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フクシマ以降新たな原発建設が劇的に減少 [海外メディア記事]

 フクシマの大災害以降、世界各地で計画されていた新たな原発建設が凍結や中止になっている現状を伝えるイギリス『ガーディアン』紙の記事を紹介する。

 中止や凍結といっても、しばらくの間なのか、動かしがたいトレンドになるのか、国ごとに意見のばらつきがあり、ドイツやイタリアのようにハッキリした態度を打ち出していない国がほとんどであるのが現状のようだ。 



Dramatic fall in new nuclear power stations after Fukushima


Fiona Harvey in Brussels, John Vidal and Damian Carrington
guardian.co.uk, Thursday 8 March 2012 12.34 GMT


http://www.guardian.co.uk/environment/2012/mar/08/fall-nuclear-power-stations-fukushima


フクシマ以降新たな原発建設が劇的に減少

 新炉の建設工事の減少は、一年前に日本の原子炉が停止して以降、原発に対する関心の低下を反映しているのかもしれない


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(2008年から2010年に、世界で38基の原子炉で建設工事が開始されたが、2011年から12年にかけて建設が開始されたのはわずか2基だけだった)

 


 建設段階に入った新しい原発建設の数は、昨年3月のフクシマの原発事故の余波で、前年と比べて、昨年劇的に減少した。
 
 2008年から2010年にかけて、世界で38基の原子炉で建設工事が開始されたが、2011年から12年にかけて建設が開始されたのはわずか2基だけであることが、グリニッジ大学のエネルギー研究の教授であるスティーブ・トーマス(Steve Thomas)の調査で判った。


 この減少は、一年前に福島の原子炉が停止に追い込まれた後に(この事故では死者は出なかったが数千もの人々が自宅から避難することを余儀なくされた)、原子力発電に対する関心が急速に低下したことの証拠だと見る人もいる。しかし、これは単に一時的な小休止にすぎず、「原子力ルネッサンス」は続くだろうと予測する人もいる。


 欧州議会の緑の党/EFA(欧州緑グループ・欧州自由連盟)の代表レベッカ・ハームズ(Rebecca Harms)は、原子炉の安全性は保証できないことをフクシマは示したと述べて、原子力に対する期待を捨てるように各国に呼び掛けた。「我々は、チェルノブイリの教訓を学ばなかった――学んでいたならばフクシマは起こらなかっただろう」と、彼女はブリュッセルの欧州議事堂の外で行われた小さなデモの参加者に語った。福島県の前知事佐藤栄佐久が彼女の呼びかけを繰り返した。「我々は避難指示のもとに暮らしている。我々のような人間をもう出してはならないと私は思う」。


 ヨーロッパでは、ドイツが原発を段階的に廃止することを決定し、イタリアとスイスも国民投票で原子力エネルギーに反対の意志を表明したが、世論が定まっていない国もある。欧州議会のジョー・ライネン(Jo Leinen)は、ブリュッセルで「地球の友ヨーロッパ(Friends of the Earth Europe)」の聴衆にこう語った:「ヨーロッパにおける原子力ルネッサンスだって? そんなものはどこにもないよ」。

 しかし、気候変動担当欧州委員のコニー・ヘデゴー(Connie Hedegaard)は、原子力発電は、しばらくはヨーロッパと世界の混合エネルギー政策の一部であり続けるだろうと述べた。「実際は、原子力発電の役割は続くでしょうね」と彼女は言った。「フクシマ以前に考えられていたほどの伸び方はしないでしょうけどね。多くの国は[原発とともに]進んでいくでしょう、ただし、安全にはこれまで以上に配慮しながらですけど」。


 世界エネルギー会議(World Energy Council)の事務局長であるクリストフ・フライ(Christoph Frei)は、同会議の調査によれば、原子力に対する欲求と関心は依然として世界中にあるし、イギリスを含む多くの国が新たな原発計画を推進しようとしているとガーディアン紙に語った。「原子力ルネッサンスは続いていますよ」と彼は言った。

 「原子力支持の環境保護主義者カナダ支部(Environmentalists for Nuclear Energy Canada)」の名誉会長であるパトリック・ムーア(Patrick Moore)によると、フクシマの真の教訓は、死者は出なかったし長期的なダメージもないように見えるので、原子力のリスクではなく、原子力の安全性に関する教訓だった。「原子力発電を恐れる十分な理由はありません。それは誰にも害を与えていませんし、フクシマの人にも害を与えませんでした」と彼は言った。


 フクシマの事故が起こる前、原子力発電所は、世界各地でリバイバル傾向にあった。1987年に起きたチェルノブイリの事故は世界中で10年以上にもわたって原発への投資を冷え込ませてしまったが、近年、風向きが変わっていたのだ―――気候変動の問題に取り組み始める国が増え、急速に経済発展をとげる新興国がエネルギーに対する渇望を満たす方法を模索するようになったので、原発の技術が再び真剣に検討されるようになったのである。数十もの新たな原子炉の計画がもちあがったし、原子炉は二酸化炭素を排出しないので、それは気候変動への解決策の一つと見なすべきであり、風力や太陽光発電などの間歇的な再生可能エネルギーに対するバックアップを提供できると主張することによって、原子力産業は環境にやさしい技術としてブランドの再生をはかったのである。

 
 フクシマ以降、ヨーロッパ各国の政府が段階的に原発を停止すると決定した後でも、衝撃波が止むことはなかった。クウェートは先月、原子炉を4基建設する契約を中止し、ベネズエラは原発推進プロジェクをすべて凍結し、メキシコは原子炉を10基建設する計画を廃案にした。

 
 「フクシマは論争に火をつける火花のようだった」。そう語るのは、グリーンピース・ドイツのトビアス・ミュンヒマイアー(Tobias Munchmeyer)は語った。「ショックを受けたドイツの国民は、メルケル首相に、原発を段階的に廃止するか、自分が首相の座から段階的に降りるかのどちらかを選べと迫ったのです。政府が8基の原発を停止したとき、大停電や電気料金の高騰が起こらなかったのは驚くべきことだと思った人々もいました。ちょっとコスト高にはなりましたが、再生可能エネルギー産業の成長の刺激にもなったのです。今では、原発で3万の職があったのに対して、再生可能エネルギー産業には30万もの職がありますからね」。

 
 しかしムーアによると、ドイツは、原子力エネルギーの不足を補うために、13GW相当の化石燃料発電所を建設している最中であり、さらに10GW相当の発電所――合算すると、原子炉23基分の電力が生み出されることになる――を計画しているのだという。


 インドでは、すでに建設中の原発に対する抗議活動が激しさを増しているが、インドは2020年までに原発の能力を4倍にし、2030年までにさらにそれを3倍にして電力の25%を原発でまかなおうとしているのだ。マハラシュトラ、タミル・ナードゥ、ジャイタプールなどでは、大規模な抗議活動や活動家によるハンガー・ストライキの結果、死傷者や出たり暴動が発生している。タミル・ナードゥでは2基の原子炉の建設が遅れ、西ベンガル州では、抗議の後で、ロシア製の6基の原子炉の計画を撤廃した。先月、インドの首相のマンモハン・シンは、抗議活動を煽ったとしてアメリカとドイツの団体を非難した。

 「私たちは、ハンガー・ストライキ、集会、パブリック・ミーティング、セミナー、会議などを開催してきたし、頭を剃ったり、路上で調理したり、原発の模型を燃やしたりといったデモを行ったりしてきました。この闘いは過去197日間にわたって続けられてきたが、人々の士気は依然として非常に非常に高いままです」と、「反原子力エネルギー国民運動(People's Movement Against Nuclear Energy.)」の共同主催者であるSPウダヤクマールは述べた。


 「これは、インドの「普通の市民」と、多国籍企業や世界の大国や原子力産業のマフィアの支援を受けたインド政府の間で行われる「ダビデとゴリアテの戦い」のようなものです。彼らは、原子力、発展、原子爆弾、安全、超大国としてのステータスを約束する。私たちはリスクのない電気、病気のない生活、汚染されていない天然資源、持続可能な発展と害のない未来を求めているのです」と彼は言った。


 中国の原子力に対する姿勢は注目の的になっている。フクシマ以前は、中国政府は2020年までに原発で電力を40GW増やす計画を持っていた。しかし、いくつかの地方で進められていた原発建設計画は、安全性と話し合いの欠如についての抗議を受けて行きづまっている。

 北京のエネルギー調査研究所の所長のジャン・ケジュン(Jiang Kejun)は次のように言った:「大局的に見れば、フクシマの事故は原子力発電にとって良いことだったのかもしれないと私は思っています。そこから多くを学ぶことができますからね。独善的になったり何でも判っているような顔をしてはいけない、ということです」。



 国際原子力機関(IAEA)によると、現在、45カ国が原子力発電の計画に着手することを検討しているという。ベトナム、バングラデシュ、アラブ首長国連邦、トルコ、ベラルーシが今年原発の建設を開始する可能性が高く、ヨルダンとサウジアラビアが2013年に続くようだ。

 
 最近のガーディアン紙とICMの世論調査によると、イギリスでは、フクシマの災害以降、原子力発電への強い反対が急に高まった。自宅近くに新しい原子力発電所が建設されることに強く反対すると述べたのは、2010年の初頭では、国民の39%だったのに対し、2012年の2月には、その数が61%に上昇した。しかし――原発に対してどれほど賛成か、という――別の質問をした英調査会社イプソス・モリ(Ipsos Mori)の世論調査によれば、2011年12月の時点で原発賛成がフクシマの事故以前の40%のレベルに回復していたことが判明した。

 国際的に見ると、24カ国の62%の国民が、原発に反対であることが、フクシマの災害の3ヶ月後の2011年6月に実施されたイプソス・モリの調査で判明した。ただインド、ポーランド、米国では原発支持が多数派を占め、イギリスは国論が二つに割れ、中国とロシアとフランスは反対がハッキリ多数派を占め、ドイツはとても強く反対という結果だった。

」(おわり)






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