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ダイナミックから意気消沈に変わる日本(2) [海外メディア記事]

 「ダイナミックから意気消沈に変わる日本(Japan Goes From Dynamic to Disheartened)」の第二回目。おそらく大阪の街を取材したのだろう、その成果を織り込んだ内容に仕上がっている。

 以下に見られるように、こういうインタビューをつなぎ合わせて記事を構成するのがMartin Fackler氏のスタイルで、そういう意味では、前回の記事はニューヨーク本社の経済記者が主に書いたものであることがよく判るのではないかと思われる。

 
 ちなみに、これまでここで紹介した Fackler氏の記事をいくつか挙げておこう。どれも面白い記事です。

 「高まる貧困問題に直面しようとする日本 」・・・http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23
 「日本にとって教訓となるトヨタ騒動」・・・http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
 「眺望をめぐる日暮里の戦い」・・・http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-10-12
 「マグロの町大間の苦悩」・・・http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-09-23
 「官僚に勝てるか?」・・・http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-09-04


 http://www.nytimes.com/2010/10/17/world/asia/17japan.html?pagewanted=3&ref=world&src=me

「 ダイナミックから意気消沈に変わる日本 (2)

2.jpg
(消滅 : 大阪の一大歓楽街の北新地のクラブの数はこの15年間で激減した)

 「消費者が買ったり借りたりするのは非合理だしそれどころか愚かですらあると見なす新たな常識が現われました」と語るのはデフレの心理を研究してきた早稲田大学教授の竹村和久。


 デフレの街

 こうした常識が及ぼす影響は、日本経済の至るところで感じられるものの、東京のような比較的裕福なところよりも、日本の第三の都市である大阪のような地域でのほうが明らかである。 この誇り高い商業都市で、商売人たちは、不況のトラウマにかかった買い物客にふたたびお金を使ってもらうために極端に走るような真似をしてきた。しかし、これはしばしば価格競争という形をとるので、結局は日本のデフレ・スパイラルの燃料になるだけなのである。

 10円(つまり12セント)で缶ジュースが買える自動販売機があるかと思えば、50円のビールを出すレストランや、最初の一月の家賃がわずか100円(約1.22ドル)のアパートもある。結婚式も大安売りで、格安結婚式場が600ドルで結婚式を提供しているが――この値段は、わずか10年前に大阪で冠婚葬祭のセレモニーにかかった通常の費用の10分の1以下である。

 大阪にある商店街の一つである千林では、商店主は最近100円の日を開催し、商品の多くを100円で提供した。その時でも結果は残念なものだったらしい。

 「日本人は良く見られたいという欲求すら失ってしまったみたいです」と語るのはオカ・アキコ(63)。彼女は、自分の衣料品店が2002年につぶれて以降、小さなアパレル・ショップでパートとして働いている。

 この活気の喪失は、時に日常的ではない場所でも感じられる。北新地は大阪有数の繁華街、300年も続いてきた盛り場で、夜はネオンやタイトなドレスに身を包んだホステスで一杯になり、トップクラスのクラブで席につくだけで500ドルはかかることもある。

 しかし、過去15年間で、ファッショナブルなクラブやラウンジの数は1200軒から480軒に減少し、格安バーやチェーン展開するレストランにとって代わられた。バーテンダーによると、最近の客はあまりにコストを意識しすぎていて、長い間最高の粋と考えられてきた熟慮の上で金銭を無視するような態度をもう示さないのだと言う。

 「特殊な文化が消滅しつつあるのかもしれしれません」。そう語るのは、「バー・オダ」の金色に輝くカウンターの背後で完璧な職人技ともいえるカクテルをシェイクするオダ・タカオ。

 自己満足に浸っていられた日々が過ぎ去った後で、日本は、日本の抱える問題に目覚めつつあるようだ。それは、自民党が戦後ほとんど権力を独占してきた状態に不満を抱いた有権者が終止符を打った昨年見られた通りである。しかし、多くの日本人にとって、それは手遅れなのかもしれない。日本は既に、かつては生得の権利と考えられていた職の安定性やたえず上昇する生活水準を自分も享受できるという信念を放棄してしまったと公言する一世代に及ぶ若者たちを生み出してしまったからである。

 
 ヒガキ・ユカリ(24)は、自分が知っている唯一の経済状態は、価格と給与がたえず下落している状態だけだと述べた。彼女は、ディスカウント店で洋服を買い、自分の弁当を作り、海外旅行は我慢することで、できるだけお金を貯蓄に回している。彼女によれば、自分の世代はまだ快適な生活を送っているが、自分にしても自分の知り合いにしても、最悪のことを考えて、いつも守りの体勢をとっている、と述べた。

 「私たちはサバイバル世代なのです」とヒガキさんは語った。彼女は家具店にパートで働いている。

 日本マーケティング研究所の代表で、日本の消費者についての著作を何冊か書いている松田久一は、20代の日本人を別の名前で呼んだ。彼は「嫌消費」世代と呼んだのだ。彼の見積りによると、この世代が60代に達するまでに、彼らの倹約習慣は日本経済に、失われた消費という点で、4200億ドルの損害を与えるのだという。

 「このような世代は世界のどこにもいませんよ」と松田氏は言う。「彼らは消費することが馬鹿げたことだと考えているのです」。

 デフレはまたビジネスマンにも影響を与えたが、それは、価格や利益が下落する一方で、上昇することはない経済の中で生き残るための新しい方法を考案しなければやって行けなかったからである。

 カイアミ・ヨシノリは大阪の不動産仲介業者だった。大阪では、日本の他の都市と同様、土地の価格は過去19年間のほとんどを通して下落し続けてきた。商売は大変だったとカイアミ氏は述べた。ほとんど損失が確実なマーケットで買い手はほとんどいなかったし、ほとんどの住宅所有者も実勢価格以上のローンを抱えていたために、売り手もほとんどいなかったからである。

 何年か前、彼はこの手詰まりの難局を打破するアイデアを思いついた。彼は複雑な法的口実を通して住宅所有者を先導する会社を設立した。住宅所有者は個人破産を宣告して最初のローンを消滅させるが、それを親類に「売却」し、親戚はずっと安くなった価格の支払いのためにわずかなローンを組むことで、もとの所有者は自宅に住み続けることができる、という仕組みである。

 「もう一度インフレが起こりさえすれば、この手の商売は必要なくなるんですがね」とカイアミ氏は、デフレの反対の価格が上昇するインフレに言及しながら、そう語った。「私は、インフレの再来を20年間ずっと待ち続けてきたような気がします」。

 彼の顧客の1人が、中小企業のオーナーで、ベッド・ルームが4つあるコンドミニアムを50万ドル以上で買ってから15年後に、それを18万5000ドルで親戚に売却したあのマサト氏である。彼は、自己破産を宣言することによって、銀行からまだ借りている11万ドルを抹消すべきかどうかを思案中だと語った。

 エコノミストによれば、デフレが永続的なものになる理由の一つは、デフレに押されて企業やマサト氏のような個人が、新しい商品を買ったり投資をする代わりに、コストを削減したり自分の所有物を売ることによって生き残りを計ろうとするから、のようだ。

 「デフレは、資本主義経済が成長するために必要なリスクをとるという行動を破壊してしまうのです」と慶應大学の経済学者のタケモリ・シュンペイは述べた。「創造的破壊がたんなる破壊的な破壊に置き換えられてしまうのです」。

」(おわり)








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