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現在のドイツの電力事情(2) [海外メディア記事]

 原発抜きでも電力は足りる―――机上の計算がそうであっても、北部から電力を南部に融通するのは、現状では上手くいかない。しかし、産業の中心は南部にあるので、南部では電力の逼迫は目に見えている、それに温暖化に対する効果的な対策はあるのか、原発廃止で、原発立地地域で大量に失われる職場にどう埋め合わせるのか、その地域をどう活性化させていくのか等々、難問がめじろ押しの状態であることを、この後半は伝えている。

 大きな停電が一度でも起これば、ドイツでも原発廃止の政策を見直す気運が高まるかもしれない。この記事の最後に引用されている発言には、停電に対する期待が込められているかのように読み取ってしまうのは私だけだろうか?


Germany Dims Nuclear Plants, but Hopes to Keep Lights On

By ELISABETH ROSENTHAL
Published: August 29, 2011
http://www.nytimes.com/2011/08/30/science/earth/30germany.html?pagewanted=2&_r=1&partner=rssnyt&emc=rss



 原子力発電所を停止したが、しかし電気はつけておきたいと願うドイツ(2)

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ドイツの電力の将来を握っているのは送電網の建設かもしれない


  (原発廃止によって)電気料金は一世帯当たり年間35から40ユーロ(50ドルから60ドル)だけ上がると予想されるが、その上昇分は5%にも満たないと政府は試算する。原子力エネルギーは概して新しい電力よりも安くすむが、再生可能エネルギーは、たとえそれがもっと高くなるとしても、真っ先に購入されなければならない、とドイツの法律は以前から定めていたのである。



 しかし、懐疑的な人々は政府の想定を楽観的すぎると見なしている。フィリップスブルク市長のステファン・マルトゥスは、エネルギーのコストが政府の試算よりはるかに高くなるだろうと思っている、と述べる。環境を汚す発電所の見返りに支払うクレジットの価格は、株式の価値のように、非常に予測不可能で変わりやすいからだ。しかも、国際エネルギー機関(IEA)は、ドイツ―――それ以外のどんな国でも―――が、 原子力なしで、しかも妥当なコストで、温室効果ガスの排出量を削減できるとは思っていないのだ。


 IEAの職員は、ドイツ経済の成長にともなって電力需要が伸びるとしても、ドイツの電力使用量が今後10年間でさらに10%減少するだろうという予測にも疑問を投げかける。平均的なドイツの家庭はすでにアメリカの平均的な家庭の約半分の電力しか使っていないからである。


 「そうです、原子力発電に対してドイツ人は不安をもっていますよ」。ビブリス市のヒルデガルト・コーネリウス-ガウス市長はそう言った。「しかし、質問を言い換えて、「もし電気料金が大幅に上がって停電も起こりうるとしても、原子力エネルギーの段階的廃止をあなたは望みますか?」と質問してみれば、答えはずいぶん違ったものになるかもしれませんね」。




 愛憎入りまじる歴史


 福島の事故が起きる前でも、原子力がなくなる日が後どれくらいでやって来るかとドイツでは指折り数えられていた。ビブリスは、国中から人々が集まった巨大な反核デモの行われた場所だったし、ドイツはすでに2023年までに原子力をゆっくりと段階的に廃止する計画を制定しつつあった。ドイツは、風力発電では世界のトップになっていたし、自家発電を備えた「パッシブ住宅」を何万軒も作るなどして、家電製品や住宅からより多くのエネルギー効率を引き出すことに卓越した技術を築いていた。


 それでも、アンゲラ・メルケル首相(彼女自身物理学者なのだが)は、技術革新だけでは国のエネルギー需要を満たせないかもしれないという懸念から、ドイツの原子力発電所の稼働を延長するという決断を、昨年秋に下した。


 福島がすべてを変えてしまったのだ。


 日本が科学技術の先進国であるからこそ、あの原発事故は、旧ソ連の原子炉で起きたチェルノブイリの事故よりも、ドイツ国民にとっては深刻なものと映った。それにもかかわらず、原子力産業の専門家や、ビブリスや近くのフィリップスブルクのような原発都市の住民たちは、ドイツ政府が政策を180度転換させた唐突さに唖然とした。

 
 どちらの町も、何百という職場や数百万ユーロの税収を失うことになるからである。



 ドイツの電力会社によれば、各社に国のエネルギー政策の草案が手渡されたのだが、その草案は、字面上はよく見えるが技術的にはとても困難なものであるそうだ。ドイツの電力生産量はたっぷりあるとはいえ、それが必要な場所と時間でつねに使用可能となるわけではないと電力各社は言う。ドイツ北部には洋上風力発電と石炭鉱床があるが、ドイツ南部――メルセデスやBMWやアウディの本社がある製造業の中心地―――には、原子力以外にその地域固有の豊富な燃料源が何もないのだ。ドイツの現在の電力網はいちじるしく分散化していて、長距離にわたって電力を移動させる高電圧送電線をもっていないのである。


 「今や、原発が停止してしまったので、私たちはとても困難な課題を抱えることになりました」と語るのは、ドイツに四つある送電会社のうち最大のアンプリオン(Amprion)社の送電事業の主任をつとめるヨアヒム・ヴァンツェッタ。

 アンプリオン社はすでに原発のない再生可能エネルギーの未来に向けた作業に着手してして、北から南に電力を運ぶ500マイルにもおよぶ新たな送電線の計画を立てている。その送電線の建設には43億ドルと10年から15年の歳月がかかるだろうと見込まれている。現在のところ完成したのはせいぜい40マイルにすぎない。

 ドイツはまた、バイオマス発電所や太陽光発電システムに資金を投入してきた―――何百万ものパネルが現在ドイツの家庭の屋根や野原に並んでいる。近年の技術改良にもかかわらず、太陽光発電はまだ風力や天然ガスや原子力よりもずっと費用がかかる。しかも発電量は季節でバラつきが出やすい。

 天然ガスと石炭発電所が一時的にでも原子力発電の一部にとって代わってくれればというドイツ人の願いも、実現は難しいかもしれない―――電力各社は、「クリーン」エネルギーを真っ先に買い上げようというドイツ政府の方針がある以上、天然ガスや石炭発電所の建設には積極的になれないでいるのだ。「結局、年に数百時間しか稼働しないかもしれない形の発電所を建設したいと思う電力会社はほとんどないでしょうからね」とRWEのグロスマン氏は述べた。

 この冬、アンプリオン社は、需要として見込まれる81000メガワットを供給するために、その送電系統上に84000メガワットの電力を用意できるだろうと予測している―――これでは、電力の余裕がわずかしかないので安心できませんね、とヴァンツェッタ氏は言った。これまでの数年間は、価格が適正であれば、電力はヨーロッパの各地にのびる電力網の上で容易に売買できた。しかし、輸出されたドイツの電力は、冬のフランスを明るく照らしつづけるのに役立つだけだった。

 「現時点では、わが国の電力システムはストレスに苦しんでいますが、それでもコントロールできています」とヴァンツェッタ氏は言った。「それでも、風も太陽光もない日が続いてよその国から電力を購入できなければ、停電することになるかもしれなせんね」。


」(おわり)





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