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ドイツが日本に敗れる波乱 [海外メディア記事]

 ほとんど誰も予想しなかったことだが、なでしこジャパンがドイツに勝った。
 というか、試合内容からすれば、日本が勝った試合というより、ドイツが負けた試合という意味合いが強いと思う。それはともかく、私は勝利を共に喜ぶ気持ちに劣らず、敗北を共に悲しむ気持ちも抱いてしまうので、敗者の弁をドイツ『シュピーゲル』誌の戦評より紹介しようと思った次第である。

http://www.spiegel.de/sport/0,1518,773469,00.html

Fußball-WM der Frauen
Der Traum ist aus

Von Peter Ahrens, Wolfsburg



 夢は終わった
 
 ペーター・アーレンス 
 ヴォルフスブルク

 こんなことになるとはだれも予想しなかった。ドイツが、ワールドカップの準々決勝で日本に屈したのだ。ドイツの選手のプレーはあまりにプランを欠いていたし、普段なら期待できるフリーキックやコーナーキックでも得点を上げることができなかった。ファンはショックを受け、決勝トーナメントから大きな魅力がなくなってしまった。

 今大会の組織委員長のシュテフィー・ジョーンズは、試合前夜、ドイツが日本に3-0で勝った夢を見た。ヴォルフスブルクの土曜日の夜に夢が破れたのは彼女だけではなかった。本当に信じられないことが起こったのだ:今大会の優勝候補であり、世界チャンピオンであり、このワールド・カップの盛り上がりを刺激してきたドイツチームが、準々決勝の日本戦で、延長の末0対1で敗退したのだ。こんな結果になるとは誰も予想していなかった。

 ドイツの選手たちは、試合終了のホイッスルの後、雷に打たれたようにピッチに崩れ落ち、じっとうずくまっていた。DFのバベット・ペーターとMFの同僚シモーヌ・ラウデーアは、流れる涙を拭おうともしなかった。120分前には歓声がとどろいていたスタジアムには集団的ショック状態のようなものが支配していた。試合終了のホイッスルが鳴り響いてからしばらくは、たった今何が起こったのか観衆がまだ把握できないかのように、スタジアムは完全に静まりかえっていた。


 ドイツチームのシルヴィア・ナイト監督は、敗退後選手たちを代弁して、次のように述べた。「サッカーではこのようなことが起こるもの。私はチームを責めたりはしない」と監督は語った。もっとも、この日の試合運びには批判の余地が十分あっただろう。チームには熱意があり、よく走り、試合に集中していた。しかし、すべてがその場の思いつきだったし、ゴールに迫る気迫がなかった。フランス戦で見せた軽快さ、サッカーというゲーム楽しさ――そうしたものが消えていたのだ。メラニー・ベーリンガーが例外なく蹴ったフリーキックとコーナーキックは、体格的に劣る日本人には圧力となるだろうし得点の期待を呼び覚ましたが、結局、効果はなかった。「得点できそうな15回もの状況から一本もゴールを決められないなら、勝つことはできないでしょうね」とナイト監督は言った。

 
 
 この試合は始めからどこかがおかしかった。MFのキム・クーリッヒは試合開始のわずか4分後の最初のプレーで不運にも膝を負傷してしまい、そのすぐ後に退場せざるを得なかった。「あれが痛かったわ」とナイト監督は言った。監督はクーリッヒを前回のグループリーグ最終戦のフランス戦で温存したのだが、イエローカードを一枚もらっていたクーリッヒを対日本戦でどうしても投入したかったからだ。チームドクターのベルント・ラザールツェウスキーによれば、クーリッヒは十字じん帯損傷で、おそらく一か月はプレーができないだろうとのことである。

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(右ひざを痛めたクーリッヒ。これがその後に大きく影響した)

 
 ナイト監督はポジションの変更をせざるを得なくなり、DFの控えのリンダ・ブレゾニクがMFに入った。クーリッヒに替わって投入されたビアンカ・シュミットは、右のサイドバックに回った。チームは、このポジションの変更で目に見えるほど悪くなった。ブレゾニクは、普段クーリッヒがするようなダイナミックなボール回しができないのだ。「リンダにとって、あの役割は少し重荷だったようだ」とゴールキーパーのナディーネ・アンゲラーは分析した。一時間後、ナイト監督はリンダ・ブレゾニクを別の選手に交代した。

 そのころまで、チームはいくつかの決定機を作り出していたが、あまりにも多くの攻撃が運任せのものだった。パスはあてどもない方向にころがった。集中力のないプレーがあちこちに見られた。バレット・ペーターやシモーヌ・ラウデーアのような、これまではあれほど確実なプレーをしていた貢献度の高い選手にまで、そうした空気が伝染してしまった。インカ・グリンクスとセリア・オコイーノ・ダー・ムバビを主体とする攻撃陣は奮闘したが、それ以上のことは出来なかった。

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(シュートを放つインカ・グリンクス)

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(心配そうに試合を見つめるシルヴィア・ナイト監督)


 ゴール前で日本は危険を感じさせるプレーをほとんど見せなかった


 しかし、ドイツチームがこの試合に負けるだろうと感じる者はいなかった。日本の選手は何度かカウンターを仕掛けようと試みたが、ゴール前では無害になる場合がほとんどだった。そして、ゲーム開始から108分が経過したとき、 日本のストライカーが初めてゴールラインのところまでやって来た。その時はもう後の祭りだった。丸山桂里奈がDFのサスキア・バルトゥシアクを振り切り、彼女の蹴ったボールはキーパーのアンゲラーを素通りしてネットに突き刺さった。


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(DFを振り切りシュートを放つ丸山)

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(歓喜するなでしこの選手たち)


 このゴールはドイツのゴールキーパーを唖然とさせたばかりではなかった。「敗退するかもしれないなんていう考えは浮かばなかった。リードされたときでも、まだシュートをすればいいのだからという感覚を私はまだもっていたわ」。その感覚が間違いの原因だったのだ。ドイツチームは日本のゴールめがけて猛烈に攻め入ったが、そこにはプランがなかったし、明晰な頭脳もなかった。ストライカーのアレクザンドラ・ポップを投入したが、何も変わらなかった。「ポップを投入してゴールに向かう力が増すだろうと期待したけど、そうならなかったわね」。ナイト監督は自責の念を抑えられずにそう語った。

 ベテランのプレイヤーであるビルギット・プリンツとアリアーネ・ヒンクストは、自分たちの長年にわたる成功に満ちた代表としてのキャリアがこの夜あっけなく終わりを迎えるのを、ベンチから見ているより仕方がなかった。どちらも、ワールドカップ終了後に引退することを大分前に発表していた。プリンツにとってこの大会は二重にほろ苦い大会だった。キャプテンとして、主力選手としてワールドカップを迎えながら、三連覇ならなかったディフェンディング・チャンピオンの控え選手として終わったからだ。「ビルギットに対しては特に申し訳なく思う。ベテランのプレイヤーにとても悲しい思いをさせてしまったからね」とナイト監督は言った。彼女はいずれにせよ監督を続けるだろう。彼女の契約は、ワールドカップ直前に、2016年にまで延長されたからだ。「ドイツチームが勝つ大会はまだたくさんあるわよ」とナイトは言った。しかし、自国でのワールドカップに勝利することは、しばらくの間は可能ではなくなったわけだ。今回めぐってきた好機はこの土曜日で消えてしまい、もう取り消すことはできない。

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(敗北が決定してうなだれるドイツ選手たち)


 失意のどん底だった選手たちは、やや気持ちを取り戻した後で、無表情のまま、サポーターたちへの感謝の気持ちを表わす横断幕を手にしてスタジアムを一周した。そこには「一つのチーム、一つの夢、数百万のファンの人々」と書かれていた。その夢が終わってしまったのだ。

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(「一つのチーム、一つの夢、数百万のファンの人々、ありがとう」)




」(おわり)





 


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