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東京の素晴らしきラーメン新世界(1) [海外メディア記事]

 『ニューヨーク・タイムズ』に東京のラーメン事情を取り上げた記事が載っていたので、ラーメン好きの私としては取り上げないわけには行かないでしょう。ただし、少し長いです。三回程度に分けて紹介します。

  書き手のMatt Grossという人は、特に日本通というわけではなく、『ニューヨーク・タイムズ』に安上がりに済む旅行記を定期的に掲載している人のようです。この記事も、ケチケチ旅行記の一環のようです。しかし、本文を読むとわかるように、東京在住でラーメンの魅力に取りつかれ、ラーメン情報を英語で発信している外国人が少なからずいるおかげで、いつの間にか、ラーメンも世界的な広がりをみせつつあるようですね。『ニューヨーク・タイムズ』の影響力を考えれば、この記事は東京のラーメンをさらに世界に知らしめる一つのきっかけになるかもしれません。ひょっとしたら、日本発(あるいは、東京発?)で世界を席巻するものとして、オタク文化の次に来るのはラーメンかもしれないと、そんな期待を抱かせる記事です。
 ちなみに冒頭の写真は、築地の『井上』。近くに住んでいるのに、私はもう何年も行ってないけれど、無性に食べたくなりました。


 この「東京の素晴らしきラーメン新世界」の続きのURLを下に掲げておく。


 東京の素晴らしきラーメン新世界(2)  http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-02-03
 東京の素晴らしきラーメン新世界(3)  http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05

By MATT GROSS  Published: January 31, 2010

http://travel.nytimes.com/2010/01/31/travel/31ramen.html 

 「

 東京の早稲田大学から離れていない、小ぎれいな路地に面したセブンイレブンのすぐ近くのところに、ラーメン屋に見えないラーメン屋がある。じっさい、『がんこ』(それが屋号なのだが)は、何ものにも似ていないような外観である。看板もなければ、窓もなく、ボロっちい黒の防水シートがテントのようにタイル張りの壁に掛けられているだけで、白い動物の骨が鎖でつないで垂れ下がっているのが(かろうじて)中に何があるかの目印になっているのみである。

 防水シートをくぐり引き戸式のガラス戸を開けると、そこに『がんこ』本体がある。木製風のカウンターに椅子が五つ並んでおり、その上にわずかなスペースが前景のように広がり、その向こうに、歳月と煙で黒ずんでしまってはいるが決して汚いわけではない小さな厨房が広がる。一人で働いているのがラーメン店主だ。あごには一週間も剃っていない無精ひげがあり、メガネは蒸気で曇り、タオルを首に巻いている彼は確かにがんこに見えるし、決まった手順通り、丼に調味料と脂を慎重に入れ、オタマで何杯か味わい豊かなスープを注ぎ込み、アル・デンテにぴったり茹で上がリ余分な湯を切った麺と、厚切りの煮豚と、しなやかな一枚の海苔と、メンマをいくつか丼に投入する間、彼はほとんど一言も言葉を発しない。最後に店主がラーメンの上に熱いオイルを滴らせ細かく切った淡緑色のワケギがジュッと音を立てる時まで、一切が静かである。

 それからは、たった一つの音があるのみ――ラーメンをすする音が聞こえるだけである。煮豚を噛んだり脂が点々と浮くスープを飲み込む客から漏れ出る幸福感に満ちたため息や、店主のラジオのかすかなおしゃべりが時折聞こえるだけで、中心を占めるのはラーメンを食べる際に発せられる音である。それは長く、高く、情熱的に響き、麺を食べられる温度に下げようとして息を吹きかけるときでさえも、店主の腕前に対する感謝の念を表わしているかのようである。

 そしてついに麺がなくなり、丼からわずかの脂の塊以外すべてが消え去ったとき、客は丼をカウンターに置き、「ごちそうさまでした」と呟き、700円(1ドル89円のレートで約7.85ドル)を支払い、白昼の世界へと戻っていく。まるで、『がんこ』は、白昼の世界を歩いていると、突如として、幻覚のように、至福の麺を供するおとぎ話の夢の国のように現われ出る店のように思えてくるのである。

 さて、『がんこ』は、内密に保たれた店――賄賂とか、脅迫とか、お涙頂戴作戦で何とか私が探り当てた店であるかのように思う人もいるかもしれない。しかし、そう思う人がいるとすれば、それは間違っている。私が『がんこ』について知ったのは、とある英語のブログからであった。それは、近代日本文学で博士論文を作成中で、もっと大事なことには、ほぼ毎日何杯かのラーメンを食べては記録しているコロンビア大学の大学院生が始めた“Ramenate!(http://www.ramenate.com/)”というブログだった。

“Ramenate!” は唯一存在するラーメン・ブログというわけではない。数多くのラーメン・ブログがあり、英語のブログも沢山あるが、日本語のブログのほうがずっと多い。それらを合わせても、東京の無秩序に広がるラーメンの生態系のほんの一部分にすぎない。この生態系の領域には、多言語のガイド・ブック、光沢紙を使った雑誌、ラーメン店の評価を小数第三位まで得点化するデータ・ベース(ラーメンデータベースで、『がんこ』は76.083と辛い点がつけられている)、コミック本、TV番組、映画(カウボーイハットをかぶったトラック運転手が困っている未亡人を手助けして、ラーメンの技術を体得させる1985年の古典『タンポポ』のように)、そして新横浜ラーメン博物館によれば(そう、ラーメンの博物館があるのだ)、4137軒もあるラーメン店などが含まれている。

 まだ、ハッキリしないって? じゃ、ニュー・ヨーカーのピザや、ホット・ドッグやハンバーガーに対する愛情を足し合わせて、そこに南部人のバーベキューに対する思い入れを注ぎこんでみれば、東京のラーメンに対する執着ぶりを評価し始められるようになるのだ、と言えば判ってもらえるだろう。

 ここで言うラーメンは、アメリカの大学生が毎日そればっかり食べているあの乾燥したものとは全然違う。最高のラーメン店ではもちろんのこと、それほどではない店でも、長時間煮込んだスープや自家製の麺から赤ワインで育てた豚(裏がえしのマリネとして)にいたるまでのほとんどすべてが新鮮で、手作りで、職人技が光るものばかりだ。(『がんこ』のスープのような)醤油味のトリガラスープは、日本のメインの島である本州のどこでも人気があるが、日本の南の九州に由来する豚骨スープも幅広いファンを得たし、北の札幌に由来する、ニンニクの利いた太麺の味噌ラーメンにも支持者がいる。店主の気まぐれだったり変転きわまりないトレンドで味が決まる所もある。

 11月終わりの6日間、私は東京のラーメン文化に潜入し、派手な店もあれば質素な店もあったし、現代的な店もあれば頑固な店もあったが、何が美味いラーメンの決め手になるのかということばかりでなく注文や食べ方の複雑さを調べるために1日に約4杯は食べた。とりわけ私は、こんな単純な組み合わせの食べ物―それは17世紀に儒教の伝道師によって中国からもたらされたのだが―がどうして日本人や外国人の間にこれほどの情熱や愛着を巻き起こしたのか知りたかったし、それを知ることで東京についてのより深い理解を得ようと思ったのである。

 このラーメン・アドベンチャーに多くの時間同行してくれたガイドは、サンフランシスコ出身でラーメン・アドベンチャーズ・ドットコム(http://www.ramenadventures.com/)を主催している31歳の英語教師ブライアン・マクダクストン。長身で青白く、禿でメガネをかけているマクダクストン氏は、彼自身麺みたいな人で、彼の細身で、こっそり刺青の入った体は、彼がこれまで食べつくしてきた量のラーメンとは矛盾する印象を与える。実は、彼が私に話してくれたところによると、彼が日本で過ごした3年半の間で彼はやせたのだそうだ――食べ物関係のブロガーにあっては滅多にない偉業ともいえる出来事である。

 もっとも、彼は最初からラーメンを沢山食べていたわけではない。池袋の人気ラーメン店である『無敵家』の外で45分も待っている行列を何ヶ月にもわたって見つづけた挙句の2008年1月になって、ついに彼は箸を丼に入れてやろうと決心したのである」。(つづく)









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ラーメン凪の生田です。

misk様はじめましてラーメン凪の生田です。

私はこの記事の中にあるラーメン屋なのですが、

NYタイムズに日本のラーメンが紹介されていることに驚きましたが、まったく読めず、翻訳サイトで訳してもまったく意味不明で頭を抱えていたところ、翻訳されたサイトがある!という情報をきき、やってきました。
もし可能でしたら、私どものサイトにて紹介してもよろしいでしょうか?
凪 生田
by ラーメン凪の生田です。 (2010-02-04 09:55) 

MikS

生田さま

 はじめまして。

 私の翻訳で良ければどうぞお使いください。このようなコメントも無用なくらいです。

by MikS (2010-02-05 00:08) 

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