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自民党を殺した男(2) [海外メディア記事]

 今回の総選挙の結果をもたらした原因を小泉純一郎氏にさかのぼって説明した『ニューズウィーク』誌の記事の後半部分をお伝えします。卓見があるわけではないにせよ、こういう風にコンパクトにまとめてくれると、政治に本質的な興味のない人間にも政治の流れが理解できるので助かります。
 
 

  
By Takashi Yokota | NEWSWEEK Published Aug 15, 2009  
From the magazine issue dated Aug 31, 2009

http://www.newsweek.com/id/212119/page/2


「 政権与党を殺した男はその党のスターだった
 
 経済面で、小泉は各種補助金や予算のばらまきを削減した。彼は自由市場改革を追求し、労働法を緩和し、国営の組織を民営化し、金融部門の不良債権を一掃しようとした。この政治運動は、2005年、巨大な日本郵政――24万人以上の従業員を抱え、日本の個人貯蓄の総額のかなりの部分を占める2兆ドル以上の資産を管理する郵便網――の小泉による民営化でクライマックスを迎えた。小泉の主張によると、民営化によって、より小さな政府、より自由な市場、そして郵政の資産のより効果的な利用が生みだされるはずだった。

 しかし、小泉の任期が3年前に終わってからというもの、党や国を再活性化するというより、小泉はその両者に新たな問題を背負わせただけだったことが次第に明らかになった。小泉の約束とはちがって、自民党を浄化するというより、小泉は主にライバルの派閥(田中に由来する派閥)を破壊し、自分の同類を要職につけるために行動したのである。小泉は確かに経済に競争を導入する努力はした――たとえば、農業地域への補助金を削減したり、企業に雇用や解雇をもっと容易にできるような雇用法を変更したりした。しかし、約束された経済成長は経済を救うにはあまりにも緩慢だった。新たな雇用規則は、年を追って膨大な数になっていく低賃金の派遣社員の大群を生み出し、すでにどん底状態だった需要をさらに弱体化させた。デフレは続いていたし、下落する価格は、およそ何であれ何かを買うのを先延ばしにするさらなる理由を与えた。批評家は、日本の膨れ上がる底辺層の苦境を無視し、収入の格差をさらに拡大させる手助けをしたことで(それは記録的なレベルにまで達した)、小泉を非難し始めた。
   

 自民党に小泉がいて国民に希望を与えてくれる限り、自民党は力強いままでいられた。しかし自民党がそのカリスマ的指導者を失ってしまうや、有権者たちは自民党に反旗をひるがえした。「単純にいえば、小泉純一郎は自民党にとってモルヒネだったのです。彼がそこにいる限り、万事OKでした」。学習院大学の政治学の教授野中尚人はそう語る。「しかしいったんモルヒネが切れると、自民党はまた臨終の床に戻ってしまったのです」。


 小泉はまた自民党の回復力も弱めてしまった。派閥体制に対する幾多の批判にもかかわらず、それは新米の政治家を日本の政治の荒波に耐えていけるように訓練するのに適していたし、党内で政策についてのコンセンサスを生み出すのに効果的であった(派閥の長が集まって話し合い、意見の相違に決着をつけたのだ)。そのシステムがなくなってしまったので――小泉が諸々のグループを弱体化し、新しい自民党員にグループに加わらないように働きかけたのだ――自民党はもはや党の意思決定をしたり調整する、下から上への実効的な手段をもっていないのである。そのために、小泉の後継総裁は、道路工事のための無駄な支出を削減するといった難しい問題について、一般党員や官僚の意見を取りまとめるということが出来なくなってしまった。福田康夫首相はそうしようと試みたが、骨抜きにされてしまったし、麻生は今年の5月に1500億の経済刺激策を何とか通したが、それは極端な経済危機があったからにすぎない。


 自民党は、小泉が変えなかった一つの欠陥の扱いに苦しんできた。世襲政治の伝統である。小泉の後継総裁はすべて――安倍晋三、福田と麻生――世襲によって地盤を受け継いだ。小泉自身の父も祖父も閣僚だったし、安部も福田も麻生も皆、首相の息子か孫である。国会のすみずみにまで行き渡っているこのトレンドのおかげで、小売り政治(retail politics)が――政治家の家に生まれたのだから――得意でなく、甘やかされて育ち、普通の日本の市民との接触がないと衆目が一致するような指導者の世代が生み出されたのである。この事態は、普通の人々がかつてないほど痛めつけられている時には、特に不利に働く欠点であることが判明した。

 誰もが予測するように、自民党が8月30日の選挙で大敗を喫するならば、その結果は致命的なものになるだろう。二つの結果が考えられる。第一は、自民党が単純に崩壊するというもの。党の大物の何人かは、選挙に続いて「政界再編」があるだろうと予測した。かつて自民党議員だった渡辺喜美はすでに新党を作ったし、元総務大臣の鳩山邦夫は独自のマニフェストを作ると約束した(どちらも大きな勢いをまだ得ていないが)。


 第二の、もっと現実味のあるシナリオは、自民党が根本的に違った党として、民主党が社会福祉に重点を置くのに対して経済成長の強調にもっと焦点を絞る政党として再登場するというものである。自民党は、小泉時代の教訓を踏まえて、「行きすぎた市場原理主義から決別」すると現在は主張しているが、(いま懸命に自己を再定義しようとしている)民主党よりも保守的な勢力としてとどまるだろう。どちらの党も割れて、経済成長派が一つの党を形成し、社会福祉派が別の党を形成するということも考えられる。そのような結果になっても、政策だけでは大政党の区別が難しい現在の日本の混乱した政治に比べれば、大きな前進といえよう。何が起ころうとも、確かなことが少なくとも一つある。約50年間、利益誘導と政治との混同によって日本を支配してきた政治体制はもう長くはないだろう、ということである」。









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