So-net無料ブログ作成
ブログパーツ
 

人類の起源――ルーシー一族は肉料理を切り分けていた [海外メディア記事]

 最古の石器の使用跡の発見のニュースは日本の新聞でも報道されたので、お読みの方もいられると思いますが、この『ニューヨーク・タイムズ』の記事を見ると、扱いの詳細さ・徹底性という点ではまったく比較にならないことがよく判るのではないかと思います。
 それと面白いのは、日本では「石器」に焦点を当てた見出しが躍っていたのに対して、こちらは肉食に焦点を当てている。どちらが本質的な扱いなのか? まあ、どちらも本質的なんですが、日本の記事では石器にしか言及しないので、その先の情報がまったくありません。しかし、早期からの肉食という情報が与えられれば、そこから、栄養状態の飛躍的向上、さらにはそれが脳の増大化をうみだすといった進化の過程への推論が広がっていくのです。

 『ニューヨーク・タイムズ』の記事より。
 http://www.nytimes.com/2010/08/12/science/12tools.html?_r=1&hpw



 「



 3~400万年前、肉と骨髄に目のなかった個体(おそらくルーシーと呼ばれる人骨によって最もよく知られる種のメンバーであろう)で、鋭くて重い石を用いて、現在のエチオピアにある浅い湖の岸で2頭の大型動物の肉を食べていた者がいたことは明らかだ。

 この発見をした科学者以上に驚いた者はいなかったろう。彼らによれば、化石化したあばら骨や大腿骨上の切り刻んだような跡は、人類の祖先が、これまでの定説より少なくとも80万年早い時期から石器を使用し、時々肉を消費していた紛れもない証拠であるという。これまで確認された最古の石器は260万年前にすぎず、ヒト属の出現のわずか前のものだった。

 初期人類の進化を専門にする著名な研究者の中には、報告された証拠がそのような主張を支持するものではないと言って、懐疑的な人もいる。

 新しい発見がもし本当のものならば、それは、ルーシー種、つまりアウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensis)の思いもよらない行動と食習慣を明らかにしていることになる。食用にされた骨の付近でヒト科の化石は全く見つかってはいないが、アウストラロピテクス・アファレンシスは当時この地域に暮らしていた唯一の種であると考えられている。 厚いエナメル質に覆われた彼らの大きい歯は、塊茎や他の植物を主食にしていることを示していた。

 それで、古人類学者、考古学者、地質学者からなる国際チームは、320万年前のルーシー一族がある種の石器を使用し、切り刻んだ肉や栄養価の高い骨髄を食べる機会を逸することはなかっただろうという初めての証拠を見い出した、と結論づけたのである。

 新しい発見が続いていたとき、発見チームは、アウストラロピテクス・アファレンシスが「われわれが石器の使用を関連づけられる」唯一のヒト科の集団であると、木曜日に専門誌『ネイチャー』で発表される研究報告書に書き記した。
 科学者たちは、これらの個体が石器を作ったか、または自然に鋭くなった石の破片を選択しただけなのかはまだ決定していない、と付言した。 また、彼らが狩猟を行っていたのか、それともライオンの食べ残しをあさっていただけなのかも判っていない。


 いずれにせよ、科学者たちは、肉食の証拠が、人類の祖先による「石器の使用が初期の段階で行われていたことに対する洞察を初めて提供する」ものであり、「このタイプの行動がどのように始まり、そして、後のよく知られた石器生産の技術にどのように発展したのかの理解を高めてくれるに違いない」と結論づけた。


(道具を使うアウストラロピテクス・アファレンシスの想像図)



 エチオピアのディキカ(Dikika)で行われている調査プロジェクトのリーダーは、サンフランシスコにあるカリフォルニア科学アカデミーのエチオピア人古人類学者のゼレセネー・アレムセゲド(Zeresenay Alemseged)である。『 ネイチャー』誌の論文の主執筆者は、ドイツ、ライプチヒのマックス・プランク進化人類学の研究所の考古学者であるシャノン・P・マクフェロン(Shannon P.McPherron)である。

 「いま、ルーシーが食物を探しながら東アフリカの一帯を歩いている様子を想像するとき、私たちは初めて、彼女が石器を手にもって肉を探しているのを想像できるのです」とマクファロン博士はライプチヒの研究所が発した声明の中で述べた。

 「石のツールがすばやく肉をそぎ落とし骨をこじ開けるための石器を手にもつことで、動物の死体はより魅力的な食料源になっただろう」と彼は述べた。「このタイプの行動により、私たちは、後に人類を定義することになる2つの特徴(肉食と道具の製造および使用)につながるルートを歩むことになったのです」。


 アレムセゲド博士は、先週エチオピアに戻る前の電話取材で次のように述べた。「私たちの今後の仕事は、生活様式を一変させ私たちの先祖の行動にこれほど重大な変化をもたらした石器を発見することになるでしょう」と述べた。

 南アフリカのケープタウン大学の考古学者であるデヴィッドR.ブラウン(David R. Braun)は、今回の調査には関わらなかったが、ディキカでは「驚くべきことがもっと私たちを待ち構えているのは確実です」と言った。『ネイチャー』に伴う記事で、ブラウン博士は、アウストラロピテクス・アファレンシスはこれまで比較的原始的な種として見られてきたが、この見方がある点では既に再考の対象になっていると述べた。
 彼は「ルーシーの親戚の人体プロポーションは、サルよりも人間の人体プロポーションの方に似ている」ということを示す研究を引用した。例えば、彼らの短い指は「道具の使用に必要な微細な指使いを可能にするだろう」。
最近発見されたアウストラロピテクス・アファレンシスの人骨は、サルのような胸郭(首と腹の間の身体の部分)をもっていなかったが、胸郭は「通常、大きい消化管と質のよくない食事に関係づけられている」。

 今回の新たな調査結果は「それほど予期外のものではなかったはずです」と彼は言った。




  しかし、発見者たちは既に各方面からプレッシャーを受けており、骨の上の切り刻んだような跡が石器を用いた肉食の証拠であるという解釈を擁護しなければならない羽目に陥っている。初期人類の起源に関して最先端を走っている研究者の一人である、カリフォルニア大学バークレイ校のティム・D.ホワイト(Tim D.White)は、彼らの「主張は証拠を大きく逸脱している」ときっぱり言いいきり、「私たちは40年間この地域の様々な場所で調査してきましたが、これほど古い地層ではたった一つの石器も発見しませんでした」と述べた。 


 これまで確認された中では最古の260万年前の石器の発見者であったインディアナ大学の古人類学者シレシ・セマウ(Sileshi Semaw)は、エチオピアからのeメールで、研究者は動物が踏みつけたりその他の自然の原因で骨に跡が残ることで間違った方向に導かれることがあるものだと述べた。
「私はこの新しい発見については確信がもてませんね」と彼は言った。




 アレムセゲド博士は、このような反応に自信をもって対処した。

 「いったん証拠を調べるならば、この切り刻んだような跡が本物であることを疑う人は、いてもわずかでしょうね」と彼はインタビューで言った。 「この化石の年代を疑問視する人はいないでしょう。でも、誰がこの切り刻んだ跡をつけたのでしょう? ひょっとしたら、別の、もっと進化した、ただしわれわれが知らない種が当時あの一帯にいたのかもしれませんね。それらの種族が使用した道具はどこにあるのでしょう?
 ただ拾い上げただけの、手を加えない石だったとすれば、それらは考古学的に目に見えないでしょうし、特定するのも困難でしょうね」。

 ディキカ一帯は、人間の起源に関連する化石や人工物を求める人々が集まる狩猟場の中心にある。乾燥したこの地域は、北はゴナ(Gona:知られている最古の石器が見つかった場所)とハダー(Hadar: ルーシーの故郷)に接するロワー・アワシュ・バレー(Lower Awash Valley)にある。 4年前に、アレムセゲド博士は、3歳のときに死んだ少女――ルーシーのベビーと名づけられた――の330万年前の人骨がディキカで発見されたことを発表した。

 2009年1月に、化石を求めるハンターたちが、ルーシーのベビーが発見された場所から約300ヤードに及ぶ一帯で徹底した調査を開始した。興味深い切り刻んだ跡をもった四つの骨が出土した。
顕微鏡や化学的精査によって、その内の2つの骨(牛サイズの有蹄動物の右のあばら骨と、ヤギサイズのカモシカの大腿骨)が肉食の証拠であると科学者たちは述べた。

 この跡は石器によってつけられたに違いありません、とマークは石のツールによって作られたに違いありません、とアリゾナ州立大学の人類起源研究所から派遣されたチームのメンバーの一人のカーティス・メイリーン(Curtis Marean)は述べた。「彼らがなしたであろう行為は、肉を骨から引き剥がすために切ったりこそげ落としたりすることから、骨を割って骨髄を得るために大腿骨を叩くことまで含んでいます」と彼は言った。

 このチームの地質学者は、火山灰の年代測定に基づいて、この化石が発見された地層の年代を320万年前から400万年以上前までの間だと定めた。肉食のために使用可能で最も手近に得られる石は発見現場から数マイル離れているらしいのが、このことは、ヒト科の個体が何らかの計画をもっていたことを示唆していると科学者たちは言った。彼らは、多分、こうした道具を握りしめてディナーのためにここにやって来たのだろうというのである。









nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。