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貧富の差がますます広がるアメリカ(1) [海外メディア記事]

 何回か前に「アメリカの経済は非常に悪い」と題した記事をアップしましたが(http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-08-18)、そのときは写真だけの紹介でした。が、思うところがあって、それに対応する記事をきちんと紹介したいと思います。

 「貧困問題」は、もはや第三世界の問題ではなくなりました。あるいは下の記事に出てくるハフィントンの言葉を借りるならば、アメリカを始めとする先進国が第三世界化しつつあると、言えるのかもしれない。このブログでも、日本の「貧困問題」を扱った記事を紹介したことがあります(http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23)。しかし、貧困問題は貧富の格差の問題でもある。格差といえば、日本では、派遣労働や小泉首相の政策と絡めて論じられることが頻繁にあったけれど、確かにそれはそれで意味ある議論だったけれど、この問題はおよそ国内問題というものではなかった。派遣の制度改正も社会全体の下流化も、グローバルな動きを反映した動きにすぎなかった。そして、格差の本家本元のアメリカの現状を紹介するこの記事を読むと、日本などよりもはるかに深刻な状況が広がっていることがわかると思います。

 途中で「中流階級」の消滅という観点が出てきます。この中流の消滅という観点からの分析は、イギリスの『ガーディアン』紙の記事でも見ることができた分析です(「絶滅寸前の中流階級」:http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-07-25)。貧富の格差が広がって、その中間層が二極のいずれかに分裂・吸収され消滅しつつある(そして言うまでもなく、大部分は貧困層に吸収される)という事態は、おそらくすべての先進国で共通して進行していると思われます。
 

  この記事は少し長いので2回に分けて紹介したいと思います。ドイツ『シュピーゲル』誌の記事より。

Auf dem Weg nach unten
Von Thomas Schulz

http://www.spiegel.de/spiegel/0,1518,711867,00.html
http://www.spiegel.de/spiegel/0,1518,711867-2,00.html

英語版はhttp://www.spiegel.de/international/world/0,1518,712496,00.html


「 下流への道


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 第一部:下流への道


 アメリカの超大金持ちは数10億ドルも寄付したことに自画自賛しているが、それ以外のアメリカ人にとって状況はかつてないほどひどい。かつてアメリカがこれほど多くの長期失業者を抱え込んだことはなかったと言ってよい。社会の極貧層と頂点にいる人々との間のギャップが途方もないほど広がってしまったのだ。


 ヴェントゥーラは、ロサンゼルスから北に車で一時間あまりの所にある、太平洋を臨む小さな町だ。サーファー向けの浜辺があり、山腹には海を見おろす別荘が立ち並ぶ。ヴェントゥーラは、おとぎ話に出てくるようなカリフォルニアだ。「風光明媚な地域ですよ」とキャプテン・ウィリアム・フィンリーは言う。「しかし、住民のほぼ20パーセントがホームレスに転落する危険性があるのです」。フィンリーは地元の救済軍の責任者をしている。

 昨年の夏、ヴェントゥーラは、フィンリーの音頭のもと、市街地で車での寝泊りを許可する実験的なプロジェクトを始めた。通常、車での寝泊ちは、ここだけでなくアメリカ中で厳しく禁止されている。メキシコ人の季節労働者で一杯の古びた小型バスが夜に家の前で駐車しているなんて誰も見たくなかったからだ。

 しかし、昨年の始めころから、ヴェントゥーラの人々は飲み込み始めたのだ。メキシコ人がやって来る季節に先立って、夜、駐車しているのが古びたバスではなく、手入れの行き届いたステーション・ワゴンであることを。そして、その中で眠っているのが、果物採集の労働者やホームレスではなく、かつて自分たちの隣人だった人たちであることを。

 ウィリアム・フィンリーも急に事態が飲み込めるようになった。彼の救援組織が無料で出す食事を求めてやってくる人が以前の2倍になったばかりではなく、中にはBMWに乗ってやって来る者もいたからである――もっともそれは、かつてのより良い時代を思い出させてくれる高価な車を手放さないでいられる限りのことだったが。


 「以前は誰もが上を目指した」


 フィンリーは彼らを「新しい貧困層」と呼ぶ。「彼らは、まったく別のカテゴリーです。彼らの姿をこの場所で見かけるなんて以前なら決してなかったし、彼らだって、ホームレスに転落する脅威にさらされようとは夢々思わなかったでしょう」。彼らは、最近まではまだ十分にお金を持っていた人々であり、それどころか大金持ちだった人だっているのだ。

 「私自身、貧しい家で成長したし、車はぼろぼろで古びていたし、無料の食事に頼っていましたよ」とフィンリーは言った。「以前は誰もが貧困から抜け出して上を目指したのです」。それが何百万というアメリカ人が通ってきた道だった。 「今じゃ、我々の所にやって来るのは、5万ドルもする車に乗り、今でも大きな家を所有しているが、万策尽きて誇りもすべて失わざるを得なかったような人たちですよ」とフィンリーは言う。

 今日、アメリカ人の歩む道が、しばしば別の方向を、つまり下の方を向いていることもある。

 アメリカが、かつて経済危機から立ち直ったように、今回もここ数十年で最悪の経済危機から復活したように思われた時期があった。力強く、活気に満ち、無傷の復活を遂げたように思われた時期が。



 「上の人たち」に対する怒りが増大する
 
 昨年の秋には景気回復が再び発表されたが、それは予想されたよりも早いものだった。瀕死の銀行が、数10億もの収益をふたたび確保するようになった。国中の企業が力強い増収を報告した。株式市場は、経済危機以前の水準に戻った。大富豪の数も、2009年には17パーセントも増加した。

 先週、マイクロソフトの創始者のビル・ゲイツを始めとする40名の超大金持ちが、遺産の少なくとも半分を死後に寄贈すると発表した。やはりアメリカは、数10億もの大金をポンと寄付するほどの豊かすぎる国なのだろうか?

 ゲイツ基金を別様に、つまりイメージ戦略の行為として解釈することもできる。なぜなら、アメリカの超大金持ちたちは、自分たちが経済危機の勝ち組であるが、その対極にいる負け組みの数が途方もなく膨れ上がってしまったと感じているからだ。そして、「上の人たち」に対する怒りがアメリカ社会で増大していると感じているのだ。

 下の収入層にとってとりわけ問題なのは、好景気が再び失速しつつあることだ。専門家は、アメリカ経済がこれから長期にわたって弱含みで推移するのではないかと心配している。政府の数多くの補助政策にもかかわらず、一般大衆にはわずかな希望の種も届かなかった。それどころか、多くの人にとって状況はまた劇的に悪化しているのだ。

 最新の調査によると、国民の70パーセントは、不況がまだ進行中であると思っている。そして、特に不況の直撃を受けているのは、これまでの不況時のように、すでに貧困にあえいでいた者だけではないのが今回の不況の特徴なのである。


 第二部:「バイバイ、中流階級」


 とりわけ不況の影響を受けているのが、教養もありこれまではたっぷり稼いできた人々、堅実な中流階級として自己を把握している人々である。彼らは、アメリカの歴史でかつてなかったほど深刻な脅威にさらされていると感じている。この階層に属していると考える10人に4人のアメリカ人は、社会的な身分を維持できないだろうと思っているのだ。

 『ニューヨーク・ポスト』誌は「バイバイ、中流階級」という見出しのもと、アメリカの中流階級が組織的に破壊されていることを実証する25の統計的事実を紹介した。売れっ子のオンライン・コラムニストのアリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)は、先週、黙示録的な警告を発した。「アメリカは、第三世界の国に転落する恐れがある」と。不動産危機、金融危機、経済危機、そして最後に債務危機等はまだ解決されていないのだが、その後にアメリカを脅かそうとしているのが、大恐慌の後アメリカが見たこともなかったような社会的氷河期なのである。

 第二次世界大戦後初めて、アメリカは長期的な失業という問題を体験するにいたった。現在すでに過去のいかなる戦争の期間を3倍も上回る長期失業者が存在し、その数はますます増大する傾向にあるのだ。


  どのような計算方法を用いても失業率は17パーセントを超えている



 総体的な失業率は、不況が公式には終わったとされた時から一年間にわたって9.5パーセント強のところでコンスタントに推移している。しかし、これは役所の出す数字にすぎない。すでに職探しをあきらめた人や、月額わずか100ドルのパート労働で食いつないで貯金を取り崩している人を加えるならば、失業率は17パーセントを超えてしまうのだ。

 財務省は最新の報告書で「高まる栄養不安」について語っている。ここしばらく充分な食事が取れていないアメリカ人が5000万人もいるのだ。8人に1人の成人と4人に1人の幼児が政府支給のフード・スタンプに頼っている。地球上でもっとも豊かな国にしてはほとんど信じがたい数字だ。


 しかももっと危険なことがある。つねに揺るがしがたい上昇信仰、つまり、最下層の誰もがアメリカでは上に登りつめることができるという確信を心に抱いてきたアメリカが、その有名な楽観主義を失い始めているのだ。アメリカ国民の半数以上が、状況は自分たち以上に子供たちの世代にとってヒドイものとなっているだろうと予測しているのである。

」(つづく)







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