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貧富の差がますます広がるアメリカ(2)   [海外メディア記事]

 ドイツ『シュピーゲル』誌の二極分化するアメリカ社会と容赦のない不平等を描く記事の後半です。 
 
 タイトルの下の図と数字は、以前アップしたスラード・ショーの記事のときにも説明しましたが(http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-08-18)、 「全人口の1パーセントに当たる資産保有の上位層がアメリカの資産全体の37.1パーセントを所有し(2001年と比較して3.7%増)、全人口の 80パーセントを占める下位層の保有資産はわずか12.3パーセント(2001年比で3.3パーセント減)にすぎないという事態」を表わしています。これは資本主義という名前を借りた貴族制と言うべきではないだろうか。そしてその対極に位置する圧倒的多数の者にふさわしい名称は「奴隷」ではないだろうか・・・ 
 
 Auf dem Weg nach unten
 Von Thomas Schulz
 http://www.spiegel.de/spiegel/0,1518,711867-2,00.html
 http://www.spiegel.de/spiegel/0,1518,711867-3,00.html

 英語版はhttp://www.spiegel.de/international/world/0,1518,712496-2,00.html

「 下流への道


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 30年間の成長は一般大衆には無縁の出来事だった

 アメリカン・ドリームは、結局、幻覚だったと多くのアメリカ人は認めざるを得なくなった。現実は過酷だ。ますます少なくなる求人数、何十年も上がらない賃金、劇的に増大する不平等。経済は上向いたが求人数は上昇せず、企業の収益は活況を呈しているが貧困者が週を追うごとに増大している状況の中、先月になってようやくアメリカは、いま闘わなければならない危機はずっと以前から始まっていた原理的で構造的な危機だという洞察に達したようだ。『ワシントン・ポスト』紙が書いたように、金融危機は「悪化に向かう転換点」の最後にすぎなかったのだ。


 株式・不動産ブーム、常軌を逸した借金や消費熱は、過去30年間の経済成長が一般大衆にはほとんどかすりもしない出来事だったことを長い間隠蔽しただけだった。1978年、アメリカの男性の平均年収は45,879ドルだった。2007年の平均年収は、インフレーションの補正をするならば、45,113ドルとなるのだ。

 でも、いったいお金はどこに行ってしまったのだろうか? あの莫大な株式市場や企業の収益や金融市場ブームの利益や過去30年間で110パーセントも成長したGDPはみんなどこに行ってしまったのか? つねにもう十分すぎる財産をもっていた者のところに行ったのだ。


 1973年以降90パーセントのアメリカ人の所得はほんのわずかしか増えなかったのに対して、群を抜いてトップに君臨する者の収入はほぼ3倍に増えた。1979年にはアメリカ社会の最富裕層のもとに流れ込んだのは、全国民が勝ち得た利益全体の3分の1だった。今日ではそれは、ほぼ60パーセントに達する。1950年、平均的な会社社長は単純労働工よりも30倍ほど稼いでいた。今日では300倍だ。今日では、アメリカ人の1パーセントが国民の総資産の37パーセントを分配し合っているのである。

 不平等は、20世紀の20年代以降もはやないだろうと思われたほどのレベルになってしまった。ただし、これまでほとんど誰もそんなことは気にも留めなかっただけなのだ。 



 第3部: 稼ぎが少ない者はそれだけで有罪


 アメリカでは自由な市場こそ最高の法廷だ。稼ぎが少ない者は、それだけで有罪だ。稼ぎが多いものには拍手が送られ――模倣する者が現われたりもする。あまりに長い間見過ごされてきたのは、こうした上昇がますます稀になったことだ。


 統計的に見ると、アメリカ人が貧困層から中流層の上位へ登りつめる確率は4パーセントだが――この数字は、他のほとんどの先進国よりも低いのである。

 政治は、次第に先鋭化している社会的危機に対する答えをこれまでのところ何ら見い出していない。ワシントンは、やって来ない求人数の増加をいつまでも待っているだけだ。オバマ大統領と彼の政権は、アメリカ人がこの泥沼から自力で抜け出すのをただ当てにしているだけのように見える。これまでの政権がしてきたのと同じことをする――つまり、金をばらまく――のがせいぜいだろう。アメリカの経済力の3分の2は国内消費によるものなのだ。

  しかし、FRBのバーナンキ議長が市場にさらなる資金を投入しようが、財政赤字がいつの間に1兆4000億ドルという気の遠くなるような数字に達しようが――何の結果も生じないのである。



 ハワイでは、コストの削減のために、学校が休みになる


  「アメリカでは街灯がなくなりかけている」。先週そんな警鐘を鳴らしたのはノーベル賞受賞者ポール・クルーグマンで、街灯の維持がもはやできなくなった地方自治体のことを彼は記述していたのだ。


 なぜなら問題は、多くのアメリカ人がもはやまったく消費できないという点にあるからだ。彼らは貯金をもたない。彼らの家はまだ買値の半分の価値しかないものもある。安価なクレジットはもう使えない。収入は減っているか無職である。したがって、税金を払うことがもはやできない状況なのだ。


 それゆえ、多くの州政府や自治体は巨額の財政の穴埋めに苦しんでいる。ハワイでは、州のコストを減らすために、金曜日を休校にする週もある。ジョージア州のある郡では、公共のバスの運行をすべてストップしてしまったところもある。人口38万のコロラド・スプリングスでは、電力の節約のために、3分の1の街灯が消された。


 金融危機後のアメリカでは多くのことが上手く行っていないように見える。一方で、発券銀行はたえず新たな紙幣を印刷し、政府はAIGの救済のためだけに1820億ドルもの巨費を投入した。他方で、政府が補助金を与えずそのために緊縮財政にせざるをえないために、街灯がなくなる地方も出る有様だ。「アメリカは、どこに向かうという当てのない、照明もアスファルト舗装もない道に立っている」と経済学者のクルーグマンは警告するのだ。


 まだ健全なアメリカは存在しているが、いずれもっと小さなものになるだろう


 シャネル・サブドラはすでに家から追い払われた。彼女が夫と車で寝るようになって3週間が経った。「こんなことになるなんて思ってもみなかったわ、一度もね」とシャネルさんは言った。涙が彼女の頬を伝った。「もう何とかやって行けるようにはなったけど、子供たちにはつらい状況よね」。彼女には3人の子供がいて、9歳、5歳、3歳である。

 「家は、ずっと南のサン・ベルナディーノにあったわ」。2009年7月に彼女の夫は職を失った。夫はプレハブ住宅の建設にたずさわっていた。エネルギー供給会社はガスの供給を停止した。「私たちは、子供たちの体を洗うために、薪でお湯を沸かしたわ」。8月には、もう家賃を払えなかったので、家から追い出された。

 
 友人や親戚は助けてはくれなかった。今彼らは、ヴェントゥーラの中心地にある(キャプテン・フィンリー率いる)救世軍のホームレス用住宅の部屋に住んでいる。 
 

 ホームレス状態への急転直下は、TVドラマや映画から誰もが得ているイメージからすると理解しがたい現実だ。ドラマや映画では、前庭の手入れが行き届いていて、二台収容できるガレージのところにバスケットボールのゴールがしつらえてある。こうしたアメリカはまだ存在するが、それはいずれもっと小さなものになるだろう。そんな幻想を抱いている者も、それを実現することはめったにないだろう。



   年中アメリカ人は借金で生活していた



 ここ20年間アメリカ国民は生活費の上昇と闘ってきた。すでに21世紀の始め頃には、医療保険や抵当に対して以前の世代の2倍は支払わなければならなかった。


 「この事態に何とか対処するために、すでに何百万という家庭で両親ともども働かざるを得ないようになっていたのです」。そう語るのは、オバマ大統領によって政府による銀行救済計画の監視委員会の長官に指名されたハーバード大学のエリザベス・ウォーレン教授。平均的家庭は「何とか生計を立てていくためだけに」全収入と貯蓄をもう使い果たしてしまった、とウォーレン教授は言う。


 他のあらゆる出費――教養、健康、消費――のために、アメリカ人は借金にたよって暮らすようになり始めた。国民の負債額は13兆5千万ドルにのぼる。


 多くの者が借金に押しつぶされて窒息するような思いを抱いている訳である。61パーセントのアメリカ人が、蓄えがないために、毎月の給料からのローン返済に追われている。そうなると、医療費の支払いまでもが人命に関わる帰結をもつことだってあるのだ。



 「毎日求職の願書を書いていますが、何もありませんね」


 確かにシャネル・サベドラの夫は再び職を得た。飛行機用のタービンを製造する会社の倉庫の作業員としてだ。だがそれでは、ホームレス用の住宅から抜け出るには充分ではないのだ。「私の方はこれまでのところ職が見つかっていません」とシャネルさんは言う。夫の職は給料が悪すぎるのだ。夫婦は、アメリカでますます増加中の働いている貧困層である「ワーキング・プア」になってしまった。この階層にとっては、家族を養うためには夫婦二人が低賃金で働いても充分ではないのだ。「でも、一番下の子を半日幼稚園に行かせるには、最低でも月に600ドルは要るんです」とシャネルさんは言う。

 不況前のアメリカならば、彼女と夫でそれぞれ二つの職場で働き、再び上を目指して奮闘することもできただろう。日中はウォルマートのレジで働き、夕方からはマックのレジか夜間の半分を警備員かベビーシッターとして働いていただろう。それらは皆低賃金の仕事だし大きな展望が開けるわけでもないが、全部を合わせれば困難を乗り切れることはできたのだ。不況前のアメリカでの暮らしは、シャネルさんにとって豊かなものではなかったが、しっかり働こうと思いさえすれば、十分やっていけた。十分な労働量を喜んで支出しようとしさえすれば。


 さて、彼女はいったいどんな職を求めているのだろうか? 「何でもトライしましたよ、店員であれ医療補助員であれね。毎日求職の願書を書いていますが、何もありませんね」と彼女は言った。

」(おわり)








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クレジットカード現金化比較.net

不都合な真実ですね。
日本もアメリカの後を追うのでしょうか?

以前の日本は未来を楽観視している人が多かったですが、
今は、先行きを心配しすぎる人が多いような気がします。

それが益々貧富の差を広げる事につながっていくのでしょうか?
虎穴に入らずんば、虎子を得ず、、、ですか。。。
by クレジットカード現金化比較.net (2010-08-26 16:34) 

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