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室町砂場に涼を求めて [雑感]

 暑い日が続く6月の末の、喉元に摩擦をおこすような食べ物にはもう食指が動かなくなっていたある夕方、日本橋界隈を歩いていた足は自然と砂場の方に吸い込まれていった。

 ざる二枚をさっと食べてさっと去ろうという心算だったが、やはりここに入ると玉子焼きを頼んでしまう。学生の頃、某グルメ本でここの玉子焼きは日本一という評判があることを読んで、さっそく出向いて注文してから幾星霜、ここに来るたびに律儀にその型を墨守しているのは我ながら可笑しいのだが、ほぼ条件反射のようなものになってしまったので致し方ない。それに加え、夏のメニューなのだろう、壁に「ごま豆腐」の細長い紙が貼られていたのが目に入ったので、それも追加した。さしずめ、『室町砂場』の夏の三点セットというところか。

 「蕎麦は出来次第もってきてよろしいでしょうか」と丁寧に聞かれて「そうしてください」と言ったが、出てきたのは、玉子焼き、ごま豆腐、特製ざる(二枚)の順番だった。玉子焼きが一番時間がかかるように思えるのだが、これは素人考えというものだろうか? それとも、やはり、蕎麦はいちばん後回しになるような配慮がなされたのだろうか?  たぶん後者だと思う。

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 最近はねっとりしすぎるごま豆腐をよく供されることがあるが、あれは嫌味なものだ。ここのはややあっさり目だが白ゴマの風味は充分堪能できる。ざるもそっけない感じだがこれも今の季節には必要にして十分。合間に暖かな玉子焼きを口に放りこむと、玉子の甘みが口中に広がるように感じられる。最後にそば湯を呑むと満腹感を覚えた。「そう、健康のためにはこの程度の量で充分なのだろうな」と思う(のだが、しかし遺憾ながら、こうした自覚はすぐ忘却の淵に追いやられてしまうものだ)。

 いずれにせよ、私にとって『室町砂場』は昔からの慣れもあって自然と落ち着けるので、夕食をかねて一時の涼を求めるにはこれ以上の場所はないと思えることを再確認できたのだが、それに加えて今日気づいたことが一つあった。それは女性従業員の「ぃらっしゃい~~」という声が涼やかなこと。手短かで歯切れがよい。江戸期から伝わる下町の気風の名残りのようなものをここに感じ取ることができるのではないだろうか? 私は、そば以上にこうした時間の奥行きを感じさせてくれるものに愛着を覚えるのである。
 

 





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