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石炭ルネッサンス [海外メディア記事]

 地球温暖化脅威論は原子力発電の業界(あるいは、フランスのような原発推進国)に端を発したものかどうか、それを問題にした記事を探したのだが、今のところ見つかっていない。
 まあ、地球温暖化は原発業界の画策した陰謀だったなどと想定するのは子供っぽいことだろうとは思う。しかしタイミング的に、チェルノブイリで失墜した原発への信頼感を取り戻すために、原子力推進派が温暖化脅威論を大いに利用した、ということは言えるだろう。

 それはともかく、国民の大半が温暖化防止という大義と原発推進がワン・セットであったことに気づいた今、そして原発の恐ろしさに目覚めてしまった以上、温暖化防止は善であり国益にかなうのだという雰囲気は薄らいでいくのだろうか? 今日読んだ週刊誌には「CO2削減などというバカなことを言っている場合ではない」という威勢の良い主張(生物学者の池田某氏の主張)を目にしたが、こういう主張が少しずつ共感を得ていくようになるのだろうか?

 そういうこととは別に、「石炭ルネッサンス」を説くドイツ『シュピーゲル』誌の記事が目についたので、紹介することにしよう。石炭は安価でかつ豊富にある。しかし、石炭の燃焼にともなうCO2排出量を抑えるには、これまで半端ではないエネルギーが消費された。そのために、石炭のエネルギー効率はとても悪くなってしまっていたのだが、この分野でも少しずつ技術的な進捗があるようだ。私自身も、石炭の火力発電に光明を見い出すよりないのではないかという気持ちに傾いている。

 日本は原子力推進の政策を変えないような気もするのだが、もはや新規に原発を建設しようにも、いったいどこに建設できるだろうか?  今後、電力政策をめぐって議論が続けられるだろうが、石炭の見直しは必ず考慮されなければならない要因の一つだと思われる。


http://www.spiegel.de/wissenschaft/technik/0,1518,752821,00.html

「 
 石炭ルネッサンス

 

  クリストフ・ザイドラー



ドイツは原子力発電から遠ざかることを望んでいる。 石炭ルネッサンスがやって来るのだろうか? エンジニアたちはそう望んでいるし――彼らの従事している発電所はますます効率的になっている。しかし、環境活動家たちはそれに強く反対しているのだ。


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イェンシュヴァルデ石炭火力発電所

 発電所のエンジニアたちが次の数字に誇りを感じるのも当然である:つまり、過去25年間で、石炭火力発電の効率は35%から46に増加したのである。これが可能になったのは、現代のプラントがかつてないほどの高温と高圧で作動しているからなのである。さらに、プラント内部ではますます効率的になるタービンが稼働している。おまけに、発電所自体のために消費される電力が少なくなった。褐炭による火力発電のプラントの効率もゆっくりとではあるが着実に向上してきた――その数値は、まだ石炭火力炉の数値よりも劣っている、としてもである。


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炭の混合プロセス。原子力エネルギーを廃止すれば、石炭発電のルネッサンスが到来するかもしれない
 
 効率が良くなることで得られるのはとりわけ収益の増大である、と言うのがこれまでの意識であった。エネルギー企業にとって、温暖化防止のための気候保全などは二の次の問題であった。今日のガスタービン式の発電所の、60%を超える効率のレベルからは、石炭式の発電炉はやはりまだはるかに及ばない。それに、石炭の発電にはさらなる問題がある。長期的に見て、温暖化防止の目標値に達するには、石炭発電所はCO2分離回収をともなう形でしか稼働させられない、という問題である。そしてその分離回収は――温室効果ガスをドイツ国内の地下に貯蔵することに対して政治的な反対運動が起こるかもしれないが、その点は問わないとしても――プラントの効率をいちじるしく低減させてしまうのである。

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シュプレンベルクにあるシュヴァルツェ・プンペ石炭火力発電所の前での抗議デモ:2008年9月


 将来のエネルギー供給にとって石炭による発電はどれくらいの貢献ができるのだろうか? 環境保護をうったえる活動家たちは石炭発電は完全に禁止されるべきだと見るだろう――石炭そのものの利用が、ガスに比べて、とりわけ多くの二酸化炭素を大気に放出するからである。それに次の点も明らかだ。今日建設中のすべての発電所は、数十年にわたって電力網の一角を形成するだろう。だから、環境保護団体のグリーンピースは、そのエネルギー計画を描いた「プランB 2050」において、2040年までに石炭発電所を完全に廃止することを求めているのである。



 石炭は世界の電力需要の約40%をカバーしている



 しかし、それほど速く終わることにはならないだろう――原子力時代の終わりということにほどほどの真剣さでしか取り組まないとすれば、そうはならないだろう。2008年、石炭はドイツの電力供給の約19.5%を占め、褐炭はちょうど24%だった。世界全体を見れば、その二種類の炭を合わて、電力供給の約40%を占めるのである。石炭は、再生可能エネルギーが大々的に使われるようになってからでも、ずっと電力供給の重要な一員であり続けるだろう。

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シュヴァルツェ・プンペ石炭火力発電所

 中国のような新興国では、ビックリするような速度で、石炭式の発電所が建設中だ。実際、中国では平均して週に一基の割合で石炭式の発電所が稼働を開始しているのである。インドでも事情は同様だ。「われわれはいずれ汚い石炭からクリーンな石炭に移行しなければならない」と、インドの環境相のジャイラム・ラメシュは、2010年の12月にメキシコのカンクンで開かれた国連気候変動サミットで語った。石炭は、長期的に見て、「インドの電力供給の主軸」であり続けるだろうというのである。ベルクバウ・ケミー・エネルギー社の労組の委員長であるミカエル・バシリアジスも、ドイツで石炭式の発電所が新たに建設されることを求めた――定期的に審査をして企業に対して認可をすれば、再生可能エネルギーの邪魔にならないだろう、というのだ。

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石炭燃焼の際に分離され、液体化されたCO2のチューブ



こうした政治的環境の中で、エンジニアたちは、石炭を魅力的なオプションとするために、将来のための発電所の技術を開発しようと全力を挙げて取り組んでいる。彼らがとりわけ取り組んでいるのは、具体的には三つの技術である。

 ・ 石炭の乾燥:

 褐炭を燃料とする場合、炭を投入する前にもっと乾燥させてやることによって、燃焼の効率は高まるのである。これまでよりも目立つほど低温で済むならば、消費エネルギーも低く抑えられるはずだ。だから、コットブス工科大学では、蒸気旋回層の乾燥が研究されている。この方式は、高熱の排気ガスを扱う従来のやり方よりもハッキリと省エネの効果がある。旋回層方式のパイロット・プラントは、ニーダーアウセムにあるRWE社の発電所にある。バッテンファール・グループは、石炭火力発電所であるシュタンドルト・シュヴァルツェ・プンペ(Standort Schwarze Pumpe)で実験的なプロジェクトを建設中である。


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地下貯蔵のためのCO2タンク


 ・ 700度の技術:

 現代の大規模な発電所では、蒸気の温度は600度、圧力は250気圧が相場である。将来の発電所は700度と350気圧で稼働することになるだろう。比較のために言うと、エスプレッソマシンは大体15気圧である。高性能の発電所のためにエンジニアは新たな素材を必要としている。とりわけ、ニッケルをベースにしてさらに別の金属を混合させた、耐熱性のある特殊鋼が求められている。700度の発電所は、50%以上のエネルギー効率を達成するだろう。


 ・ 二酸化炭素の分離回収:

 二酸化炭素の分離回収と貯蔵――カーボン・キャプチャ・アンド・ストレージ(Carbon Capture and Storage)、略してCCSと呼ばれる――は、石炭式発電所のエネルギーのバランスシートを改善するわけではない。むしろ悪化させるのである。エネルギー効率で10%のマイナスはバカにならない数字である。それでも、石炭の発電に未来があるかどうかを決めるのはこの技術――それが機能して社会的な合意があるならば―――であるだろう。なぜなら、とりわけ褐炭の二酸化炭素のバランスシートは悲惨なものだからである。エネルギ―供給する大企業が排出される二酸化炭素の取引に全面的にかかわっている場合、石炭の燃焼はCCSなしにはとても薦められるものではないだろう。石炭は、いわば強制的に洗浄されなければならない。



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バッテンファール社の実験的発電所であるシュヴァルツェ・プンペにあるCO2貯蔵タンク


 新しい方法が二酸化炭素の分離回収のエネルギー消費を抑えてくれるだろう。二つの方法を研究しているダルムシュタット工科大学の研究者は、消費量は半減するだろうと確約する。炭酸塩ルーピング(Carbonate-Looping)の原則において、CO2をまず石灰岩に結合させる。後になって、そこから分離し貯蔵するのである。化学的ルーピング(Chemical-Looping)の方法では、特殊な燃焼技術が使われる。すでにCCSを小型のプラントで試験的に導入している電力会社もある。 しかし、二酸化炭素を地下に貯蔵することに対しては、ドイツの多くの地域で、大規模な反対運動が起きているのである。

 石炭による発電が将来のドイツでどのような役割を果たすかは、社会全体の態度によって一般的に示されるだろう。明らかなことは、新しい発電所は、古いプラントよりも、負荷に対して柔軟に対処するより高い能力を必要としている、ということである――再生可能エネルギーによる発電がまだ不安定な現状であるからだ。





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