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抗ウツ剤の効果を巡る論争に決着がつく [海外メディア記事]

 政治の話題が続いたので、しばらく目先を変えます。抗ウツ剤が効くのか効かないのかなんていう論争があったとは知りませんでしたが、どうやら決着がついたようです。ニューヨーク・タイムズの記者で、脳科学・心理学・精神医学関連が専門のBENEDICT CAREY氏の記事より。

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Popular Drugs May Help Only Severe Depression
By BENEDICT CAREY
Published: January 5, 2010
http://www.nytimes.com/2010/01/06/health/views/06depress.html



「 広く用いられている薬は重度のウツにしか効かない
   
 火曜日に発表された新たな分析によると、広く処方されているウツ病治療薬は重度の場合には症状を緩和するが、ほとんどの患者にとって偽薬と同様何の効果もないことが判明した。

 この発見によって、抗ウツ薬をめぐって長い間続けられてきた論争に終止符が打たれるかもしれない。この研究は、薬が中程度から重度のウツ病の患者に価値がないと言っているわけではないが――そうした多くの患者がその恩恵を受けているようだから――、抗ウツ薬の総合的な有効性について専門家の間でも意見が鋭く対立してきたことの有力な説明を与えてくれるのである。

 これまでの諸研究を総合してみると、そこからは混乱させるようなイメージが浮かび上がってくるのだ。一方で、企業の支援を受けた臨床試験では、抗ウツ薬によりウツの症状が劇的に減ったことが認められた。他方で、元来は出版されなかったか、埋もれていた多くの研究は、偽薬と比べて著しい効果があることを何も示さなかった。

 
 “ The Journal of the American Medical Association”に掲載された新たな報告は、二種類の薬についてのかつての臨床研究からのデータを見直し、その薬の効果が治療されているウツ病の重症度にしたがって変わるものであることを見いだしたのである。

 かつての分析も同様のパターンがあることを発見してはいた。しかし、新たな研究は、治療を求めるほとんどの人がそうであるように、症状の重症度が中程度で治療を受けている数百人の患者からの反応を、初めて分析しているのである。


 「この研究は抗ウツ薬による投薬治療に対する熱意に少し水を浴びせかけるものになるでしょう、そしてそれは良いことかもしれません」と語るのは、オレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University)で精神医学を受け持つエリック・H・ターナー博士(Dr. Erick H. Turner)。「抗ウツ薬に対する人々の期待は今ほど高くなくなるでしょうし、医師も、投薬治療をしているすべての患者を治せなくても驚かなくなるでしょうからね」。


 しかしターナー博士はこう付け加えた。「この発見は、人々が投薬治療を拒絶するようになるまでに一般の期待に水を差すものであってはなりません」。


 政府からの補助金を利用して新たな分析を行ったのは、トーク・セラピーを優先する心理学者や製薬会社のコンサルタントの仕事を幅広く手掛けている医師などを含む研究者のチームだった。研究グループは、半分が重度のウツ病患者で、半分がもっと穏やかな症状の患者であるような728人の男女を対象に、大規模な臨床試験を6回行った。

 
 その臨床試験のうち3回は、グラクソ・スミスクライン社のパキシル(いわゆる抗うつ剤(S.S.R.I.))を使い、他の3回は、三環系抗ウツ薬として知られているものでパキシルよりも古いジェネリック医薬品のイミプラミンを使った。

 ペンシルベニア大学のジェイ・C・フォーニア(Jay C. Fournier)とロバート・J・デルベー(Robert J. DeRubeis)をリーダーとする研究チームは、偽薬と比べて、それらの薬が重度のウツの症状(重症度を計る標準的な尺度で25点以上のケースで、サンプルの上位4分の1に患者がいることを示す)を大幅に減少させることを発見した。25点以下の患者は投薬によってほとんど、または全く改善が見られなかった。


 「14点から20点までの、医師ならばきっと投薬の処方箋を出すのは間違いない重症度が比較的穏やかな範囲で、薬の効力の全般的評価を与えることができたのはこれが初めてなのです」とデルベー博士は語った。…

 レクサプロやプロザックのような人気のある別の抗ウツ剤の効果はパキシルの効果と大して変わらないだろう、と専門家は話す。


 症状が穏やかな患者に対して抗うつ薬が偽薬を上回る効果を示せなかったのは、薬の臨床実験を受けている患者がトップクラスの医師から持続的な注意の対象になっていたことも関係するだろう--薬を飲んでいようといまいと、そうした注意を受けること自体が症状を緩和するのに役立つのだから、とデルベー博士は述べた。患者によっては、薬の副作用が薬の効果を相殺してしまうこともあるのかもしれない。

 
 「ウツの症状が軽いか中程度までの患者にとってのメッセージがあるとすれば、それは」とデルベー博士は言った。「投薬治療はいつだって選択肢の一つだけれど、それが、ウツ病を振り払う他の努力--それが運動であれ、医師に診断してもらうことであれ、この病気についての本を読むことであれ、サイコセラピーに通うことであれ--に付け加えるエビデンス(それが効くという科学的根拠)はほとんどない、ということなのです」」。
   


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