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なぜ人間は超自然的なことを信じるのか? [海外メディア記事]

  ワールド・カップの勝敗の予言を次々と的中させ一躍有名になった「パウル君」。元来は、ドイツ西部オーバーハウゼンの水族館「シー・ライフ」のタコですが、そのことを話の枕にして、「ホメオパシー」から迷信や信仰に対する進化論的な説明まで話は発展していく。あまりに広すぎる話題を一つにまとめているという意味では、科学的な記事というより、コラム的なものに近いといえるかもしれません。

 この記事を理解するには、「ホメオパシー」なるものを知っておくべきなのかもしれませんが、19世紀からある民間療法の一つで、科学的にはその効果が立証されていないにもかかわらず、いまだに根強い人気があるらしい(しかもそれを支持する医師も結構たくさんいるらしい)、という知識で充分でしょう。ちなみに、この『シュピーゲル』誌の記事の左側にシュピーゲルの最新号が宣伝されていて、それが「ホメオパシー」の特集号だったりします。ドイツで社会問題化していることが判ります。
 
 迷信とドイツ人というと何か妙な取り合わせのように感じられますが、まあ、どこの国も大差がないことは頭では判っているんですが・・・

 おまけその1: 記事に出てくる表現で、補足が必要な言葉がいくつかあるでしょうが、その一つの説明を予めあげておきます。
 「占い棒」・・・二またの枝や曲がった針金で、水脈や鉱脈を発見できるとされた。

 おまけその2: この記事に出てくる脳の二つのシステムのようなことを言い出す専門家(脳科学者や心理学者)が最近多いですが、その二つの内容が人によって結構違っているのではと思われることがしばしば。たとえば、マイケル・ガザニガの主張なんかと調和するのか? 少し気になりました。 

おまけその3: 「ホメオパシー」は日本では縁のないものと思い込んでいましたが、どうやらそうではないようです。「「ホメオパシー」トラブルも 日本助産師会が事態調査」と題された8月5日の朝日新聞の記事で知りました(http://www.asahi.com/national/update/0804/TKY201008040482.html)。

http://www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,706517,00.html


「  なぜ人間は超自然的なことを信じるのか?

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  予知能力のあるタコ、幸福をもたらすとされる色とりどりのマスコット、神々、奇跡の特効薬:超自然的なものに対する信念は文化ごとにとる形は違っても、世界中に広がっている。研究者たちは、人間の脳の中に、魔術的な思考の土台を捜し求めている。


  予知能力があるとされたタコのパウル君はホメオパシーと何の関係があるのか?  乾いたタコの墨はホメオパシーにとっての原材料の一つである――それは正しい答えだ。もう一つの答えは、サッカーの結果を正しく予言するパウル君の能力に対する信念も、ホメオパシーの実効性に対する信念も同じ土台をもっている、ということである。そしてその土台とは、関連が全くないところに、関連を見ようとする人間の驚くべき能力である。

 パウル君が8回連続正しいサッカーの結果を予言する確率は256分の1であるが---その数字は数学者にとって感銘を与えるほどのものではないらしい。『ニューヨーク・タイムズ』紙は「オーバーハウゼンの神託」に対して、穏やかな形ではあったが、嘲笑しただけだった。あんな「無意味な関連」はどこにでもありますよ、と統計学者のデイヴィッド・ブリリンガーは語った。例えば、1932年から1960年にかけてのアメリカ大統領選挙では、8回連続でファミリーネームが長い方の候補者が勝利したんですよ。

 
 ファミリーネームの長さが選挙結果に影響を及ぼしたなどということは、ホメオパシーの真の効能と同じくらいありそうにもない、と懐疑家は見なす。作用物質は希釈という儀式において、最終的な産物において一分子たりとも見い出されないほどに薄められてしまうのである。


驚くべきプラセボ効果
 

 自然科学者たちの想定によると、多くの患者や医師が確信している効能は、プラセボ効果や、ホメオパシーの治療者との細かい点にまで及ぶ会話といった誘因に基づくものだそうだ。プラセボは全く驚くべき効果をもちうるものだ。2005年に研究者が示したことだが、偽薬は鎮痛効果のある脳内物質の生産を促すこともある。さらに、大学の医学関係者も好んで偽薬を使用するので、それは確かにいかがわしいとは見なされているが、病院では昔から日常的に使われているのである。

 しかし、ホメオパシーの治療者は、薬剤が効いたのは水が記憶をもっているからだ、と信じているのである。そんなことは「科学の根本的認識や自然法則に調和することはありません」。医学者のエドツァード・エルンストは『シュピーゲル・オンライン』とのインタビューでそう述べた。


 魔術的思考は、人類において広範囲にわたって存在しており全く正常なものだ---多数の人が考えることを正常と見なすならば。2005年3月に行われたアレンスバッハ研究所のアンケート調査によると、ドイツ人の3分の2以上は吉凶の前触れを信じているという。他の西側諸国の調査でも似たような結果が出ている。

 魔術的思考に基づく迷信において問題なのは、客観的には存在しないかありそうにもない因果的な関連の仮定である。もちろんそうした関連は、どんな文化でも受け入れられているに違いない。例えば、多くのドイツ人は占い棒が地下の水脈を示すことができると信じている---しかしそんな人でも、水脈の上を歩いているから自分の携帯電話が鳴るとは考えないだろう。どちらも等しくありえないことなのだが、占い棒で水脈を探り当てる行為が文化的に広く知られている、というだけのことなのだ。同じことは、お守りや幸福をもたらすとされるマスコットの効果、祈り、吉凶の前触れ、目に見えない存在などに対する信念にも当てはまる。



 脳の中の二つのシステム

 

 アメリカ人のセイモア・エプスタインやイギリス人のジョナサン・エバンスのような一連の心理学者は、人間の脳には情報を加工する二つのシステムがあると仮定するように提案している。進化的には古株の経験的なシステムと、もっと新しい、人間においてのみ成立した合理的‐分析的システムの二つである。


 合理的‐分析的システムの働き方は、意識的、抽象的、漸進的、推論的、そして主に言語的に進んでいき、世界についての様々な知識を統合する。それは精神的な努力を要求する。しかし、われわれの感情の状況や、行為のモチベーションにより大きな影響を与えるのは経験のシステムの方である。その働き方は、迅速、前意識的、統合的で、努力を要せず、具体的である。それは、同時に起こる知覚を関連性のあるものと見なす。それは、ある事象とその直後に起こる経験の間に因果的つながりを作り上げる---そのさい、それが客観的に正しいかどうかはどうでもいいことなのである。

 人間には、本来は混沌とした世界の中にパターンや意図を捜し求めようとする傾向がある。その背後に進化的な原因を想定する研究者もいる。アフリカのサバンナにいた初期の人間にとって、草原の草が急に動くことの背後にライオンを想定することの方が(そうではないと確信するまで)健全なことだっただろう、というのである。  

 進化生物学者のケビン・フォスターとハンナ・コッコは、そうした振る舞いが進化論的に有利である--それゆえ生き延びる充分な見込みをもつ--ということを数学的なモデルを使って計算した。人間の脳が超感性的なものを信じるように運命づけられている、と多くの神経科学者は確信しているのである。


 
 教養ある人間の方がしばしば迷信に陥りやすい


 だから魔術的思考は今日まで大きな役割を果たしてきたのである。秘伝の書物やセミナーは、100万人もの人をひきつける市場を形成している。同じことは魔術的な治療法にも当てはまることで、ほとんどの専門家の見解によれば、ホメオパシーも魔術的な治療法の一つに数えられるべきものである。ドイツだけでも、ホメオパシー用の薬剤の調合者は4億ユーロの売上に手が届くほどの勢いである。

 ドイツでのホメオパシーは法律的な優遇措置を享受している。ホメオパシーの完成した医薬品には検証が必要ではなく、単に登録をすればいいだけになっているのである。健康被害の心配がないという証明としては、「適切なレベルの希釈度」があれば充分なのである。それが意味するのは、調合者が薬剤を医薬品として登録するためには、その薬剤が効能がないことを証明すればいいということである。効能があり健康被害の心配がないことの研究につぎ込まれる莫大なコストを、ホメオパシーは免れることができるのである。

 今日に至るまでに数多くの研究があったにもかかわらずホメオパシーが有効であることの説得力のある科学的な比較研究はなかったのだが、患者のみならず医師たちもその有効性を信じている。今日の医師は、物理学や化学や薬物学の教養を持っている。彼らは、専門領域ではたいてい厳密に合理的なやり方をしている---しかし、だからといって、彼らが奇跡療法やら霊やらテレパシーやらを信じていないということにはならないのである。


 むしろ、その反対が正しいかもしれないことは、アメリカの心理学者マイケル・シャーマーがその著『なぜ人々は不可思議なことを信じるのか』(邦題は『なぜ人はニセ科学を信じるのか UFO、カルト、心霊、超能力のウソ』)で怪しんだ通りである。「教養のある人の方が、非合理的に得られた認識に対して合理的に見える説明を考え出すのが上手いのです」。






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