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感情のない顔(2) [海外メディア記事]

メビウス症候群を扱った記事の後半部分。通常のコミュニケーションが生まれつきできない人は、その代償として他人のちょっとした気配によって、その人の感情のあり方を言い当てられる、という部分はなるほどと納得。

「模倣」という概念は、社会心理学の分野では昔からあったけれど、最近はこうした感情の理解という場面で利用されているのかということが判ったのが収穫。ちなみに記事のオリジナルの題名は「顔という手がかりなしに感情の筋道を求める」というものだが、逆説的なことに顔というものがいかに大きな役割をはたしているかを、間接的に示す内容になっているとも言える。

しかしそんなことよりも、記事を読み終わると、最初は誰もが違和感を抱いたであろうボガートさんの内部にいかに大きな感情や細やかな感受性があるかが判って、あらためて彼女の写真を見るとまったく違う印象をもつようになるのではないだろうか?



http://www.nytimes.com/2010/04/06/health/06mind.html?pagewanted=2



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(メビウス症候群の患者が苦労する)本当の理由は、やはり模倣、または模倣の欠如に帰着するらしいのである。一連の研究で心理学者たちは、会話をする当事者同士の社会的交流は、身振りや表情のリズミカルで、普通は無意識的なギブ・アンド・テイクにとても依存していて、そのギブ・アンド・テイクが善意の共有を生み出す、ということを見いだした。「そこには、相手との交流そのものを自ら引き受けようとすることも含まれるでしょう」とチャートランド博士は言った。

もしタイミングがうってつけでなければ――メビウス症候群の研究はタイミングを考慮していなかった――、自分で引き受けようとする気持ちはあやふやになり、人との結びつきはしぼんでしまう。完全な(またはほぼ完全な)顔面麻痺の人がこの問題を乗り越える仕方は、顔以外のオプション、アイ・コンタクトや手振り・身振りや声の調子に頼ることだった。顔面麻痺をもつ多くの人は、そうした表現手段をオーケストラのストリング・セクションのように繊細かつ力強いものにすることができるのである。

「比喩的にも文字通りの意味でも、私は言語療法で、自分の声を発見したのです」。そう語るのは、自分自身メビウス症候群の持ち主で、ラガーディア・コミュニティー大学の学生課の課長で私的に開業しているセラピストでもあるマシュー・ジョフ氏。ジョフ博士は自分の麻痺を誰の目に明らかで、「口は大きく開き、下唇はだらんと垂れたまま」だと描写した。

「ユーモアをふんだんに利用するんです」と彼は言った。「それは、一つには、私が人間であることを示す方法の一つなのです。大笑いをしますねって昔から人に言われてきました。私も、もういい年だし――今ではそういうことにしておけるんです。私は腹の内側から笑うようにしているのです。違った状況に合わせていくつも違う笑い方ができます、一つ一つの笑い方で体が違って見えるくらいです。社会の見る目がかなり厳しかったので、ごく早い時期から学んだのです、笑っていなければ崩れ落ちるしかないってことをね」。

ボガートさんも変わった笑い方をする。あごを下げ、唇を広げ少し尖らせ、上半身を震わせるようにして笑うのである。こうした周辺的なオプションに頼る必要がたえずあるからこそ、顔面麻痺の人は他人の中の手がかりにきわめて敏感なのである。「パーティ-に行くと、数秒で、話しかけても構わない人は誰かを言いあてられると思います」と彼女は言った。「人々がどれほど気楽にしているか、あるいは不快なのを我慢しているかどうかを、すぐに読み取ることができるのです」。

ある心理学者によると、顔面麻痺をもつ人ともたない人からの証拠をつき合わせると、脳は、他者の感情的な雰囲気を読み取るとき、いくつかのオプションを利用しているということが判明するそうだ。確かに模倣は一つのオプションだが、それは他のオプションの助けを必要としているらしいのである。

昨年発表されたある実験で、オランダの研究者は、ライデン大学の46人の学生に、チャリティーへの寄付について嘘を言っているか本当のことを述べている学生と3分間の会話をしてもらった。会話の相手の表情を真似てはならないと言われた学生は、真似るように言われた学生や何の指示も受けなかった学生に比べて、本当のことを言っているのが誰かを当てる成績がはるかに良かった。「模倣は、自発的なものであれ指示の産物であれ、人の本当の感情を客観的に評価する妨げとなる」のである。

顔面麻痺をもつ人が利用するのに熟練している身振りや声の調子は、さらなる情報を付け加える。「大脳皮質が感情についての判断を下せるように、こうした情報をすべて蓄える別のシステムが、脳の前運動野にあるだろうと私たちは考えています」とマツモト博士は言った。

現在の研究計画において、ボガートさんは、メビウス症候群だけではなく、しばしば顔の半分を麻痺させるベル麻痺や神経の損傷などを含むあらゆる種類の麻痺をもつ人々との数十にも及ぶ社会的な交流の場面をビデオに収めている。

「計画では、そのインタビューを人々に見せて彼らの印象はどうかを見てもらったり、顔や声や身振りなどの要素を分けて、ポジティブに感じられるものは何か、ネガティブに感じられるものは何かを見てもらうことです」と彼女は言った。「なぜそうするかというと、言葉によらない最良のコミュニケーションのテクニックが何かを知ることができるならば、理由は何であれ社会的な付き合いが苦手な人々にそのテクニックを教えられるかもしれないからなのです」」。










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コメント 4

うーちゃん

こんにちは。
私は日本のメビウス当事者ですが、この記事を見て共感することあり、ビックリすることありで思わずコメントしました。
私の悩みもボガートさんとほぼ共通しています。
あと、日本では特に就職先を探すのが多少大変な気がします。
悩みを少しでも緩和するために、日々ユーモアを持って生活することを心がけています。
この記事には書かれていませんでしたが、若干ですがカツゼツが悪いことも悩みの一つです、
驚いた点は…。素敵な旦那様がいたこと。
私は一生独身だろうなぁ~、なんて思ってたので…^^ヾ

思いがけない記事を発見して嬉しかったです。
これからもブログ頑張ってください!
by うーちゃん (2010-05-14 16:39) 

MikS

返事が遅れてすみませんでした。同じような人はどこにでもいるんですね。

>私は一生独身だろうなぁ~、なんて思ってたので

私も、ある時期まではそう思っていましたが、30代の半ばで結婚しました。べつに結婚だけが人生の唯一の指標であるわけではないにても、若い頃の予想なんて、大体外れるものだから、と思っていてくださいね。

自分の紹介したものが、少しでも人に喜びを与えられるのは、こちらとしてもとても嬉しいことです。
by MikS (2010-05-20 02:06) 

てんか

はじめまして。
私にはメビウス症候群(現在0歳)の息子がおります。
この障害について検索していたら、こちらにたどり着きました。

当事者にすれば、悩みも多いと思いますし、
また親の立場からは、息子にどういった療育、教育を進めてゆけば良いものかといつも、悩みも考えております。

メビウス症候群は珍しい障害ですので、一人でも多くの方に知って頂くことが、
息子の幸せにつながるのではないかと考えております。
そこで、私のブログにこちらのURLを張り付けてよろしいでしょうか?
厚かましいお願い申し訳ありませんが、お許し頂きたく、お願い致します。

情報提供ありがとうございました。



by てんか (2014-04-21 13:28) 

MikS

てんか様

ご自由に使ってくれて構いません。
by MikS (2014-04-21 22:35) 

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