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なでしこジャパンに声援を送るNY・タイムズの記事 [海外メディア記事]

 ワールドカップの優勝をかけた対日本戦を控えて、NY・タイムズ紙がなでしこジャパンのことを記事にした。決勝で対戦する敵国チームの情報を流した記事かと思いきや、どうも様子が違う。読んでいくと、これはゲームの勝敗を超えて日本チームに対して送る一種の声援なのだ、ということが判るはずである。そして、そうした友好的な空気がアメリカのチーム内にもあるということも。
 
 そういう意味で、アメリカとの一戦には非常に微妙なものが絡んでくるかもしれないと私は感じてしまうのだが、いやいや、本番になったらそうした心情的なものはみんな振り切ってプレーするはず、とも思える。さて、どうなるだろうか?

 オリジナルの記事は二ページに分かれているが、一まとめの形で紹介する。


Japanese Team Comes of Age, and Lifts a Country
By JERE LONGMAN and KANTARO SUZUKI
Published: July 14, 2011

http://www.nytimes.com/2011/07/15/sports/soccer/japans-world-cup-team-lifts-a-country.html?_r=1
http://www.nytimes.com/2011/07/15/sports/soccer/japans-world-cup-team-lifts-a-country.html?pagewanted=2&_r=1



 進歩した日本チームが日本を湧き立たせる
 

1.jpg
(午前5時の東京。日本が女子ワールドカップの決勝に進出することになり歓喜するファンたち)



ドイツ フランクフルト ―― 日本が女子ワールドカップの準々決勝で二度目のディフェンディング・チャンピオンとして大会を迎えたドイツに対戦する直前、監督の佐々木則夫は、厳粛で、残酷ですらあるインスピレーションを選手たちに与えた。

 彼は、3月11日に日本の東北地方沿岸を襲い、15,000人以上の人命を奪い、日本の女子プロサッカーチームの一つに今シーズンを断念させることを余儀なくさせた地震と津波のスライド・ショーの画像を選手たちに見せたのだ。

 「あの画像は私たちの心の奥底に触れました」とMFの宮間は記者たちに語った。

 画像に鼓舞されたこともあり、日本はドイツに対して、そのトレードマークである優雅で技巧的なパス回しのみならず、背が高く体も大きなドイツチームに臆することのない度胸をも見せつけて、1-0で勝利した。日本は試合中に4枚のイエローカードの警告を受けたが、これは筋肉よりも技術的な洗練で知られているチームとしてはめったにない出来事だった。

 「日本チームはこれまでにない情熱と激しさをもってプレーしているね」と語るのは、1999年に合衆国がワールド・カップで優勝したとき監督だったトニー・ディシッコ(Tony DiCicco)。「一試合にイエローカードが四枚だって? これは、いつもの日本にとっては、ワールドカップ二大会分だよ」。

 日本は、日曜日にここドイツで、アメリカとワールドカップの決勝で対戦することになる。アメリカチームは今年になって日本に三度勝利しており、通算の成績は22勝0敗3引き分けである。これまでは、両者の関係は、お姉ちゃんと妹(Big Sister, Little Sister)の関係だった、とディシッコは言った。しかし、もやはそうではないのだ。


 「自分たちは勝てると、日本チームは感じています」と、ESPNのために分析記事を書いたディシッコは日本について語った。「こういうことは、これまでほとんど一度もなかったことです」。

 日本チームが地震と津波によって避難生活を余儀なくさせられた人々の忍耐からインスピレーションを得たのと同じように、日本は女子チームの感動的な活躍の背後で一つにまとまったのだ。それは、ハリケーン・カトリーナの後でセインツがスーパーボウルにまで漕ぎつけたときに、ニューオーリンズが経験したのと同じ高揚感なのである。

 
 「私たちがこれまでしてきたことは、日本のためにもなります」。水曜日の準決勝で日本チームがスウェーデンに3-1で勝利した後、佐々木監督はそう語った。「私たちは、まだ震災から回復する途上にいます。被災地域には非常に多くの犠牲者がでました。サッカーでの勝利という小さなことでも日本の人々に勇気と希望を与えられるのです」。

 日本は世界で4位にランクされていて08年の北京五輪では銅メダルをかけた一戦に進んだりしたが、女子サッカーが本国の新聞の一面を飾ったり、スポーツファンの注目を野球や相撲から奪い取ったことはあまりなかった。

 東京では木曜日の午前3時、水曜日の夜と言った方がいいかもしれないが、サポーターの集団たちは、テレビで日本対スウェーデンの一戦をライブで​​見るために、目をこすってコーヒーを飲みながらスポーツ・バーに向かっていた。

 トレンディーな渋谷にあるスポーツ・バーのM-SPOには数十人のファンが集結していた。終電を逃し迷い込んだ人も中にはいたが。もう一度目の覚めるような勝利をしてくれれば、悲しみに暮れる国民も奮い立つでしょう、と語るファンもいた。

 「もし勝利したら国全体が元気になるでしょうね」。実家も故郷の気仙沼も津波で大きな被害を受けたダイチ・ミウラ(22)はそう語った。「いつまでも震災の問題でくよくよしているわけにはいかない。前に進まないといけないし」。

 日本の勝利のニュースは朝刊を飾るには時間的に遅すぎた。しかし、大手スポーツ紙の一つである日刊スポーツは、ウェブ・サイトに、「なでしこの夢が、ついに、実現した」という大見出しを掲げた。

 日本の女子チームは、日本の伝統的な美を象徴するピンクの花にちなんで、なでしこという愛称で親しまれている。選手のユニフォームの胸元はピンクになっている。なでしこという花にはたくましさという性質もあるが、その性質は選手に反映している、とは佐々木監督が好んで言うことである。

 「今夜は日本の女子サッカーの歴史で画期的な出来事だった」と、友人のキスノ・カオルコ(51)と娘のハルコ・スギヤマ(21)といっしょにスポーツバーに来ていたナオキ・スギヤマ(61)は語った。三人とも日本代表の青いユニフォームを着ていた。「私たちがいま欲しいと思っているものが一つあって、それは優勝です」。



 米国との対戦成績はこれまで一方的だったが、両国の関係は友情にあふれるものでもあった。アメリカの選手たちは、アメリカでプロとしてプレーしてきた日本の先駆者であるMFの澤穂希――日本のミア・ハム(Mia Hamm)のような選手――のことがとりわけ好きだ。今回のワールド・カップで、澤(32)はメキシコ戦でハットトリックを記録し、水曜日の対スウェーデン戦での勝利では勝ち越しのゴールを決めた。彼女は今やちょっとしたセレブになっているのだ。(1ページ終わり)


 (2ページ)


 「彼女は日本ではプリンセスともクィーンとも呼ばれています」。そう語るのは、アメリカチームの花形FWで、澤とはかつて同じクラブのチームメートだったアビー・ワンバック(Abby Wambach)。「彼女はチーム全体を背負っている人ですからね」。

 
 ワンバックは、木曜日にデュッセルドルフで日本人記者とのテレビ・インタビューの中で、「あなたの活躍で日本の国民が鼻高々になっているのは知っているわ、あなたが日曜日に​​まずいプレーをしてくれたらいいんだけれどね」と軽口を言って澤をからかった。

 澤の最近の調子を考えると、それはありそうにもないことが判る。彼女に先導される形で、対スウェーデン戦で日本のボール・ポゼッションは60%だった。日本は統率が取れていて、戦術をよく理解し、スキルがある―― 水曜日に行われたもう一つの準決勝でアメリカの中盤を混乱させたフランスチームと似ていないこともない。5月にアメリカが日本とエクシビション・マッチを戦った時から、日本は進歩したのだ。今や日本チームは好機を絶妙で大量のゴールに結びつけているのだ。

 
 「彼女は偉大なリーダーですよ」。アメリカチームのキャプテンのクリスティー・ランポーン(Christie Rampone)は澤についてそう語った。「日本チームの血液は彼女から流れてくる。彼女を抑えなければ」。

 女子プロサッカーのボストン・ブレーカーズで日本のDFの鮫島彩と最近チームメートになったアメリカチームの選手は5人もいる。彼女の以前のチーム、テプコ・マリーゼのスポンサーは東京電力だったが、同社は、地震と津波の余波を受けて複数のメルトダウンと重大な放射能漏れを経験した福島第一原子力発電所の運営会社である。

 
 同チームは、震災後に今季の活動を停止し、鮫島はアメリカに活躍の場を求めた。彼女とチームメイトたちは原子力発電所でパートタイムの従業員として働いていたが、地震発生の時は合宿のためにその場にはいなかった、と現在ボストン・ブレーカーズの監督をしているディシッコは話してくれた。


 「彼女は、ボストンに来る前に、カウンセリングを受けたそうです」とディシッコは言った。「原子炉のおかげで、彼女が個人的に、つまり彼女の家がということですが、どれほどの被害を受けたのかはよく判りません。でも、ゼネラル・マネージャーが私に語ってくれたところによると、彼女たちはもう二度と家には戻れないらしい。彼女たちが今しているのはサッカーのプレーですが、彼女たちにとってそれに劣らぬほどの大きな使命は、国が立ち直る手助けをすることなのです」。

 
 アメリカチームのゴールキーパーのホープ・ソロ(Hope Solo)によれば、こういう事情があるから、心情的に日本はワールドカップで優勝する本命になったというのだ。
 
 「彼女たちは、試合よりも大きなもの、試合以上のもののためにプレーしています」とソロは言った。「それほど大きな感情を抱いてプレーする相手とは対戦しづらいものがありますね」。


」(おわり)









 

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