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自閉症のリスクに関連する遺伝子の突然変異がつきとめられる [海外メディア記事]

 自閉症の子供が劇的に増加しているというニュースがつい最近出たばかりだが、自閉症の生物学的な解明の決定的な一歩が踏み出されたようである。そのニュースを『ニューヨーク・タイムズ』より。


 高齢(35歳以上)の男性の精子は、それ以下の年齢の男性に比べて、自閉症に関連する変異(glitch)を生じやすいのだという。この研究結果は、晩婚化の傾向と自閉症の増加という誰もが知っている事実と符合していて、直感的にも判りやすい。しかし、こうしたことが判ったからといって、自閉症の治療のために何か手を打てるということでもなさそうで、歯がゆさが残るが・・・



 なお、キーワードとして使われている「de novo突然変異」については、以下の所の記述をそのままここに再現しておこう。http://www.weblio.jp/content/de+novo%E7%AA%81%E7%84%B6%E5%A4%89%E7%95%B0

 「  de novo突然変異 ・・・・ 片方の親の生殖細胞(卵子または精子)における突然変異の結果として、ある家系員から初めてみられるようになった遺伝子変異、または胚形成の早期に受精卵それ自体に生じた突然変異。「new mutation(新規突然変異)」とも呼ばれる。 」



Scientists Link Gene Mutation to Autism Risk

By BENEDICT CAREY
Published: April 4, 2012


http://www.nytimes.com/2012/04/05/health/research/scientists-link-rare-gene-mutations-to-heightened-risk-of-autism.html





遺伝子の突然変異と自閉症のリスクを科学者が結びつけた




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 ワシントン大学の自閉症研究チームのメンバー:左から、アイヴァン・E・アイクラー、ジェイ・A・シェンデュアー博士とブライアン・オローク




 独立して研究を進めてきた科学者のチームが、子供が自閉症を発症する確率をいちじるしく高める遺伝子の突然変異のいくつかを初めて特定した。彼らは、自閉症のリスクが、両親の年齢とともに、特に35歳以上の父親において増大することを示すさらなる証拠を発見した。



 遺伝子の突然変異はきわめて稀な出来事であり、突然変異をすべて足し合わせても自閉症のほんの一部を説明できるにすぎない――この研究でも、わずかな子供たちの事例を説明できるだけだ。だが、専門家によると、この新たな研究は科学者たちがこれまで手にしてなかったものを与えたのだ。つまり、この病気の生物学的基礎の理解を打ち立てるための明確な戦略を与えたというのである。


 科学者たちは、遺伝的なリスクと環境要因が自閉症においてどれほど相対的な影響を及ぼしているかを数十年にわたって議論してきたし、強力な遺伝的要素が関係していることを今日疑う人はほとんどいない。


 しかし、生物学者は、こうしたいわゆる自閉症スペクトラムの根底にある遺伝のメカニズムを明確にする信頼できる方法を求めては失敗してきた。…


 これまでの研究は遺伝子の散発的な発見を生み出しはしたが、いかにして研究を進めるかについてのコンセンサスも信頼のおける方法もほとんど生み出すことはなかった。



 しかし、ある程度はその両方を、新しい研究――専門誌『ネイチャー』オンライン版に水曜日に掲載された3つの論文において報告された――は提供するものだと、一部の専門家は述べている。おそらく何百、たぶん千を超える遺伝子の変異が、社会的な発育遅延に至るに足るほど脳の発達を妨げているようなのだ。


 専門家によると、稀な突然変異を集中的に調べたところ、すべての自閉症の事例の15%から20%を説明できるほどの突然変異が明らかになったので、それに基づいて研究者が、どこに異常があるのかを説明するパターンやメカニズムを見つけることができるようになるかもしれないのである。


 「これらの研究は大発見というわけではないでしょう、こうした研究がいずれ出てくることは予見されていたことですから」。そう言うのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の精神医学と細胞分子医学の教授であるジョナサン・セバト(Jonathan Sebat)。彼はこの研究チームの一員ではない。「しかし、これはターニングポイントになるでしょう。いまや、前に進むための信頼できる方法が手に入ったので、これからの1年か2年で20や30も、ひょっとしたらそれ以上のこうした突然変異を発見することになるかもしれないと思っても過大な期待ではないでしょう」。


 もっと慎重な研究者もいる。彼らによれば、稀な突然変異の遺伝学がまだ十分に理解されていないので、それらが特定の遺伝子の挙動にどれほどの影響を及ぼすかについては決定的なことは言えない、というのである。


 「これは偉大な始まりであり、私はこの研究に感銘を受けたが、われわれはこれらの稀な突然変異の原因や、一般的集団におけるその変異のレベルについてすらも判っていませんからね」。そう語るのは、ジョンズ・ホプキンス大学医学部の遺伝学研究所のアラヴィンダ・チャクラバルティ(Aravinda Chakravarti )。彼は今回の研究に参加していなかった。「私が言いたいのは、これらの発見は追跡調査する価値がないということではなく、追跡調査が困難をきわめるだろうということです」。


 三つの研究チームは、自閉症の徴候をまったく持たない両親から自閉症の子供が生まれた家族の血液サンプルから採取した遺伝物質を分析するという類似のアプローチを取った。このアプローチは、母方からもたらされる遺伝部分や父方からもたらされる遺伝部分を探求するのではなく、この病気に伴う最初の突然変異をつき止める機会を科学者に与える。三つの研究のすべてで、研究者は、de novo突然変異(de novo mutations)と呼ばれる稀な遺伝子の変異に焦点を当てた。


 de novo突然変異とは、遺伝的に受けつがれたものではなく、妊娠に近い時期、または妊娠の最中に自然発生する突然変異のことである。ほとんどの人が少なくとも1つのde novo突然変異を持っていて、そのほとんどは無害である。


 新たな研究の一つにおいて、イェール大学の遺伝学・児童精神医学の教授であるマシュー・W・ステート(Matthew W. State)は、自閉症と診断された200人と、自閉症の徴候がまったくないその親や兄弟の内に、de novo突然変異を探す研究チームのリーダーをつとめた。そのチームは、関係のない二人の自閉症児が同じ遺伝子の中にde novo突然変異を持っていること――そして、自閉症ではない人々にはそのようなことがなかったことを発見したのである。



 「それは、2万1千個のスポットをもつダーツ板めがけてダーツを投げて、同じスポットに二回ヒットするようなものです」とステート博士は言った。「この遺伝子が自閉症のリスクに関連している確率は99.9999パーセントみたいなものです」。


 チームは、また別の子供が自閉症のリスクとのつながりが疑われる別の遺伝子の中にde novo突然変異を持っていることを発見した――しかし、その突然変異一つだけでは、つながりがあるという主張をするのには十分ではないのだ。



 しかしそれとは独立に、シアトルのワシントン大学のゲノム科学の教授であるアイヴァン・E・アイクラー(Evan E. Eichler)をリーダーとするチームは、209家族を対象にした研究で全く同じことを発見した。ある自閉症児のまさに同じ遺伝子の中に変異が生じていたのである。


 研究者たちは、サンプルの中に、同じ場所にde novo突然変異を持っている二人の無関係の自閉症児を発見することで、さらに別の遺伝子を付け加えた。こうした偶然は、自閉症と診断されなかった研究対象の人々の間には起こらなかったことである。


 最後に――第三の論文で――ハーバード大学のマーク・J・デイリー(Mark J. Daly)が率いるチームは、とりわけこれらの3つの遺伝子を独自に分析し、さらなるケースがあることを発見したのである。


 デイリー博士によると、誰もが、通常、少なくとも1つのde novo突然変異を持っているが、彼の研究が示すところによると「自閉症児の保有率は、平均してわずかに高く、その影響はより深刻である」。


 これら三つの研究は、de novo突然変異のリスクが親の年齢とともに高まることを示す証拠を見出したのである。51のde novo突然変異を分析することで、アイクラーのグループは、女性からのDNAよりも、男性からのDNAにおいて変異が生ずる確率が4倍も高いことを発見した。変異のリスクは、25歳の父親よりも35歳の父親の方が高いので、年齢とともに高まるものと思われる。このことは、高齢の父親と自閉症の上昇とを結びつけた以前の研究が正しかったことの一つの裏づけを提供するものである。高齢の男性の精子は、わずかな、おそらくはランダムな変異を生じやすく、それが稀な場合に脳の発達に影響を及ぼすのである。

 
 こうした研究から明らかになりつつあるイメージが示唆するのは、治療法の探求にはまだとても長い時間がかかるだろうということであり、自閉症として一般的に知られているものは、関連性はあるが生物学的には別個の病気からなる広い範囲のカテゴリーを代表するものだろう、ということである。アイクラー博士のグループもデイリー博士のグループも、高リスク遺伝子が共通する生物学的プロセスの中で相互に作用を及ぼし合っていることを示すいくつかの証拠を見出したのである。

 
 「これは本当に氷山の一角の一角です」とアイクラー博士は言った。「でも私が思うに、重要なことは、われわれのすべてがどこから始めればいいかについて同意することなのです」。


 ステート博士はこう付け加えた。「私の立場からすると、それだけでも大したことだよ。私は長年この研究をしてきたけど、自閉症のリスクをいちじるしく高める遺伝子を一つでも見つけたと誰かに信じてもらえるなんて、長い間、誰も出来なかったんだから」。




」(おわり)








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