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マンモスの殺戮が寒波を引き起こした? [海外メディア記事]

 人間の活動が自然環境に破局的な影響をもたらしたのは、産業革命に先立つはるか昔からだった。そういう研究結果が発表されたようです。ドイツ『シュピーゲル』の記事より。

 
 ちなみに、記事で使われる‘Anthropocene(英: ドイツ語ではAnthropozaen)'という表現は、Paul Crutzen(オゾン層に関する研究でノーベル賞受賞)が2000年の論文で導入した造語。ギリシア語で人間を表わす‘anthropos'に、地質時代を表わす接尾辞の'-cene' を付け加えたもので、要するに人間が地球環境を変化させるほどの力をもつに至った時代のこと。通常は産業革命以降のことと考えられているわけですが、それが先史時代から始まっていた、というのがスミス博士らの見解のようです。興味深いですね。

 ‘Anthropocene'という語は、定訳がない(というか、そもそも日本では言葉として認知されていない)ようなので、とりあえず「人類世」と訳しておきました。


 http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/0,1518,696439,00.html

「 人類はマンモスの殺戮によって寒波を引き起こした?


1.jpg


 人類はすでに1万3000年前に気候に大々的な影響を及ぼしていたのだろうか? 北アメリカの巨大な草食動物の大量殺戮が著しい温度の低下をもたらしたとする新たな研究が発表された。気温が低下したのは、動物のメタン排出量が急に減少したからなのだ。


 ほぼ1万3000年前、北アメリカの大地はまだ寒さに震えていた。マンモスやマストドン(=氷河期の巨像)や巨大なナマケモノといった強力な動物たちがアメリカ大陸一帯に広く分布していたからである。しかしその後、今まで研究者たちを謎に直面させてきた事態が起こったのである。つまり、数百年の内に、それらの巨大生物が消えてしまったのである。約1万1500年前に、北アメリカの巨大な動物相が広い範囲にわたって消滅してしまったのだ。

 
 古生物学者の疑念は人間にも向けられた。実際、時間的なつながりは一目瞭然だった。ベーリング海峡をわたって北アメリカにやって来たホモ・サピエンスの最初の痕跡は、巨大な草食動物たちが大量に死滅するまさに直前の頃に由来するものだからである。人間たちが大々的な狩猟をおこなうことによって、巨大な哺乳類を、それがもう生存を維持できないほどに激減させてしまったのだろうか?

  さて、科学者たちは、人間の罪を示す新たな証拠を見つけたと主張している。それは、よりによって巨大な草食動物から排出されるもの、つまりメタンなのである。現代の家畜飼育からも判っていることだが、草食動物の排出するメタンは半端なものではない。メタンは、温室効果ガスとしては二酸化炭素よりも20倍から30倍以上も影響力があるのだが、現在、全世界のメタン排出量の約20%は家畜動物からのものとされる。

 
 アルバカーキにあるニュー・メキシコ大学のフェリーサ・スミスを中心とする3名のチームは、現代の家畜動物のメタン生産量から出発して、北アメリカの巨大動物相の推定上のメタン排出量を計算した。同時に研究者たちは、1万3000年前の更新世と完新世にはさまれた時代におけるメタン濃度の推移に細心の注意を払った。すると興味深い時間的なつながりが判明した、と科学者たちは専門誌『ネイチャー・ジオサイエンス(nature geoscience)』に記している。


 メタン濃度の急激な減少
 

 最後の氷河期は、1万3400年前のいわゆるアレレード亜間氷期に気温が上昇したときに一見したところ終わリを迎えたように見えた。しかし、快適な1000年がすぎた頃に寒気が猛烈な勢いで戻ってきたのだ。ヤンガー・ドリアス期(Younger Dryas)、あるいはヤンガー・ツンドラ期とも呼ばれる時期に、気温が急激に低下した。もう一度、1000年にわたり寒冷期が続き、そしてやっと氷河期が終わった----それと同時にマンモスの時代も終わったのである。


 スミスとその共同研究者たちは、当時の気温の低下と動物の絶滅と同時に、大気中のメタン濃度が180ppbv(parts per billion by volume)も低下したことを突き止めた。別々の時期のグリーンランドの氷を比較することによって、メタン濃度が20ppbv減少すると、約1℃温度が低下することが判っている。このことを、いま研究対象になっている時期に当てはめると、9℃から12℃もの増加を意味するが----これはヤンガー・ツンドラ期の気温低下にほぼ等しい数値なのである。


 「巨大な動物相の喪失は、メタン減少の12.5%から100%までを説明するだろう」と研究論文では述べられている。メタンが急激に減少したことは、著しい冷却化をもたらしたとまでは言わないにしても、それに寄与したというのである。

 
 メタン濃度が減少し、気温が低下し、巨大な生物が死滅する----ここまでは、それほど驚くべきことでもない。一体、これと人間が何の関係があるというのだ?  「この時期のメタン濃度の変化は独特であるように見える」と研究者たちは記している。ヤンガー・ツンドラ期のメタン濃度の減少は、過去50万年に5回あったメタン減少の時に比べて2倍から4倍も早く起こったのだという。「このことが示唆しているのは、ここには新たなメカニズムが働いていたということである」と、スミスとその共同研究者たちは述べている。



 人類世(Anthropocene)はすでに1万3400年前に始まっていた? 



 以上の証拠だけで、人間をカタストロフを引き起こした張本人として捉えていいかどうかは、まだはっきりしていない。というのも専門家の間でも意見が分かれているからである。動物の大量絶滅の原因を、ホモ・サピエンスではなく、激しい気象変動、伝染病や隕石の衝突に求める専門家もいるのである。


 たとえば、フェアバンクスにあるアラスカ大学のデイル・ガスリーは、2006年に『ネイチャー』誌に掲載された研究論文において、人間がアメリカ大陸に侵入する前も後も、バイソンやワピチ・ジカのような大型の種は、絶滅ではなくなく、増加の一途だったという結論を下していた。ガスリーによると、人間がマンモスの死や気候変動をもたらしたのではなく、むしろ逆に、寒冷化が大型動物を葬り去ったことになる。ヤンガー・ツンドラ期に先立つ温暖な1000年の間に、人間以外にも、広範囲にわたる種が北アメリカに広く分布するようになった。それらの種は、その後寒冷期が戻ってきたとき、元々いた大型の哺乳類よりも適応する能力が劣っていた、とガスリーは主張した。


 2009年11月、研究者たちはマンモスの糞の分析結果を公表した。ここでも結果は、人間にはおそらく罪はないというものだった。北アメリカの巨大動物相の死滅は、先史時代の狩人が移住する少なくとも1000年前には始まっていたらしいのである。

 しかし、スミスとその共同研究者たちは人間に責任ありという見解に自信をもっており、地質時代の区分の変更を要求しているほどなのである。つまり、人類世----人間が環境に及ぼす影響によって特徴づけられる時代----はもっと以前の時代にさかのぼって設定されなければならない、というのである。


 これまで、科学者は、新たな時代は1800年頃の産業化の開始とともに始まったと考えてきた。スミスとその共同研究者たちは見解を異にする。「巨大動物相の消滅は、人間の活動に帰されなければならない最も初期の破局的な出来事である」。人類世の始まりは、「人類のアメリカ大陸への最初の大移住が起こった」1万3400年前の時期に設定されなければならないと彼らは主張するのである。



 









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