダーウィンは問いかけた。

 
 ダーウィンにとって、その説明は容易だった。私たちは、コウモリや手を持っているすべての動物の親類であるのだ。私たちは皆、共通の祖先から手を受け継いだのだ。


 この発展を理解するために、研究者たちは化石を掘り出し、今日生きている動物の手の解剖学的構造を比較してきた。彼らは、手の構造を制御する遺伝子を調べた。研究者が発見したことはどれもダーウィンの理論を支持するものだった。




 進化はさまざまな形態をテストした



 私たちの手は、およそ3億8000万年前にひれから分化し始めた。ひれといっても、金魚の平らで透明なひれではなくて、今なお生きている肺魚の絶滅した祖先の筋肉質で力強いひれであった。その肺魚の子孫は、時と共に、私たちの手首や指の骨に相当する小さな骨を発達させた。もっと後になってから指が発生した。指は一本一本動かすことができ、水中で獲物をつかみ取ろうとするもできた。


 さらに発展は続き、進化はさまざまな形態をテストした。7本の指をもつ種も誕生した。8本の指の種も登場した。しかし、脊椎動物が3億4000万年前に陸上に進出した頃になると、指の数は減少して5本になっていた。なぜ、まさに5本だったのか? その問いに対して、生物学者は今日まで答えることができないでいる。


 動物界における手の形態の多様性は依然として大きい。その多様性は、イルカのひれや鷲の翼からナマケモノの鎌状の爪にまで及ぶ。手が今ある形にどうしてなったのかを明らかにするために、解剖学的な比較だけをしていればいい時代はとっくに過ぎてしまった。研究者が胚発生を最初の細​​胞分裂から観察することができるようになったとき、手のすべての形態が同じ起源から形成されたものであることを彼らは知った。


 手のバリエーションのすべては、究極的には、遺伝子に由来するわずかな分子の変化の結果なのである。特定の遺伝子の組み合わせが手の発達を調節しているのであって、たとえば関節を形成する遺伝子もあれば、指の長さを決定する遺伝子もある。これらの遺伝子にわずかな変化が生ずるだけで、何本かの指が長くなったり、指が消えたり、かぎ爪の爪が変形したりするのである。

 鷲の翼とライオンの足がどれほど違って見えようとも、その違いは同じ遺伝子のわずかな変異によるものなのである。あらゆる生物種の手や前足や後足や翼は、さまざまな要求を突きつける環境に対する、何百万年もの歳月をかけて続けられてきた適応プロセスの結果なのである。そして、そうした手や足や翼がその目的を果たしていることは、たとえば(以下に掲げた)スライドショーを読者の皆さんがご覧になるときに、納得できることなのである。




1. クジラやゾウからコウモリやヒトにいたるまでの多くの脊椎動物の手足は同じ設計図をもっている。つまり、5本の指は、手首にある関節の集まりに結びついている。前腕部は2本の骨から、上腕部は1本の骨から成り立っている。
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2. 大きなネズミイルカ : イルカは、陸上で生活していた有蹄類から発展し、5000万年前に海中の生活に移行した。前肢はひれに変化し、ひれは種ごとの行動パターンに適応していった。長く細いひれは速く泳ぐことに適している。幅広く短いひれは、限られたスペースの中を敏捷に動き回る種において発達した。
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3.  飼い猫 : 猫の足には湾曲した爪がある。猫が休んでいるとき、足の上部の靭帯の働きで、爪は引っ込んでしまう。獲物を捕らえるために、猫は後足で地面をけり前足を伸ばす。そのとき、前足の筋肉は収縮し、爪をむき出して獲物を捕らえる。そして後ろ足に体重を移し獲物を前足で口に運ぶ。
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4. カエル :カエルの種は数千に及ぶが、その前足は多種多様な活動に適応している。水で暮らすカエルは指の間に水かきをもっている。アマガエルでは、よじ登るのに適した長い指やつま先が普通にある。指先には、葉のようなツルツルした表面でもしっかりした支えになる小さい吸盤がある。
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5. コウモリ : 5本ある指の骨は、翼の繊細な組織をピンと引っ張るテントの支柱のような働きをしている。これは、空中で体のバランスを保つのに十分な抵抗を生み出しているのだ。一本一本の指を動かすことで、コウモリは森の中を急旋回の飛行をしたり花の前でハチドリのようにホバリングをしたりできるのである。
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」(おわり)



 




コメント(1) 
共通テーマ:日記・雑感

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なおぼんR

人間の指が五本あることを私塾で議論しようとして、ここにたどりつきました。
ブログで紹介させてい頂きました。
by なおぼんR (2017-07-02 15:05) 

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