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日本対パラグアイ:何もしないことで相手をへとへとにさせ合った一戦 [海外メディア記事]

 昨日の日本対パラグアイの一戦は、日本国内では健闘を称える報道がしばらくの間つづくのでしょうが、世界は、必ずしもそう見てはいないという一例を紹介します。

 要するに、退屈で仕様がなかったという感想ですね。それをいかにもっともらしい記事に仕立てるかという難題をどう処理したのかを、ドイツ『ツァイト』紙の記事に即してご覧ください。途中で、「風雲たけし城」なんかが言及されていて、そういう意味でも面白い。なお、この記事の書き手は『ツァイト』紙のスポーツ編集部員のChristian Spiller氏。

http://www.zeit.de/sport/2010-06/wm-paraguay-japan-barrios
 

 ちなみに、記事で何度も言及されるプファール・ジッツェン(Pfahlsitzen)---英語だとポール・シッティング(pole sitting)---とは、日本では馴染みがありませんが、西欧には昔からあったようで、元来は禁欲的な精神修養の一環だったものが、第一次世界大戦後に短期間競技として流行したものらしい。要するに、円柱の上でいかに長く過ごせるかを競う競技のようです。競技としては最近まで続いているらしく、画像検索で見つけた1997年の競技の写真を下に貼り付けておきます。詳しくはWiki(英語版)を参照されたい(http://en.wikipedia.org/wiki/Pole-sitting)。


(プファール・ジッツェンあるいはポール・シッティング)

2.jpg





「 
   何もしないことで相手をへとへとにさせ合った一戦


1.jpg



 プファール・ジッツェンは愚かなスポーツだ。ポールの上に座って、座る以外 何もしないスポーツだからだ。そして、相手がもう座っていられないというまで、座っているのだ。あるいは、力尽きてポールから降りる---または落ちてしまうまで(そのいずれかは疲労の度合いによるが)、そこに座っているのだ。たいていのプファール・ジッツェンの競技会では、枕や読書用のランプや灰皿などをもっていけるので、プファール・ジッツェンは長く続くのだ。世界記録は196日である。



 いま述べたことがパラグアイ対日本戦に関係するのは、プファール・ジッツェンでは、何もしないことによって相手をへとへとにさせることが肝心なことだったからだ。ベスト8をかけた決勝トーナメントのこの奇妙な一戦も、ほぼそんな進行だった。両チームともオフェンスが大変弱いので、すべてが戦術と化したのは明らかだった。中央でのほどほどの競り合いと申し訳程度の攻撃で力を温存し、あわよくば敵に数多く仕掛けさせ早く疲れさせる(早くポールから降りてもらう)という戦術である。


 両方のチームがこうしたゲーム・プランをもっているとき、このようなサッカーの試合が出来あがるのだ。すると、観ている方としては眠い目をこすって、この両チームが世界のベスト16に入っているとすれば、世界の他の地域では何とひどいサッカーが行われているに違いないことを思って、ゾッとした気持ちになる。この何事も起こらない3時間で何か出来ないことはなかっただろうか、そういえばここ数日どこにも行ってないな、などという思いにふけってしまう。天気がよければ、屋外プールにでも行けたな。家の整理整頓も出来たな、整理整頓はやらなけりゃ。それとも、おばあちゃんに電話してもよかった。だんだん寄る年波に勝てなくなっているからなあ。


 そんな訳だから、どうでもいいような小さなことに楽しみを見い出さざるを得なくなってくるのだ。たとえば、日本人の名前なんかに。ケイスケ・ホンダは自動車みたいな名前だが---以前ホンダ製の車をプレゼントされたことがあったなあ。ゴールキーパーのカワシマは脳トレのゲームの人の名前に似ているな、まあ、どうでもいいことだが。それから、日本のオカダ監督は、実際、タケシという名前だ。やる気満々の多くの日本人が攻略しようとしては、巨大な回転ローラーや湖に浮かぶ石(その内のいくつかはすぐ沈むように出来ている)で失敗してしまうお城に住むTV番組の「風雲たけし城」の虚構の将軍みたいだ。かなり奔放で、絶叫とともに水の中に飛び込むときの日本人の喧騒は、私の世代が日本人について抱くイメージを私たちの脳裏に刻印したものだった。


 ベスト8を目指す一戦が最後になって緊迫したのはPK戦のおかげだった。PK戦は、いつだって、ドラマであり熱狂である。パラグアイ対日本戦でもそうだった。だからこそ、かつてPK戦が考案されたのである。決して正義・公正さのために考案されたわけではない。唯一ゴールを外したユウイチ・コマノに聴いてみるといい。この瞬間のことを死ぬまで人から尋ねられることをどれぐらい正しいことだと彼が見なしているかを。


 日本人にとっては正規のトーナメントがこれで終わったわけである。彼らは、予想通りのプレーをした。抜群の組織力をもつが、守備を固めた相手から1点をもぎ取るのに必要な少しばかりの独創性が結局はなかったのだ。デンマーク戦での勝利の後、ケイスケ・ホンダにはこの独創性があるかもしれないと早とちりした人もいたが、パラグアイに対して彼はいかにもアジア人的に控え目だった。


 パラグアイはベスト4をかけてスペインと対戦する。体力自慢のこの南アメリカのチームがスペインに勝つようなことは想像しづらい。彼らも、当意即妙の機知や、攻撃面で人を驚かせるような所が欠けている。ドルトムントのFWでもあるルーカス・バリオスとネルソン・ヴァルデスの二人がいるから準決勝進出も勝ち取れると想像するのは、あまりに間違った考えだ。彼らもまだ対スペイン戦のことは考えていないだろう、ベスト8にまで進んだこと自体がもう、パラグアイのサッカー史上最大の成功なのであるから。


 それはそうと、プファール・ジッツェンの世界記録保持者はダニエル・バラニュクで、ポーランド人である。ポーランド代表チームは、今回のワールド・カップには出場していない。残念なことだが、ポーランド代表チームが、プファール・ジッツェンの世界記録保持者と同じくらい、相手をへとへとにさせる術を知っているならば、ベスト4に進むチャンスは十分にあったかもしれないのである。



 







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