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子供という贅沢品 [海外メディア記事]

  ドイツの『ツァイト』紙で「子供という贅沢品(Luxusgut Kind)」という見出しを見たとき、やはりドイツでもそうなっているのか、とため息が出る思いだった。適宜、コメントを加えながら、記事を部分的に抄訳していこうと思う。http://www.zeit.de/gesellschaft/generationen/2009-12/luxusgut-kind

  

 「 子供という贅沢品

  今日、子供をたくさん抱える住民層が二つある。一つはいわゆる下層の人々であり、もう一つが-そしてこれが新たな点なのだが-高所得者層である。子供をもつことで、どれくらい余裕があるかが示されているのである。

 

  要するに、子どもを多くもつことが一種のステイタス・シンボルになった、と言いたいわけである。メディアもそのトレンドを炊きつけるような取り上げ方をする。ハイディ・クルム(子供4人), マドンナ(子供4人)、アンジェリーナ・ジョリー(子供6人)などの(かつては当たり前だった)出産・育児のエピソードは、何か一大スペクタクルのように扱われるからである。(下の写真は、子供を抱き上げるハイディ・クルムとその夫)。

 

 もちろんマスコミの扱いが主たる要因なのではない。多くの中間層の人にとって子どもが「贅沢品」になったのは、『ツァイト』紙によれば、「柔軟化した労働市場や困難な経済状況」のためなのだという。経済がグローバル化し、経済危機が叫ばれる中では、雇用を時々の需要に合わせて自由に調整できるような仕組みが、ますます求められるようになる。

 しかし、こうした労働市場の要求は、一定不変の家族計画というものとそりが合わない。その上、解雇からの保護(=不法な解雇を認めない労働法の規定)の緩和や、常勤の職場ではなく成果主義的な契約のような措置は、若いカップルに不安を与え、労働と子供の両立に対する長期的な見通しを何も与えてくれないのである。それゆえ、現在の所、多くの子供をもつのは、主に二つの社会・経済的なグループに限られることになる。一つは、たくさんのお金があるので多くの子供をもつ余裕があるグループで、もう一つのグループは、たくさんの時間があるので多くの子供をもつ余裕があるグループ、いわゆる下層の人々、「キャリア」なるものが「家族」に対立するものとして表れることがない人々である。

  ドイツでは、40歳から44歳までの女性で子供を持っていない人の割合は4分の1に達するという(10年前は16%だった)。これは、女性たちが子供より「キャリア」を選んだ結果だと普通説明されるが、最近の研究は、子供を望まないのは男性の方だということを明らかにした。アンケートによると、4分の1の男性が、経済的な不安のために、家庭をもつことを諦めているのだという。

 大学を出ても望みの職種に就けるような時代ではないし、就けたとしても不安は絶えない。しかし、それでも大卒者は、そうでない者に比べるとまだ良い職に就けるチャンスは多い。失業者の数でいえば、大卒者に比べ、高卒以下の者は5倍も高いのである…  」。

  こうしてみると「いずこも同じ秋の空」という感じを改めてもった。「経済のグローバル化」は、あらゆる地域やあらゆる文化の差異を跳び越えて、いたる所に同じ構造をまき散らしているのだから、いたる所で同じ問題が発生するのは避けがたいわけである。それを局所的にいかに防ぐかは、その国々の政治の手腕というものである。

 ドイツでは「両親手当て(Elterngeld)」が導入されることでに歯止めがかかったような論評があった(2009年2月17日の記事「少子化から回復するドイツ」(http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-02-17)で伝えた通り)。しかし、この『ツァイト』紙の記事では、この政策では子供の「贅沢品」化を阻止することは出来ないという(ある程度の稼ぎがある人にしか有効ではない)。今の政権下では、両親の収入がどの程度であれ、それとは無関係に子供一人当たりに支出される手当のことが検討されているという(日本と同じ。日本が真似をした?)が、やはりそういう小手先のバラマキでは、子供の「贅沢品」化は防げそうもない。相手は、究極的に言えば、世界的な規模での労働力の均一化という怪物なのだから、おそらく対処の仕様がない、というのが唯一の答えなのではないか、という悲観論に私などは傾いてしまうのである。



【関連エントリー】
- 少子化から回復するドイツ:MikSの浅横日記 :So-net blog
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チハル

凄く的確な批評であり、身につまされるニュースですね。
日本でも恐らく、こういう現象がすぐ目の前まで来ているし、もしかしたら、もうすでにその傾向になっているのかもしれません。
特に、女性にとっては、出産にはタイムリミットがありますから、本当に悩ましいことなのです。
ただ、子供というのは、お金には代えられない素晴らしさがあるので、子供の有無や老若男女に関わらず、全ての人に、それを理解して欲しいです。
社会全体がもっと大人になって、子供を愛して欲しいと思う、ただそれだけです。
by チハル (2009-12-27 20:21) 

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