So-net無料ブログ作成
ブログパーツ
 

良い学習習慣についての常識は忘れろ(2)  [海外メディア記事]

  認知科学が教える効果的な学習方法についての第二回目。この後半部分で出てくることは、割と常識的というか、身に覚えのあることが多いのではないか、と思います。
  つまりこの記事を読んで判ることは、ここで紹介される学習方法が効果的なのは、もともと学習の意欲がある程度高い人に対してであって、怠惰な人を怠惰ではなくする、または成績の良くない人の成績を良くする方法など存在しない、というありふれたことではないだろうか、と思われるのですが。

 『ニューヨーク・タイムズ』のBenedict Carey氏の記事より。
 
http://www.nytimes.com/2010/09/07/health/views/07mind.html?pagewanted=2&_r=1&ref=homepage&src=me

「  良い学習習慣について知っていることは忘れろ(2)

1.jpg

 
 翌日、研究者は、子供たち全員に、その内容についてのテストを行った。テストは同じタイプの新しい問題だった。混合した問題のセットを学んだ子供たちのほうが、正解率が77%対38%と、もう一方のグループよりも成績が2倍良かった。研究者は、大人やもっと年下の子供を対象にした実験でも同様の結果になることを発見したのだ。

 
 「生徒が問題のリストを見て、すべてが同じ種類だとわかると、問題文を読む以前からどんな戦略を使えばいいか判ってしまうのです」とローラー博士は言う。「補助輪つきの自転車に乗るようなものですね」。そして博士はこう付け加えた。「混合した問題で練習すると、どの問題も前の問題とは違っているわけですが、それはつまり、子供たちが適切な手順をどうやって選ぶべきかを学ばなければならない、ということです――ちょうどテストでそうしなければならなかったようにね」。


 この発見は数学に限ったことではなく、美的で直観的な学習にさえも当てはまるのだ。専門誌『心理学と老化(Psychology and Aging)』に先月発表された実験で、大学生や退職年齢の大人が、12人の無名の画家の混合したコレクション(12人全員の作品を含む取り合わせ)を見た後のほうが、1人の画家の12枚の絵を一度に全部見て、それから次の画家の絵に移っていくよりも、12人の画家の作風をより良く識別できることを研究者は発見したのだ。


 この発見は、一点に集中して取り組むことが、特定のジャンルやタイプの芸術作品を実際にマスターする最良の方法だという一般的な仮定を掘り崩すものだ、とウィリアム・カレッジの心理学者でこの研究の主任のネイト・コーネル(Nate Kornell)は述べた。「このケースで起こっていると思われるのは、絵の取り合わせを見るとき、脳は一層深いパターンを引き出そうとしている、ということである。脳は、しばしば前意識的に、それらの絵で何が似ているか、何が違っているかを引き出そうとしているのである」。

 
 認知科学者たちは、文字通りの詰め込み勉強が特定の試験でより良い成績につながることを否定しているわけではない。しかし、大急ぎで脳に詰め込むことは、安物のスーツケースにあわてて荷物を押し込むことに似ている。それはたいていの学生がすぐに気づくことだ。新たな荷物をちょっとの間は詰め込んでいるが、しばらくするとほとんど全てのものが抜け落ちてしまうのである。 

 「多くの生徒にとって、授業が先に進むと、(急いで詰め込まれた)内容はもう思い出せなくなる、どころではありません」と言うのは、セントルイスにあるワシントン大学の心理学者のヘンリー・L・レーディガーⅢ世(Henry L. RoedigerⅢ)。「その内容は、まるでこれまで一度も見たことがないようなものになってしまうのです」。


 神経のスーツケースに、注意深く少しずつ詰め込むと、その内容はずっと長い期間にわたって保持される。今晩1時間勉強し、週末に1時間、1週間後にもう一時間勉強する。このように間隔をあけて勉強をすると、生徒がより一層の努力をしたりより注意を払うまでもなく、その記憶はより長く保たれることは、数多くの研究が発見したことなのである。

 何故そうなるかについて、確かなことは判っていない。時間を置いて、かつて学んだ内容に再びめぐり合う時、脳は、新たな内容を付け加える前に、かつて吸収したことの幾分かを学び直さなければならないわけだが、――それによって、そのプロセスそのものが強化されるのかもしれない。

 「肝心な点は、忘れることが学ぶことの友だ、ということです」とコーネル博士は言った。「何かを忘れるからこそ、学び直せるのです。しかも次にそれを見た時に、効果的に学び直せるのです」。

 それが一つの理由となって、認知科学者はテストそのもの――模擬的な試験であれ小テストであれ――を、単に成績をつけるための手段というよりも、強力な学習ツールと見るのである。ある観念を取り戻すプロセスは、本棚から本を引っぱり出すようなものではない。それは、情報がその後に蓄えられるあり方を根本的に変え、その情報を今後もっとずっと近づきやすいものにするものらしい。


 レーディガー博士は、物理学におけるハイゼンベルクの不確定性原理をアナロジーとして用いる。その原理は、ある粒子のある属性(例えば、その位置)を測定する行為が、別の属性(例えば、モメンタム)を知る際の正確さを低下させてしまうと主張するものである。「テストは知識を量るだけではなく、それを変えてしまうのです」と彼は言うのだが――それは、有難いことに、確信を減らす方向にではなく、確信を増やす方向に変えるのである。


 レーディガー博士とやはりワシントン大学のジェフリー・カーピキー博士は、実験の一つで、大学生に、短い自習時間の間に、読解力テストに出題された科学の文章をよく読んでもらった。連続する自習時間で同じ内容を二度にわたって読んだ学生は、その直後に出されたテストで良い成績を収めたが、それからその内容を忘れ始めた。

  
 しかし、その文章を一回しか読まずその次の自習時間で模擬的な試験を受けた学生は、2日後のテストでよい成績を収め、一週間後のテストでも良い成績を収めた。

 「試験というととても悪いイメージがあります。みんな、標準化されたテストやテストに合わせた授業などを思い描くのでしょうね」とレーディガー博士は言う。「たぶん呼び方を変える必要があるのでしょうが、テストはもっとも強力な学習ツールの一つなのです」。

 
 もちろん、テストのことを考えただけで胃がきりきり痛くなる理由の一つは、テストがしばしばとても難しいものだからだ。しかし逆説的なことに、この困難がまさに、テストを非常に効果的な学習ツールにするということを示唆する研究がある。記憶することが難しいものになればなるほど、後になってそれを忘れることも難しくなる。この効果を研究者は「望ましい困難(desirable difficulty)」と呼ぶのだが、それは日常生活でも目につくものだ。『モッド・スクワッド』のリンク役の俳優の名前は? 『ブルックリン横丁』のフランシーの兄弟は? ニュートンとともに微積分学を発見した人の名前は?

 
 探し出すのに苦労すればするほど、後々まで記憶の中にしっかりと定着するものなのである。


 以上述べたことは、こうしたテクニック――勉強の環境を換える、混合した内容にする、間隔をあけて勉強する、自分にテストを課す等――を使えば、折り紙つきの怠け者が折り紙つきの生徒に変貌するだろうということを示唆する訳ではない。大事なのはやる気である。大事といえば、友達に好印象を与えたり、ホッケー・チームを作ったり、図太さを発揮して社会科の授業で出会う素敵な子にメールを送ることだって大事なことだ。

 
 「研究室の実験では、自分が研究している要因以外のあらゆる要因はコントロールできます」とウィリンガム博士は言う。「だけど、それは教室や実生活では当てはまりません。こうしたすべてのことが同時に影響し合ってますからね」。

 しかし少なくとも、認知科学から得られたテクニックは、親であれ学生であれ、老若男女すべての人に、これまで多くの人が持っていなかったものを与えてくれる。つまり、校内に伝わる俗説や空虚な理論ではなく、明白な証拠に基づいた勉強プランを与えてくれるのである。

」(おわり)







nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。