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脳の老化とブリッジ(2) [海外メディア記事]

  前回の続きの部分です。痴呆を予防するのに、社交的活動が重要であるということは知っていましたが、人と会うことがそれほど脳のエネルギーを必要とするということは初耳でした(まあ、考えてみれば、人との付き合いには確かに色々難しい側面があるからこそ、それを回避しようとする人が沢山出てくるわけですが・・・)。男性の平均寿命が短い理由は、案外、社交性の乏しさという点に求められるのかもしれない、と思いました。
 http://www.nytimes.com/2009/05/22/health/research/22brain.html?pagewanted=2&_r=2&ref=science



 「金曜の午後のブリッジゲームで、カミンズさんとスコットさんは、他の二人のプレイヤー(二人とも女性で90歳台)とテーブルを囲んでいた。手番の合間にゴシップの話が自由に飛び交う。ゲームよりもおしゃべりのほうに夢中な居住者について、その週に体操クラスで倒れ死んだ100歳の男性について。 

 しかし、女性たちは、ゲームになると真剣そのものである。

 「あなたが出したの何だった、スペードだった?」と、パートナーがカミンズさんに尋ねる。

 「そう、スペードよ」と、カミンズさんは少しムッとして答える。

 後になって、そのパートナーは不安げにテーブルのカードを見つめる。「これって・・・」。

 「そのトリックはもう終わったのよ」とカミンズさんは言う。
 「あなた、1トリック負けてるのよ」。

 
 ラグーナ・ウッズの常連プレイヤーならば大抵は、うっかりした間違いに狼狽して、定例のゲームから身をひいてしまったプレイヤーを少なくとも一人は知っているそうだ。「私の友人で、とても優秀だったんだけど、キープ・アップできないと思い込んで、反射的にドロップ・アウトしてしまった人がいました」とカミンズさんは言う。「よくあることなんです」。

 けれども、多くの場合、状況の悪化によって急に自己意識が消え去ってしまうのは、痴呆の悲劇の一部である。たぶん他のどんなことよりも、自分の日常の生活を規定しているたった一つのものを進んで放棄しようと思う人はいないはずなのだから。

 「そんなときは本当につらいのです」とデイヴィスさんは言う。「つまり、あなたならどうします? 自分の友達がそうなったら」。



 ゲームをし続ける


 食事や運動が90歳以上の人の痴呆のリスクに影響を及ぼすという証拠は、これまでのところ科学者によって発見されたわけではない。しかし、クロスワード・パズルをしたり読書をしたりといった精神的活動が痴呆の兆候の到来を遅らせることはありうる、と主張する研究者もいる。友人との交流を含む社会的なつながりをもつ活動はとても重要であろうと推測する研究者もいる。心理学者の知見によると、健全な精神であっても、孤立状態に置かれると、空ろになって急速に退化してしまうこともありうるのだ。 
  

 「自宅であれ自宅の外であれ、付き合う人が多ければ多いほど、精神的にも肉体的にもそれだけ良いということを示す証拠はかなりあるのです」とカーワス博士は言う。「見知らぬ人でもいいのですが、定期的に人と会うことは、パズルを解くのと同じくらいの脳のエネルギーを使用します。だから、これこそ問題のすべてだということになったとしても、私は驚かないでしょう」。

 ブリッジは両方の種類の刺激を提供してくれるのです、と博士は付け加える。

 ラグーナ・ウッズでの不文律に、記憶力が低下しつつある人を援助してやること、一種の記憶の補助として振舞うことというものがある。「みんな記憶を失うのが怖いのです。誰にもそのリスクがありますからね」。そう語るのは、匿名希望の90歳代の常連プレイヤーの一人。

 現在96歳で、以前学校の校長をしていたウッディー・ボワーソック氏は、ラグーナ・ウッズのスイミング・チームの仲間が競泳できるように手助けをしたのだが、その仲間は痴呆のために新たな記憶のほとんどを形成する能力がなかった。

 「レースの前に、スタート位置のところまで歩かせて、その上に載せてやらなければなりません」とボワーソック氏は語る。「しかしホイッスルがすぐ鳴らなければ,彼は徘徊し始めるでしょう。ですからね、彼が水に入るまで彼のそばに立っていなければならないんです。水に入ってしまったら、もう大丈夫です。泳ぎはうまいから。自由形ですよ」。

 ブリッジには別の難しさがあるが、居住者の幾人かによると、優秀なプレイヤーは、記憶力が減退しつつあるときでも、本能的にプレイできるのだという。 

 「95歳のある男性を知っていますが、彼は、痴呆の兆候が始まっていますがブリッジをしています。もち札を忘れたりしますが」と言うのはラグーナ・ウッズに暮らしているマリリン・リュックバークさん。「いずれにしても私は彼をパートナーにします。そして結局私たちはよい成績なんですよ。彼がどうしてやっていけるのか知りませんが、ブリッジの経験が豊富だからなんでしょうね」。

 科学者の推測では、ブリッジのようなゲームに豊富な経験を持つ人は、記憶力の減退に対処するために経験のストックに頼ることができるのかもしれない、とのことである。しかし充分な証拠があるわけではないので、真相は不明である。

 リュックバークさんの気がかりはそのことよりも、友人にある。「私は彼に、日中、部屋の四つの壁をただ眺めて暮らす以上のことを与えてあげたいの」。


 
 一線を引く

 高齢者についての研究で、カリフォルニア、ニューヨーク、ボストン等の研究者たちは、幸せな晩年のための手がかりをいくつも見いだした。たとえば、カーワス博士のグループは、とても長い人生の終わりまで明晰な頭脳を保っていた人の中には、アルツハイマー病に罹っているように見える脳をもっている人もいたことを発見した。先月発表された研究では、痴呆にならなかった人の多くはAPOE2と呼ばれる遺伝子変異体をもっていて、それが精神的な若々しさを保つのに役立っているかもしれない、という報告があった。


 アルバート・アインシュタイン医科大学のニール・バージレイ博士は、百歳を超えても痴呆にならないアシュケナージ系ユダヤ人は、痴呆に陥った同胞に比べて、いわゆる善玉コレステロール粒子のサイズと量を増大させるらしいCETPと呼ばれる遺伝子をもっている確率が3倍も高いことを発見した。

 「これがどうして予防効果をもつのか、私たちにはまだ分かっていませんが、これは高齢期の良好な認知機能ときわめて密接に関係しているのです」とバージレイ博士は言う。「少なくともこれは、将来の治療にとってのターゲットを与えてくれるのです」。

 スーパー・メモリー・クラブの人々にとって、その将来は遠すぎるので意義あるものではない。とても大事なことは独立心をもち続けることである。つまり、ある時点で、親友をあきらめなければならない、ということである。

 「いつも真っ先にしたいと思うことは、かけつけて手助けをしてやることです」とデーヴィスさんは言う。「でもしばらくたって結局こう自問するようになるんです。「ここでの私の役割は何かしら? 私は介護師なの?」。自分の生活があるのだから、自分がどこまでやっていいかは自分で決めるしかないの」。

 ブリッジの世界では、高校でもそうであったが、パーティーへの招待を取り消すことはほとんど不可能である。あるプレイヤーが、少なくともしばらくの間、このパートナーとゲームをするのは止めようと決心しても、結局はまた別のプレイヤーと組んでゲームをし始めるものだ。あるいは、それは、パートナーに、真剣なゲームからもっと気楽にできるゲームへと、ゲームのレベルを落としたほうがいいのではと示唆することであるかもしれない。そんなことを好んで聞きたいと思うプレイヤーはいない。しかし、世界中のカード・ルームで毎日、そのような宣告を受けるプレイヤーがいる。

 「あなた、彼らとはもうゲームはなしね。おしまい」。そうカミンズさんは言った。「あなた、勝負に集中してないわ。とにかく余裕がないの」。

 ビッドとトリックを取るリズム、手番の合間の気のおけない会話、毎日やってくる勝負――生まれてからほぼ一世紀たって、遺伝子のくじ引きで最も運がよかった者にも、終わりの時は来る。

 「いつかはやめる時が来ます」と言うのは、ここでの常連プレイヤーの一人ノーマ・コスコフさん。「そしてよくあることですが、ブリッジをやめると、もう長くは生きていられないのです」」。

 








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