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アメリカでも進んでいる教育格差 [海外メディア記事]

  教育は社会的不平等を均一化する効果があると考えられてきたが、それはもう昔の話になってしまったのか? 親の収入が教育の格差に反映し、それに拍車をかけているということが複数の研究で明らかになったようだ。それを伝える『ニューヨーク・タイムズ』の記事より。

  

Education Gap Grows Between Rich and Poor, Studies Say


By SABRINA TAVERNISE

Published: February 9, 2012


http://www.nytimes.com/2012/02/10/education/education-gap-grows-between-rich-and-poor-studies-show.html?src=me&ref=general





 富裕層と貧困層の教育格差が拡大している


  教育は、恵まれない子供たちを底辺から引き上げ、大人になった時に成功するチャンスを高めてくれるものであるがゆえに、アメリカ社会を平等化するものであると歴史的に考えられてきた。しかし、最近発表された一群の研究は、富裕層と貧困層の学力格差が拡大しており、教育の平等化の効果を希薄化する展開になっていると示唆しているのだ。



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(  教育格差 : スタンフォード大学の社会学者の研究によると、富裕層と貧困層の学生の共通テストの得点差は黒人と白人の得点差の2倍であるという。

 学生の出生年ごとの、共通テストにおけるリーディングの平均点の差を示すグラフ。
 オレンジの線 : 収入を度外視した白人学生と黒人学生の得点差
 深緑の線   : 高収入家庭の学生と低収入家庭の学生の得点差  )




 裕福な家庭の子供が学校での成績がより良い傾向があることは周知の事実だ。しかし所得格差は、人種間の学力格差よりも、政治家や政府関係者からずっと少ない注目しか浴びてこなかった。


 さて、ここ数カ月の間に発表された長期的データを分析した研究の中で研究者たちが発見したことは、白人と黒人の学生間の学力格差が過去数十年で大幅に縮小する一方で、富裕層と貧困層の学生の格差が同じ期間内に大幅に増大した、ということだった。



 「私たちは、人種が家庭の収入よりも重要だった1950年代や1960年の社会から、家庭の収入の方が人種よりも教育上の成功を決定しているように見える今日の社会に移行してしまいました」と語るのは、スタンフォード大学の社会学者のショーン・F.リアドン(Sean F. Reardon)。リアドン教授は、富裕層と低所得層の学生の共通テストの得点差が1960年代から約40%も拡大したこと、そしてそれが今では黒人と白人の得点差の2倍になることを指摘した研究の著者である。



 ミシガン大学の研究者による別の研究では、大学修了――労働力市場での成功を占う最も重要な要因――という点での富裕層と貧困層の子供たちの不均衡は1980年代の終わりごろから約50%も増大したというのだ。

 
 この変化は地殻変動とも言えるものだが、過去数十年にわたって生じた社会的・経済的プロセスの結果なのである。これらほとんどの研究のデータは、不況の本格的な影響が感じ取れる前の2007年と2008年で終わっている。過去の不況期の経験に基づくかぎり、最近の景気後退はこのトレンドをさらに悪化させただろうと、研究者たちは述べている。


 「収入の目減りは下の階層の方が深刻なので、この不況が格差をさらに広げた可能性は十分ありますね」とリアドン教授は述べた。彼がリーダーをつとめた研究で、研究者たちは1960年に始まり2007年に終了した12組に分けた共通テストの得点を分析した。彼は、収入が90パーセンタイルの家庭の子供――研究がおこなわれた2008年当時では年収約16万ドルに相当する――と10パーセンタイルの子供――2008年の1万7500ドルに相当――を比較した。


 1960年から2008年の期間の終わりごろになると、収入別の学力格差は40%も増大したが、白人と黒人の学力格差は、収入に関係なく、著しく縮まった、と彼は述べた。


 どちらの研究とも、社会科学の研究センターであるラッセル・セージ財団(Russell Sage Foundation)と、教育に主眼を置くスペンサー財団(Spencer Foundation)が募った論文からなる『機会はどこにいくのか(Whither Oppotunity? )』という研究書に昨秋初めて発表された。彼らの結論は、社会科学の学者の小さな範囲では知れ渡ったことではあったが、所得の不平等がこの大統領選挙シーズンの中心テーマの一つになったこともあって、今やより広範囲な人々の注目を集めつつあるのだ。


 親の所得の不平等と子どもの社会的流動性の関連は、共和党の大統領候補のみならずオバマ大統領にとっても関心を寄せる中心問題となっている。


 学力の格差が増大した理由は、研究者によれば、裕福な親が子供たちに(週末のスポーツ、バレエ、音楽レッスン、数学の補習、それに子供たちの学校に対する全体的な関与に)かつてないほど時間とお金を投資しているのに対して、低所得の家庭は、これまで以上に片親しかいないことが多く、ますます酷使され時間や資金的余裕がなくなっていることにあるという。この点は、ますます多くの親が、大卒が経済的な成功にとってこれまで以上に不可欠となっているため、子供を大学に入れようと考えるようになった今日、特に当てはまるのだという。

 
 マドリードのファン・マーチ財団(Juan March Institute)の上級研究センターの研究者であるサビーノ・コーンリッチ(Sabino Kornrich)とフランク・F.ファーステンバーグ(Frank F. Furstenberg)による研究は専門誌『デモグラフィー(Demography)』に今年掲載される予定だが、その研究によると、1972年に年収のトップにいたアメリカ人が子供一人当たりに費やす費用は低所得の家庭に比べて5倍だった。2007年にはその差は9倍にまで拡大した。高所得世帯の支出は2倍になったが、低所得世帯の支出は20%しか増大しなかったためだ。


 「今日の特権階級の家庭のパターンは集約栽培ですよ」とペンシルバニア大学の社会学の教授であるファーステンバーグ博士は述べた。

 
 こうしたギャップは大学でも拡大している。ミシガン大学のスーザン・M.ディナルスキー(Susan M. Dynarski )とマーサ・J.ベイリー(Martha J. Bailey)による研究では、二世代の学生、一つは1961年から1964年に生まれた学生の世代と、もう一つは1979年から1982年に生まれた学生の世代を対象にした。1989年には、最初の世代の高所得層の学生で大学を修了したのは約3分の1だった。2007年には、2番目の世代の高所得層の学生の半分以上が大学を修了した。これとは対照的に、2007年、2番目の世代の低所得層の学生で大学を修了したのはたった9%だったが、この数字は最初の世代の1989年の修了率5%からわずかにアップしただけのものだった。


 シカゴ大学の経済学者であるジェームズ・J.ヘックマン(James J. Heckman)は、子供の認知能力と人格を形成するうえで、親のしつけは収入以上とは言わないまでも、それと同程度に重要である、就学前の数年は特にそうだ、と主張する。


 「幼児期の生活条件と子供にどれくらい刺激を与えるかという点はとても重要な役割を果たしています」と彼は言った。「危険なのは、貧困が単に所得の問題で、家庭により一層の補助を与えれば子供の将来は良くなるだろうという貧困撲滅運動(the war on poverty)の考え方に戻ってしまうことです。人々がそう結論づけてしまうならば、それは間違いというものです」。


カリフォルニア大学ロサンゼルス校の公共政策と社会学の准教授メレディス・フィリップス(Meredith Phillips)は調査データを用いて、富裕家庭の子供たちが6歳になるまでに自宅やデイ・ケア・センターや学校以外の場所(美術館からショッピング・モールに至るありとあらゆる場所)で過ごす時間は、低所得の子供よりも1300時間も多いことを示した。高収入の家庭の子供が学校に通い出す頃までに、そうした子供が読み書きの活動に費やす時間は、貧しい家庭の子供に比べると400時間も多いことをフィリップス博士は発見した。


  アメリカン・エンタープライズ 研究所 (American Enterprise Institute)の研究員で、その著書『崩壊: 1960年から2010年にかけての白人アメリカ人の状態(“Coming Apart: The State of White America, 1960-2010”』が1月31日に発売されたチャールズ・マレー(Charles Murray)は、所得の不平等を「原因というよりも徴候である」と記述している。


 高学歴の人々と低学歴の人々のギャップの拡大は、一種の文化的な格差を形成するに至った、と彼は主張した。その格差は、高学歴の人は高学歴の人と結婚する傾向があるように、社会の自然な趨勢にルーツをもつが、福祉や政府の別のプログラムのような1960年代の社会政策にもルーツをもつのだ、なぜならそうした政策は独身でいたいという動機を提供したからだ、とマレーは主張する。


 
 「経済が回復しても、お金には何の関係もなく文化に大いに関係する理由で、これらの問題が依然として問題のまま残ることがいずれ判明するだろう」と彼は言った。



 簡単な答えなどありません、それは問題が非常に複雑だからでもありますが、と語るのは、アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)の研究員のダグラス・J.ベシャロフ(Douglas J.Besharov)。この問題の罪を最富裕層になすりつけるのはそれと同じくらい重要な要因を無視することだ、と彼は述べた。その要因とは、共働き家庭の財産で、それが、中流の家庭を低学歴のアメリカ人の家庭からさらに引き離したのだ、低学歴の家庭は片親の家庭である傾向が高いからだ、というのだ。


 この問題は難問ですね、と彼は言った。「どうすれば改善できるのか、ほんのちょっとのアイディアすら誰ももっていませんよ。戸棚は空っぽの状態です」。



」(おわり)










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