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憎悪が広がる ― ティー・パーティーによる憎悪の扇動(1) [海外メディア記事]


 アメリカの中間選挙の結果が出て、予想されたとおり、オバマ大統領には大変きびしい結果になった。
 こうした政治の変動は経済の景気の変動と同じで避けがたいものであり、とくにリーマンショックの余波がまだ収まりきっていないだけに、現政権に対する批判票が集まるのは仕方ない側面もある。
 しかし、共和党の背後にある「ティー・パーティー」の動きは看過できないものを含んでいるようだ。その運動の要点は、単純化すれば、「憎悪を広める」という点にあると『ツァイト』紙のこの記事は要約している。
 オバマ大統領に対して投げつけた中傷の数々--「社会主義者」、イスラム教徒、黒人の人種主義者、アメリカ人としての出生証明書をだまし取った外国人--を見るだけでも、この運動の本性が判ると思うが、こうした破壊的で憎悪に満ちた中傷が公然と責任ある立場の人間やマスコミによって広められるとき、攻撃対象の評価だけではなく社会の空気全体--民主主義的な政治文化--が危機に陥ることに、もう少し自覚的になるべきであるはずなのに、この憎悪の政治はヨーロッパにも間もなく押し寄せるに違いないという危機意識からこの記事は書かれていると思われる。 
 日本の右翼も「ティー・パーティー」の動きに注目している、という新聞記事を読んだことがある。それに、もともと、日本のネット社会には憎悪にみちた中傷を垂れ流して恥じる所のない文化があるだけに、第二の「ティー・パーティー」の動きが活発化する下地は十二分にあると言える。だから、「ティー・パーティー」の動きには、決して対岸の火事のように傍観するだけでは済まない問題が潜んでいると思われるのである。
 ドイツ『ツァイト』紙の記事より。オリジナルの記事と同じく、二回に分けて紹介する。 http://www.zeit.de/politik/ausland/2010-11/welt-buendnis-rechtspopulisten
 



  憎しみが広がるとき

  アメリカのティー・パーティーはヨーロッパの右翼ポピュリスト(大衆扇動家)にとってのモデルとなるだろうか? 怒りを煽る政治家たちが大西洋をこえて連携していくのは時間の問題だ。

 アメリカは選挙選に突入しようとしているが、バラク・オバマと民主党にとっては思わしくない結果になるだろうと言われている。私たちはそのことに懸念を抱くべきなのだろうか? 場合によっては、そうなるかもしれない。アメリカの気ちがいじみた右翼ポピュリストたちの憎悪を振りまくキャンペーンに予想通り勝利という報酬が与えられるならば、それはアメリカの社会文化的構成を変えてしまうだけではないだろう。それは確かに、ヨーロッパの民主主義の政治文化に影響を及ぼさずには済まないことになるのである。


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 二年前に大差で選出されたアメリカの大統領は、合衆国以外のところではもっとも人気のあるアメリカ市民であろう。しかし、本国ではそうではないようだ。憎悪と熱狂が、この二年間でふくれ上がったのだ、政治の流れを逆転させようとする過激な同盟が改革を進める大統領に対して精神的な内戦を行う憎悪と熱狂が。それは、1990年代に右翼がクリントン大統領--「白い黒人」と呼ばれた--をホワイトハウスから追い出そうとした悪意と醜さの再来である。

 前民主主義的なアマチュア政治家、ジャーナリスティックな憎悪の伝道師、似非キリスト教的な狂信者、TV放映を意識する億万長者などによるこの例を見ない同盟は独特な十字軍の遠征の途上にある。その主たる攻撃対象は現政権なのだが、それはポピュリストたちにとっては当然のことだ。この十字軍がホワイトハウスにいる「上の人間」や黒人に対して用いる感情的な武器として役立っているものに、古くからある偏見や敵対的イメージがあるが、それだけではなく、現実的な生活苦や社会的不公正やエリート層の行き詰まりなどもあるのだ。これはヨーロッパでも変わらない。ポピュリズムの成功は、つねに民主主義の危機的症状でもあるのだ。

 しかし、ヨーロッパでもそうだが、右翼ポピュリズムは、これらの結果の除去に何も寄与しないだけではない。右翼ポピュリズムは、その扇動と問題の体系的歪曲によって、あらゆる理性的な政治や、政治的な問題解決のあらゆる試みを困難なものにしてしまうのだ。アメリカの、わずか数ヶ月で有力な運動になった右翼ポピュリズムのティー・パーティーは、TVや、ラジオや、インターネットで、大統領を「社会主義者」として、イスラム教徒として、黒人の人種主義者として、アメリカ人としての出生証明書をだまし取った外国人として、力の限り罵倒し中傷してきた。彼らや彼らのメディアの共犯者たちは、同時に、オバマや民主党との妥協や協力を進んでしようとする適度に保守的な共和党の政治家をも、独特な熱意を込めて攻撃した。予備選挙ではそうした政治家の多くが脱落した。その限りで、アメリカのこの秋の選挙は、右翼の戦略家の観点から見れば、「真のアメリカ人」がオバマというよそ者に対して行う解放闘争というだけではなく、少なくともそれと同じくらい、共和党から裏切り者や軟弱な政治家を一掃することに役立ったのである。

 この運動体としての「政党」が最短の時間で狂犬のような周辺グループからアメリカの右派を決定づける要因にまでいかにして発展したのか、このホラー・ストーリーについて、アメリカ人ジャーナリストのマックス・ブルーメンタール(MaxBlumenthal)は詳細に調べ、緊迫感のある物語に仕上げた。彼のレポートのタイトルは打ってつけで、その名も『共和党のゴモラ』。彼は、 扇動的なスローガンや虚偽や中傷や暴力への扇動などが混ざり合って毒を放っている有様や、権威的で前民主主義的な国家観や政治観などについて、印象深く物語っている。とりわけ、二年前の副大統領候補でアメリカの右翼の奇妙なマスコットであるサラ・ペイリンの思考やスタイルには、そのような国家観や政治観が刻み込まれている。当時はまだもの笑いの種にすぎなかった彼女は、いまや理性の政治に対立し、熱狂的に支持される政治家になったのである。
」(つづく)









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