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石油危機の再来の懸念 [海外メディア記事]

 IEA(国際エネルギー機関 International Energy Agency)からの警告に基づいた記事は、2月にも取り上げましたが(『2013年にまた経済危機が』http://shin-nikki.blog.so-net.ne.jp/2009-02-28-1)、今度の『インディペンデント』紙の記事の方がより核心に迫っていると思います。予想よりも「ピーク・オイル」が早まって2020年ごろまでには、石油生産が頭打ちになり以後減少に転じるだろうというIEAの予測は脳裏に刻んでおきたいと思います。
 
 しかし、それ以前に、需給のギャップが顕在化して石油危機の再来が訪れるかもしれないという予想(今年2月にすでに出されていた予想)は、ピーク・オイルが目前にまで迫り、石油という商品がすでに異常なまでの投機的性格を帯びてしまったことを考えるならば、当然起こるべくして起こることと割り切っておくべきなのではないのか、と私は思っています。今度「底を打った」なんていう認識がグローバルな規模で共有された暁には、1バレルどれほどまで上がるのか? 1バレル200ドル?  そうなったら、ハイブリッド車の持ち主でも苦しいでしょう。 トヨタもハイブリッドの車種を増やすなんて戦略で大丈夫なの? たぶん駄目なのではないでしょうか?  麻生総理は、今後10年間で所得100万アップを公約にしたけれど、根本的に認識がずれているとしか言いようがない。むしろ石油危機の再来に備える長期的視点と環境整備のほうが急務だと思います。

 何が大事なのか? この記事の結論を引用すれば、「再生可能なエネルギー、エネルギー効率、代替輸送機関の結集を加速化すること」でしょう(少し抽象的すぎますね。この中身をもっと具体的にすることは別の機会に譲ります)。今は、こういう長期的な視野を持つことが、かつてないほど重要になっているのです。特に政治家には長期的な視野をもってほしいところです(いずれ起こる石油がらみの「危機」が政治的意味合いを帯びないとも限らないわけですから)。
 

 

By Steve Connor, Monday, 3 August 2009

http://www.independent.co.uk/news/science/warning-oil-supplies-are-running-out-fast-1766585.html



警告: 石油の供給量が急速に減少しつつある
 壊滅的な不足が経済の回復を脅かしていると、世界で屈指のエネルギー経済学者が語る。

 世界は壊滅的なエネルギー危機に向かいつつある。このことは、世界の主要な油田のほとんどが生産のピークを越えてしまったので、グローバルな経済の回復を不可能にするかもしれない、と優れたエネルギー経済学者の一人が警告した。

 急激な需要の増加によって石油価格が上昇しているにもかかわらず、石油の供給量が停滞し、それどころか減少さえしていることは、経済に打撃を与え回復軌道から外してしまいかねない。そう警告するのは、OECD諸国による今後のエネルギー供給量を算定するという任務を負っている、パリの名望ある国際エネルギー機関(IEA)のチーフ・エコノミストのファティー・ビロール博士。
 
 インディペンデント紙とのインタビューで、ビロール博士は、一般大衆も多くの国の政府も、現代の文明が依存している石油が以前の予測よりもずっと急速に減少しつつあり、地球全体での生産量は今後約10年――たいていの国の政府の見積もりよりも、少なくとも10年早く――でピークを迎えるだろうという事実を忘れているように見える、と語った。

 しかし、世界中の800以上の油田(地球全体の埋蔵量の4分の3にあたる)を初めて綿密に調査したところ、最大級の油田のほとんどはすでにピークを過ぎていて、石油生産量の低減率は、たった2年前に計算されたものよりもほとんど2倍もの速いベースで進んでいることが判明した。おまけに、産出国による慢性的な過少投資という問題があり、このことは今後5年のうちに必ずや「石油危機」に帰着することになり、それによって今のグローバルな経済不況からの回復の期待はすべて駄目になってしまうだろう、と彼は述べた。

 イギリスや他の西側の強国への厳重な警告として、ビロール博士は、相当な石油埋蔵量を抑えている少数の石油産出国――主に中東諸国――の市場支配力は、2010年以降石油危機が世界をとらえ始めるにつれて急速に上昇するだろうと述べた。


 「いずれは石油がなるなるわけですが、それは今日、明日というわけではない。しかしいずれは石油はなくなり、私たちは、石油が私たちのもとを去る前に、石油のもとを去らなければならず、その日のために備えなければならないのです」とビロール博士は言う。「私たちの経済・社会のシステムはすべて石油に基づいているので、始めるのが早ければ早いほど良いのです。だからそのシステムを変えるには、多くの時間とお金がかかるでしょうし、この問題を極めて深刻に受け止めなければならないのです」と彼は言う。

 「少数の石油産出国、主に中東諸国の市場支配力は、とても急速に上昇するでしょう。それらの国はすでに石油市場の約40%のシェアを握っていますが、このシェアは今後もっとずっと強力に上昇するでしょう」。

 現在の油田の産出量の減少を補って新たな供給量を増やすために充分なことがなされていないので、需要が増大する来年以降に石油供給の不足が生ずるというリスクが見込まれているのである。


  IEAの算定によると、現行の油田の石油産出量の減少は年間6.7%のペースで進んでいる。IEAは2007年に3.7%と算定したのだが、それが間違いであったことをIEAは今認めている。


 「市場の逼迫を私たちが目にするとき、普通の人々はそれを、今よりもいっそう高いガソリン価格という形で目にすることになります。経済に影響が出るでしょう、とくに市場でのこうした逼迫をこれから数年間に目にすることになれば、そうなるでしょう」とビロール博士は言う。

 「グローバルな経済は依然としてとてももろく、とても弱いままでしょうから、この逼迫はとても重要になるでしょう。多くの人は、あと数年すれば回復するだろうと考えていますが、しかしとてもゆっくりとした回復、とてももろい回復となるでしょうし、ひょっとしたら、その回復は石油価格の高騰によって抑えられてしまうというリスクもあるのです」と彼はインディペンデント紙に語った。


 世界の主要油田の史上初となる査定において、IEAは、世界のエネルギーシステムは岐路に差しかかっており、予測される需要が供給をはるかに上回っているので、石油の消費は「明らかに持続可能ではない」と結論づけた。

 Opec以外の国での石油生産はすでにピークを越しており、安く手に入る石油の時代は終わった、とIEAは警告した。

 ほとんどの油田で石油の生産はもうピークに達した。それはつまり、現在の需要に見合うためには、他の供給源が見つけられなければならないということを意味する。

 たとえ需要が一定にとどまったとしても、今の生産量を維持するために、世界はサウジ・アラビアを4つ見つけなければならず、現在と2030年の間に需要が増加した場合、その予測される増加分に追いつくためには、サウジ・アラビアを6つ見つけなければならない、とビロール博士は言う。


 「これは、地質学の観点から見ても、投資と地政学の観点から見ても、超難問です。だからこれは大きなリスクであり、それは主に、油田からの産出量の減少の割合が高まったせいでなのです」と彼は言う。
  

「多くの国の政府は、少なくとも、安くて気軽な石油という時代は終わったということをますます自覚するようになってきてはいます。しかし、私は、各国政府が、私たちが石油の供給という点で直面している困難を自覚しているかどうかということについてはあまり楽観的ではないのです」。


 「環境運動家たちが恐れていることは、従来通りの石油の供給がストップすると、各国政府は、カナダのアルベルタに膨大に眠っているタール・サンドのような、もっと汚れた代替物を利用せざるを得なくなり、それが即座に環境にダメージを与えることになる、ということです。タール・サンドから1バレルの石油を回収するために必要とされるエネルギーは、同量の原油を回収するために必要とされるエネルギーと比べると大きいものになるからです。


 「石油が私たちみんなの想定以上の速さで枯渇しつつあるからといって、気候変動に対する重圧がなくなったわけではありません」。そう述べるのは、以前石油産業のコンサルタントをしていたが、今ではソラー・センチュリー社とともに環境企業家として活動しているジェレミー・レゲット氏。

 「シェルや他の石油メジャーもタールに目を向けたり、石炭から石油を抽出しようと思っています。しかしこうした作業は二酸化炭素を多大に排出するプロセスであり、気候問題をさらに深刻化させるでしょう」とレゲット博士は言う。

 
 「私たちがすべきことは、再生可能なエネルギー、エネルギー効率、代替輸送機関の結集を加速化することなのです」。


 「私たちは、地球温暖化に対処するという理由で、こうしたことをしなければならないのですが、目前にせまったエネルギー危機のおかげで、その責務はいっそう強いものになるのです」。



 石油: 不明確な未来

 * なぜ石油はエネルギー源としてこれほど重要なのか?
 原油は、経済が発展し、社会のほとんどすべての側面が円滑に機能するために決定的に重要なものであった。農業や食糧生産は、燃料と殺虫剤のために石油に著しく依存している。たとえば、アメリカでは、一頭の肉用牛を育てるのに、直接間接を問わず、約6バレルの石油を使う。石油はほとんどの輸送システムの土台である。石油はまた、薬や化学産業にも不可欠なものであり、軍隊のための戦略兵器にもなる。


 *石油の埋蔵量はどのようにして見積もられるのか?
 
 回収可能な石油の量は、常に、経済――石油の価格を決定し、石油を採掘することは価値があることか否かを決定する――と科学技術――油田を発見し石油を回収することがどれほど容易かを決定する――の変動によって変わる推定値である。推定鉱量(probable reserves)とは、石油を回収できる確率が50%以上のものを指す。予想鉱量(possible reserves)とは、その確率が50パーセント以下のものを指す。




 *石油の埋蔵量についてなぜ意見の不一致があるのか?

 あらゆる数字は、どちらかといえば情報に基づく推定値にすぎない。違う専門家が違う推測をたてるので、彼らが違う結論に至るのも当然といえば当然である。自国の油田の規模を国の安全保障の問題として見ていて正確な情報を提供したがらない国もある。また別の問題として、すでにピークの生産を超えてしまった油田で石油の生産がどれほど急速に減少しているかという問題がある。減少率は油田ごとに違うので、この点も埋蔵量の規模に関する計算に影響を及ぼしている。石油に対して将来どれほどの需要が見込まれるかということも、さらなる要因である。



 *「ピーク・オイル」とは何か、そしてそのピークにいつ到達するのか?

 これは、石油が生産される最高率が技術的・地質学的制約のためにピークを迎え、それ以降は総生産量が減少に転ずるような時点のこと。イギリス政府は、他の多くの政府と歩調を合わせて、ピーク・オイルは21世紀もかなり経つまでは、少なくとも2030年以後までは起こらないだろうという立場をとってきた。IEAは、ピーク・オイルは多分2020年までにはやって来るだろうという見解である。また、IEAによると、2010年以降の需要は、減少しつつある供給を上回ることになりそうだから、われわれはそれよりずっと早い「石油危機」に向かっている、というのである。
 

 *地球温暖化だけではなく、どうしてピーク・オイルのことも心配すべきなのか?

 カナダのタール・サンドのような非ー従来型の石油は大量に埋蔵されている。しかしこの石油は汚れていて、気候変動に関してどんな協定を結ぼうとも、それを無意味なものにしてしまうほど大量の二酸化炭素を生み出すことだろう。さらには、すでにピークの生産を超えてしまった油田で石油の生産がどれほど急速に減少しているかという問題がある。減少の割合は油田ごとに違っているだろうが、このことは石油埋蔵量の規模に関する計算に影響を及ぼすことになる。ピーク・オイルに対して適切な準備をしなければ、地球温暖化は予想よりもはるかに悪いものになるかもしれないのである」。







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